ぼんやりと同じグループの方々が見える。

これからもっと暗くなるという不安が強くなる。
見えないという事は一体どういうことなのだろうか?と。

普段、目を瞑ることはある。
それは自分で意図していることでいつでも辞められる。

でも、今回は違う。
全く見えない世界に放りだされるのだ。

もう一段暗い部屋へと移動し、そして、真っ暗闇に。

そこで自己紹介を行う。

おばさん3人組と、カップルが2組そして私1人の8人とアテンダントと呼ばれる全盲のさとちゃんが案内役として全員の指揮をとる。

『さぁ、それじゃ、ここにカーテンがありますから後ろの人に教えてあげながらついてきてくださいね』

と、心の準備もままならないまま、何も見えないままスタート。

近くで聞こえる衣擦れの音、それぞれ掛け合う声。自分の伸ばした手の先に何があるのかさえわからない。

誰かと肩がぶつかり、
『すみません』と声を掛け合う。

ぶつかりながら、声を掛け合いながらトンネルを抜け、広場へ。

広場での過ごし方は自由。

それぞれが思うままに進んでいく。
刺激的ですらある木々の青臭い匂い。
杖で砂を突く音。
何かを見つけたメンバーの声。
音のなるボールでのキャッチボール(転がすだけ)
地面の凹凸に気を取られながらも、何かないか見つけようと散策する。
ぶつかったもの、髪に触れたもの、今までいた場所と踏みしめた音の違うところを手当たり次第探っていく。

あるメンバーが声をあげた。

『ブランコがある!』

その声を頼りに皆が集まる。
三人掛けできるものらしく、どういった配置をされているのかもわからない。
ただ、ものすごく近い場所で『ギーギー』と木のしなる音が聞こえ、乗り心地を話す人の声が聞こえるだけ。

順番を待ち、前に乗っていた人に手を誘導してもらい手すりを見つけ、座る場所を発見した。

隣にはおばさんが二人。
勢いよく漕いでみる。
音が、振動が、揺れが、全身に響き渡る。

ブランコを堪能した後・・・。

あまり書いてしまうとネタバレになってしまいそうなのでこの辺で。

終わるころには見えてしまう事が残念な気分になりました。

四月もあと二日。

グラーグ54は上下でUPします。


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