昨日、娘を日本人学校へ送り届けてから、夫と一緒に向かっていた場所があった。

ローマ市内の病院である。

 

食事中、彼の友人より連絡を受けていた夫。

彼の幼少からの親友の母、義理母の友人でもあるマリーザの容態が急に悪化したというものだった。

連絡を受けてから、お寿司もまともに喉を通らなくなっていた夫。

 

 

病室へ入った瞬間、私は思わず絶句をしてしまった。

頭には透明ヘルメットのようなものを被り、口を魚のように大きく開けてはいるのだが、目は見開いたまま。

意識はあるのかないのかすら分からない状態だった。

昨日はまでは普通に話しも出来ていたという。

 

小柄ながらも気の強い彼女は、


こんなヘルメットのようなもの、邪魔で仕方がないからとってくれる?


と悪態をついていたのだとか。

 

娘の洗礼式や誕生日会にも来てくれていたマリーザ。

まさかこんな姿になってしまうだなんて、、、

 

涙が止まらない。

 

そしていつしか、ひきつけのような状態が始まっていた。

 

 

 

娘を迎えに行く時間となり、後ろ髪を引かれる思いで病室を後にする。

帰宅し、晩ご飯の最中に、、、

夫の携帯が鳴り響いた。

 

嫌な予感がした。

今日ばかりは外れてくれたらいいのに、、、

心の中でそう願っていた。

 

夫のがくんとうなだれた様子から、私の嫌な予感が外れてくれなかったことを知る。

 

ついこの間まで、あんなに元気だったのに。

義理母のお見舞いにまで来てくれていたのに。

 

熱心なカトリック信者だった彼女。

病室の隅に飾られていたマリア様の姿をふと思い出していた。

 

83年の人生に幕を閉じたマリーザ。

波瀾万丈な人生だった事は、義理母より何度も聞かされていた。

 

マリーザ、どうか安らかにお眠りください。

そして心からのご冥福をお祈りいたします。



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