どの会社にも、きっと”お局さま”は存在する。

元我が社にももちろんいらっしゃった。
 
私が考察するに、元我が社のお局さまの特徴として、
 
- 容姿端麗
- 独身
- 根がかなり真面目
 
ということが挙げられた。
そしてここにもう二点、大事な要素を追加すると、
 
- 仕事に対しある種独自のこだわりを持っている
- お客様は神様以上の絶対的存在であると信じて疑わない
 
ということではなかったかと思われる。 
 
そんなお局さま、本来仕事が出来ない人や新人ちゃんは苦手。
こだわりの域に達する技量を持たないからである。
 
まだ私が新人だった頃、同じグループにかなり名の知れていたお局さまがいらっしゃった。
 
若かりし頃はどれほど美しかったのだろう?
 
彼女の透き通るような肌を見ながら、いつもそんなことを考えていた。
そして長時間のフライト後でさえ、一糸乱れぬ完璧なまでの彼女の纏め髮には、もう感嘆の言葉しかなかった。
 
ただでさえロングフライトは12〜13時間である。
普通の人でさえ疲労は出てくる。
 
50歳に近い、しかもお客様を神と崇め懇切丁寧にサービスをするお局さまにももちろん疲労はやってくる。
そんな時に私が些細なミスを仕出かす。
当然のことながら、お局さまは爆発する。
 
落ち込みながらホテルに到着する私を、年齢の近い先輩方々は食事へと連れ出してくれた。
ロンドンではノッティングヒル付近のインド料理へ行き、パリではホテル周辺のヴェトナムへと繰り出し、ニューヨークでは美味しい朝食を食べに行った。
時にワインやおつまみ、お惣菜なのでお部屋で盛り上がることも多々だった。
ホテルによっては”クルールーム”と呼ばれるラウンジのような場があり、そんな場でもみんなでよく盛り上がったもの。
こうして私は、フライト中の自身の不出来さを忘れ去っていった。
 
6、7年も経った頃、私はこのお局さまと再び同じグループ下に配属となる。
その頃の私は、国内線のまとめ役をしていた。
もう新人でもなかった。
お局さまと私の関係も明らかに変化を遂げる。
怖くて顔さえもまともに見れなかった彼女と、その時の私は冗談交えて話ができる程になっていた。
 
そして忘れもしない、私のラストフライト。
本来はグループのみんなと飛ぶことが多い中、敢えて私は一見さん達と一緒のフライトへ。
フライトを終え、オペレーションセンターと呼ばれる基地へ戻ってきた私を待ち受けていたのは、驚く程の花束やアレンジの数々だった。
実際に持って帰ることができない程で、友人が車を出してくれた程。
その中で、ひと際目立った沢山の赤いバラをメインに黄色のランの小花がアクセントとなった大きな花かごが目に付いた。
メッセージカードを見て驚いた私。
なんとお局さまからだった。
心温まるメッセージも添えられており、思わず涙ぐんでしまった。
今頃どうしていらっしゃるのだろう?
 
それにしてもお局さまは、私がローマへ行くことを予言していたのだろうか?
お局さまが下さったお花のアレンジは赤と黄色。
そう、まさにASローマ(サッカーチームの名)のメインカラーであり、何よりローマ人が好む色であった。

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沢山の花束の中に、、、

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その花束は存在した。
感謝の気持ちは今でもやまない。

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