なんで、そこまでママが気を遣うの??


すこし苛立った声で旦那が言う。



旦那の弟が、仕事の関係で車で1時間ほどの距離に一人暮らしをすることになった。


家事はすべてお義母さん任せ、料理もできない弟が一人暮らし!?



お義母さんが必要なものを準備するはずだが、今は体調が良くない。



お義母さんの性格上、本当はあれこれ息子のためにやってあげたいのに、出来ないのはもどかしいだろうな



それならと、弟も好きなキムチ炒めを私が作って、持っていくのはどうかと思いついた。


旦那にそのことを伝えると、会社の食堂で食べるから、作らなくて良いという。


それなら、家に沢山ある歯磨き粉もっていく?


重ねて聞くと、イライラしたご様子の旦那。


いやいや、双子のようにそっくりで、いつも仲良しの弟のことなのに、なぜイライラ??


少し考えてから、ピンと来た



もしかして、私がパパ以外の人にあれこれ気を遣うの嫌いなの?



ええっ!?



びっくりしたような顔しながら旦那が反射的に笑ってる。


うん、この顔はビンゴだ!


そうだよね。私が逆の立場だったら嫌だもの。


私にも、妹が二人いる。


もしも旦那が私の妹にあれこれしてあげようと、ずっと話をしていたら、ありがたいと思う反面


そんなに気を遣わなくていいよ!


って言ってるはず。



そんな会話をしたにもかかわらず、心のどこかで弟が困らないように何か出来ることは無いかと考えてしまう。



旦那の弟のことなのに、なんで私はこんなに気になるんだろう。



自分の心に聞いてみた



自分が一人暮らし始めた時 寂しかったから



そうだった。あの時寂しかったなぁ。
 



ある日、単身赴任先から帰ってきた父が急に



来年の初めに仕事辞めるから


と突然の仕事辞める宣言をしたことがあった。


定年まであと1年だったが、会社で早期退職希望者を募っていたらしく、早期退職を選んだらしい。


今まで2週間に1度 週末にだけ帰ってきた父が退職!?


娘達もびっくりしたが、1番驚いたのが母。


父の退職宣言の少しあと、母と伯母から


この部屋で一人暮らししない?


ある日突然 マンションの一室に連れていかれた。


当時一人暮らしを一切考えていなかった私は驚いて理由を尋ねた。



お父さんが帰ってきたら、ずっと居間でテレビを見る生活になる。それではお母さんがストレスだから、お父さんの書斎を作りたい



私の部屋をお父さんの書斎にするってこと?



そう。書斎にするにはあの部屋がいいと思う



父の退職後の生活を心配した母が、伯母(母の姉)と二人で私に相談もなく部屋を見つけてきた。



家賃は〇〇円で、管理費は〇〇円
いつから入居する?契約は春になる前が良いと思う。


管理会社とはすでに話がついており、入居日がわかれば知らせるようになってるらしい。



私の意思とはお構い無しにどんどん話が進んでいき、母お得意の有無を言わせぬ展開であっという間に一人暮らしをすることになった。



望んでもいなかった一人暮らし。



実家に住んでる妹たちも父が帰って来たあとの母のことを心配するばかりで、私の一人暮らしに関しては無関心。



寂しかったが、家族の顔色を伺って大きな反発もしないまま一人暮らしを始めることになった。



そうか、一人暮らしを始めた時 気にかけてくれる人がいなくて寂しかったから旦那の弟のこと気になったんだ。




弟のことはきっかけに過ぎず、私が本当に向き合う必要があるのは、あの時さびしかった自分の気持ち。



寝る前に当時の寂しかった気持ちを思い返してみた。



急に出て行けと言われて寂しいなぁ



私はいらない存在なのかな



私はいてもいなくても、家族にとっては大差ないのか



実家には妹二人も住んでるのに、なぜ私だけが出ないとダメだったの?



寂しい
悲しい
辛い


色んな感情がつぎつぎ出たあと、小さい女の子が頭の中に浮かんできた



ボロい服を着て、寂しそうな悲しそうな不安な顔をしてうずくまってる。



だれ??



小さいわたし??



小さい私が涙をこらえて悲しさに耐えてる。



家の中で居場所がなくて悲しんでる昔の姿だった。



涙が止まらなくなった。




私が私に、我慢ばかりさせてきた。


お金を使ったら、お父さんが怒って、お母さんが悲しい顔をすると思って、新しい服を着ずに我慢してたんだね。



自分の気持ちを言ったら、家族に嫌われると思って言えなかったんだね



誰からも必要とされてないと思って悲しかったね



両親に守ってもらえなくて寂しかったね



今まで寂しい思いばかりさせてごめんね



他人のことばかり気にしてごめんね



泣きながらしばらく謝り続けた。



ひとしきり泣いた後、この小さい私に綺麗な服を着せてあげたいと思った。



息子をお風呂に入れる感覚で、心の中の小さい私もお風呂に入れた。


どんなお洋服がいいかな。お姫様みたいなのがいいかな。


最近息子が、アナと雪の女王をよく見てるので、エルサのようなお姫様の服をイメージで着せてあげた。


小さい私が照れた顔して笑ってる。



あぁ、やっと笑ってくれた。



今度は嬉しくて涙が出た。



今まで、怖くて出てこれなかったんだね。




出てきてくれてありがとう。



今まで他人の気持ちばかり優先して自分の気持ちを蔑ろにしてたね。


さびしい
悲しい



我慢という重しで蓋をしながら、ずっと閉ざしてた扉があいたから、悲しくて寂しい思いをしながら隠れてた小さな私が、やっと出てこれたんだね。


出てきてくれてありがとう。



これからは一緒に幸せになろうね