黒澤映画の傑作は、「休憩」をはさんで3時間以上。

以前、休憩前までの前半だけを見て、

後半を見られなかったことがあったが、

今回はラストまで通しでしかと見届けた。

 

野武士の横行のオープニング、

サムライ集め、

野武士を迎え撃つ準備、

偵察隊の撃退、

決戦、

そしてエンディング、

 

それは既に半世紀以上前の作品なので、

驚くような映像があるわけではないけれど、

悉く違和感がないのは、

これはもの凄いことなんだと思う。

 

意外だったのは、

ラブロマンスまで網羅していたということ。

しかもこれが、

ラブシーンすらないのに、妙にエロい。

 

 

紐解くとこの女優さんは津島恵子と言って、

この七人の侍の前は、いわゆる清純派女優で、

かなりのイメージチェンジだったようだ。

 

黒澤明監督自身を映したという、

勝四郎が恋する女性、

どうやら監督の「好み」ということらしい。

肩を晒し、

胸の谷間まで見せた髪の毛を洗うシーンは、

間違いなく作品に潤いを与えている。

好きな人を撮るというカメラの優しさも、

きっとこの絵に色を与えているのだろうなと思う。

 

 

男はつらいよ~寅次郎恋やつれ<第13作>【光テレビ】

男はつらいよで、

吉永小百合の父親役を演じた(名演!)

宮口精二の侍は、

フランス人に人気があるのだそうだ。

 

どうしてなのかは分からないが、

実力最強の無口な仕事人でありながら、

人の気持ちの分かる優しさも併せ持つ、

という風は、実にカッコいい。

男ならいつもそうありたいと思うが、

なかなかそういうわけにはいかないものだが。

 

因みに菊千代がイタリア人に人気があるというのは、

なるほどとうなづける。

 

名作と言われる本作だが、

その真偽は、とやかく言わずに見れば分かる。

それ以上に、

これだけ映像技術が進化した今でもそうだというところに、

この映画のすごさがあるのだろう。

リメイクなども含めて、

ずっと長く、いろんな形で残って欲しいものだ。