黒澤映画の傑作は、「休憩」をはさんで3時間以上。
以前、休憩前までの前半だけを見て、
後半を見られなかったことがあったが、
今回はラストまで通しでしかと見届けた。
野武士の横行のオープニング、
サムライ集め、
野武士を迎え撃つ準備、
偵察隊の撃退、
決戦、
そしてエンディング、
それは既に半世紀以上前の作品なので、
驚くような映像があるわけではないけれど、
悉く違和感がないのは、
これはもの凄いことなんだと思う。
意外だったのは、
ラブロマンスまで網羅していたということ。
しかもこれが、
ラブシーンすらないのに、妙にエロい。
紐解くとこの女優さんは津島恵子と言って、
この七人の侍の前は、いわゆる清純派女優で、
かなりのイメージチェンジだったようだ。
黒澤明監督自身を映したという、
勝四郎が恋する女性、
どうやら監督の「好み」ということらしい。
肩を晒し、
胸の谷間まで見せた髪の毛を洗うシーンは、
間違いなく作品に潤いを与えている。
好きな人を撮るというカメラの優しさも、
きっとこの絵に色を与えているのだろうなと思う。
男はつらいよで、
吉永小百合の父親役を演じた(名演!)
宮口精二の侍は、
フランス人に人気があるのだそうだ。
どうしてなのかは分からないが、
実力最強の無口な仕事人でありながら、
人の気持ちの分かる優しさも併せ持つ、
という風は、実にカッコいい。
男ならいつもそうありたいと思うが、
なかなかそういうわけにはいかないものだが。
因みに菊千代がイタリア人に人気があるというのは、
なるほどとうなづける。
名作と言われる本作だが、
その真偽は、とやかく言わずに見れば分かる。
それ以上に、
これだけ映像技術が進化した今でもそうだというところに、
この映画のすごさがあるのだろう。
リメイクなども含めて、
ずっと長く、いろんな形で残って欲しいものだ。
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