久しぶりに寅さんを見た。
シリーズ後半は渥美清の体調の問題で、
あまり派手には動けない状態だったので、
今回は途中で足にケガをする設定になっている。
そういうわけで、
あまり動かない寅さんの代わりに、
満男が頑張る。
満男が主役となれば、
メインマドンナは後藤久美子なのだろうが、
寅さんが旅先で出会った床屋の女、
風吹ジュンのピンクの白衣が、
むせるほどに色っぽい。
以前見た時には多分主に後藤久美子を見ていたと思うが、
今見ると文句なしに風吹ジュンに目を持っていかれる。
人生も旅も、
何もせずに通り過ぎてしまえば何も起きることはない。
「どこかにいい男いないかな」という、
独り言にかけた言葉。
金もないのに奢った昼ごはん。
散髪をしてもらっているうちに降り出した雨。
お店のドアの鐘の音と、
それにまつわる彼女の思い出。
どこにでもあって、
ほんの少し踏み出せば見えてくる素敵な景色を、
僕たちはどのくらい見ることをしないまま、
過ごしてしまっているだろうか。
寅さんが出会うマドンナたち。
そんなこと映画でもなけりゃそう簡単にはないよと、
思っていたけれど、こうしてしっかり見直すと、
寅さんはいつでもちゃんと出会いの種を蒔いているのだなと思う。
その上に、
それがあるからこそ偶然の神様がやってきて、
二人の間に何かを芽生えさせてくれるのだろう。
実ることのない恋ばかりだったけれど、
この後におよんで「青春」というタイトルの通り、
とてもとても瑞々しい恋模様だった。
足のけがをする飫肥城(おびじょう)は、
寅さんと風吹ジュンとのデート中に、
後藤久美子と偶然出会うシーンが撮られている。
三人が一体どのくらいの年の差なのかわからないけれど、
ほとんどみんな高校生に見えるくらい、
初々しくてキラキラしていた。
いつまでもこんな風でありたいと、心から思う。
本作は満男メインの割には満男の活躍がイマイチのように感じた。
引きずられて泉ちゃんも光らない。
というか、
僕が風吹ジュンにやられただけなのかも知れない。
ああ、ホント。
こんな髪結いの亭主になりたいものである。
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