- どこかスカッとしない、
- どんよりした映像と音から漂って来る嫌な感じが、
- 全編に貫かれた映画である。
- 偽りの隣人、というタイトルの通り、
- そこに見えているものが、
- 本当でないということ、
- そして(恐らくわざとやっているに違いない).
- やたらと目につくリアリティのない会話に、
- イライラとストレスが募っていく。。
- とにかく不可解なことが色々ある。
- まずは警察がお粗末さがいちいち事件を大きくしてしまう。
- 何の策もなく二人も殺され、
- 拳銃も盗まれているというのに、
- 少しも緊迫感が感じられないのはどうしたことか。
- かつての刑事モノなら、
- 『弔い合戦じゃ』
- とばかりにシャカリキになるところじゃないか。
- それが正かどうかは別として、
- このドラマのストレスの理由のひとつになっていると思う。
- そして香川照之のモチベーションの原動力が、
- わからないのが気持ち悪い。
- 居られなくなった家を捨てて、
- 新たな家を探そうと動いていく時の、
- 溌剌たるエネルギーは、
- どこから湧いて来るのだろう。
- サイコパスだから、
- というのかも知れないが、
- それにしても何かしらの欲求なり「モラル」なりがありそうなものだ。
- 冒頭の別のサイコパス(西島秀俊が刑事をやめる理由になった)が語った、
- 「僕にもモラルがある。刑事さんには分からないかも知れないけど」
- という言葉に繋がるものが、
- ついにひとつも見えなかった。
- 個人的に思う最大の謎は竹内結子が、
- 香川照之の手に落ちていく理由だ。
- 夫である西島秀俊が、
- 刑事から大学講師に職が変わって1年、
- 引っ越した理由は良く分からないが、
- 隠れたストレスがあったにせよ、
- 楽しげに一緒に食事をする場面もあり、
- 職を変えてよかったねという話もある。
- 薬を射たれたという設定だが、
- 一度ではなく何度もという描写があり、
- つまり望んで射たれていたということだろう。
- 元刑事であり、
- 犯罪心理学者である西島秀俊が、
- その間の変化にまるで気づかないというのは、
- 流石に鈍感過ぎではないだろうか。
- 興行的には、
- 竹内結子には似合わないのかもしれないが、
- 折角あの位ポロポロに崩したのであれば、
- 少しはイロっぽいシーンがあって良かったかも知れない。
- まあ、それじゃあサイコパスじゃなくて、
- 変質者の話になってしまい、
- いくら興行的に良くても、
- 映画的には宜しくないのだろうな。
いろいろとモヤモヤするが、
意外にもラストはスッキリする。
銃声、バカ笑い、そして慟哭。
結局人はそういうもので、
ストレスを発散しているのだろうということが、
一度にみんな溢れ出して終わる。
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