特にリクエストはなかった
さすがに買い弁だけはやめてあげようと
豚の味噌漬けを昨晩から仕込んでおいた

朝の5時半
ご飯を炊こうとして唖然とした
米が一粒もなかった…

コンビニへ急ぐ
ダッシュで米を買って戻る
米を炊く………
意地でも弁当を作ってやる!!
なんだこりゃ…
思い描いていた最後ではないなと苦笑いした
 

夕方長男が帰宅
部活を引退したので帰りは早い

「最後の昼休みは中庭で出し物をやった
3年の恒例行事なんだ」
「へえ、楽しそう 青春だねぇ」

「だから弁当食べられなかった」
「あら、そうなのね」

…やっぱり思い描いた最後にはならないなぁ

ところが……
長男がカバンをガサゴソし、急いで弁当を食べ始めた

「え?今食べるの?お肉とかって大丈夫なの?」
「へ?全然大丈夫だよ」と一言

……きっとここまで何年もの弁当人生の中で培ってきた彼の経験値が言わせる自信の一言


いろいろ思い出した……

急に切なくなった………
 

たいした弁当でもないのにむしゃむしゃ食べる長男 

そんな風にいつも食べてくれてありがとう
息子よ

その食べっぷりだけで十分だと母は満足した 


「ごちそうさま」
「はいよ」


こうして長男最後の弁当は終わった…


そう思ったその瞬間 
長男がぼそっと一言
 

「べんとう、おつかれさまでした」


………………
………………………
…………………………
………………………………
…………………………………
……………………………………

いやぁ…
18歳
大人になりよった………


終わりの見えなかった子育てが
こうして少しずつ終わっていくんだなぁ

何だか泣きそうだ…

2020年12月14日