240418

津軽鉄道

芦野公園駅

 

 

関西弁の老人は大阪から来たのだという。

桜のトンネルを撮影に来ていたテレビ局のクルーから取材を受け話していた。

老人は写真を撮りながら全国を旅しているとのことで、クルーのカメラマンに写真を見せながら自慢話で盛り上がっている。 

 

私はというと、撮影ポイントを探すのに必死である。ライトアップされた桜のトンネルは初めてなので全集中なのだ。

やっとのことで撮影ポイントを見つけて準備をしていると、少し離れた場所でその老人も準備を始めた。

 

列車は、私の苦労も知らずあっという間に通り過ぎてしまった。 

 

撮影を終えて帰ろうとしたとき、老人と目が合い声をかけた。

「良い写真は撮れましたか?」

「まずまずですね」

 

老人と立ち話をしていると、大阪市西区に住んでいることや、大学の先輩だということまで判明した。これから大鰐町の民宿へ向かい、チェックインするのだという。芦野公園からは1時間以上はかかる道のりである。 本当は弘前市内に宿をとりたかったが、宿泊代が高く満室だったため、安い民宿を探して大鰐町にしたのだとか。

 

別れ際、「道中お気をつけて」と先輩に声をかけた。

 

私も全国を旅しながら写真撮影をしたいものだと思いながら家路に就いたのである。