夢を見ました。


夢の中でわたしは実家に帰っていました。

実家には父も母もいなくて、父がショートステイから帰ってくる時の実家でした。


「父が帰ってくる前に、新聞を買っておかないと」

と思いました。


父は日付を確認するために新聞を手に取るし、テレビ欄を見たり、稀に記事も読むのです。


けれどその直後に「父はもう帰ってこないから、新聞を買いに行く必要はないのだ」と夢の中で気づきました。


こうやって、父が帰ってこないことに慣れていくのでしょう。



時々、母の夢も見ます。

母が帰ってきて、入院前と変わらぬ様子で元気に動き回るのです。

目が覚めて、ちょっと哀しくなります。



父も母ももう帰ってこないと頭では理解しているけれど、こころが置いてけぼりな感じでした。

実家の片付けを自分でやると、気持ちの整理ができる気がします。


家具をバキバキと解体している間に。

ゴミ袋の口を閉じる時に。

まとめたゴミ袋が実家からひとつ減るたびに。

わたしの気持ちが整理されていくのでしょう。


業者に頼むと一気に終わるけれど、一気に終わらない方がいいこともあるのでしょう。

少しずつ、お別れをするのです。


前に紹介した小説「ミトンとふびん」にも、遺品整理に時間をかける人の話がありました。


わたしはそこまで時間をかけるつもりはないけれど。

でも、業者の手を借りなくていいだけの時間の余裕があるのは、ありがたく思います。