こたつでうとうとしていた父が言いました。
「◯◯ばあさんは、今どこにいるかな」
父の祖母(わたしの曽祖母)の行方を気にするのでした。これは、時々あることです。
「◯◯ばあさんは、もうお墓の中でしょう」
と言うと、父は
「そうかあ、もう死んじゃったのか」
と寂しそうに言い、天井を見つめていました。
わたしは作業中だったのですが、中断して父の横に座りました。
「お父さんが小さい頃は、おばあさんにかわいがってもらったんでしょう?」
そうやって話しかけると、幼い頃の思い出を滔々と語り出しました。本当にあったことかはわかりませんが、話したいことを話せている時、父は楽しそうです。
最後には、父の名前の由来まで聞くことができました。
名前の候補が10以上あったのだけれど、おばあさんが「おじいさんとおばあさんの名前を一文字ずつ取った名前」を繰り返し推すので、みんなが根負けしてその名前に決まったとか。
父は、曽祖母のことに限らず亡くなった人のことを「どこに行ったのか」「どこにいるのか」と言うことがあります。
認知症あるあるだと思いますが、そういう時は亡くなった人の思い出話がしたいのかもしれません。
「もう亡くなったよ」で終わりにするのではなく、「どんな人だったの?」とか、今までの話から得た情報をもとに「こういう人だったんだよね?」と話を広げていきたいと思います。