布団を敷いて寝支度を整えていた父。
「今日の布団は、これでいいかな?」
敷布団の上に毛布を重ねた状態でわたしに問います。
聞いてくる割に、わたしが助言したって何だかんだ理由をつけて聞く耳を持ちません。
「お父さんは、寝てもトイレに起きるから、その時に寒かったら布団を足せばいいんじゃない?」
と言いました。
すると父は、
「起きないよ」
と驚いたように言いました。
「俺は一度寝たら朝まで起きないよ。寝てからトイレに起きることは全くないよ」
なるほど。
「いや、全くないとは言えないな。一週間に一度はあるかもしれない」
ほうほう。
「いや、一週間に二度あるかもしれない」
毎晩ですよ、お父さん。
一週間どころか、一晩で二度以上ありますよ。
言ったって仕方ないので、心にそっとしまいます。
父は、テレビで健康食品のCMが流れると「これを買ってみよう」などと言って電話番号をメモします。
「夜間頻尿に効く」と謳う健康食品には反応しないので不思議に思っていたのですが、自覚がないんですね。