一度寝た父が起き出して、何かを探しています。

「何かお探しですか?」と声を掛けると、

「年金手帳がない」

と言います。


大事な物を入れている引き出しに入っているのは知っていたので、探して手渡しました。


すると今度は、

「俺は年金をもらっていない。もらう手続きをしていないんじゃないか」


そんなわけないでしょう、振り込まれているでしょう、と通帳を見せようとしたら、通帳が定位置にない。


聞いたってわからないのは知っているのだけど、思わず「どこにしまったの」と言ってしまいました。

すると見当違いな場所を探す父。

まあ、大昔はそこにしまってましたけどね。


通帳がすぐに見つからないので、日本年金機構からの年金振込通知とか源泉徴収票とか見せたのですが納得しない。


年金が振り込まれていないと言い張るし、通帳はあんたに預けたとか銀行に預けたと言います。


通帳を見つけるしかない、と探したところ、本棚に本と並べて立てて収納してありました。

こんな読まない本ばかり詰め込まれた本棚、捨ててしまえと思いました。


通帳を見せて、振り込まれてるでしょうと説明してやっと納得してくれました。


こんなやり方じゃなく、もっとうまく落ち着きを取り戻せたらいいんだけど。