「夢か本当かわからないんだけど」
と父が切り出しました。
先を促すと父はこう言いました。
「俺は天から降りてきたんだ」
と言って大笑いしました。
夢でしょうな。
「お父さんのふるさとは、天孫降臨の伝説がある土地だから天から降りてきたのかもね」
と言ったら、そうかもしれないと笑います。
「亀に乗ってどこかへ行った気もする」
と言うので、
「竜宮城じゃない?」
と返すと、そうだそうだと言います。
「女の人たちが毎日踊っていてさ、毎日見ていたから飽きちゃったよ」
「おみやげに玉手箱もらったんじゃない?」
と言ったら、玉手箱はもらわなかったとのこと。
浦島太郎じゃないのか。
「周りが騒がしくて、起きて何をしているのか見に行ったらみんな歌ったり踊ったりしていたんだよ」
あ、この話たぶん知ってる。
「俺は岩の戸がついたところに閉じこもっていたんだよ。そうしたら、外が騒がしくてなあ。開けてみたら眩しくてなあ」
天の岩戸に閉じこもっていたんだね。
「外では女の人が踊っていたんだよ」
それはアマノウズメだね。
「天照大御神は、女性だったよなあ。俺は天照大御神だったのかなあ」
と言いました。
天孫降臨から浦島太郎、天の岩戸へと話がころころ転がりました。
話題は何であれ楽しく会話をすることが大事です。
お父さんが笑ってくれてよかった。
読んでてよかった、日本神話。