実家の玄関の照明は、人感センサーで自動で点いたり消えたりします。もともとは手動だったものを、いつの間にか母が変えていたのでした。


母の手記によると、父の認知症が始まったと思われる頃に、父が繰り返し、

「玄関の電気のスイッチはどこだろう?」

と尋ねてきたらしいのです。


何度も聞かれてわずらわしく思った母は、父を怒鳴りつけました。


父は「元気がいいなあ」と返したそうです。

すごい返し。



今でも父は、夜中に目が覚めた時など

「玄関の電気が勝手についたよ」

「これはどうやって消すんだろう」

と言うことがあります。


説明すれば納得してくれるので、わたしはその都度説明をします。


母の手記によると、父は玄関の電気が本当に消えるかどうか確かめるため、玄関から距離のあるベランダからこっそり見ていたことがあるそうです。


母は「子供か」とつっこんでいました。


確かに子供っぽい。

けど、言われたことが本当か確認するその姿勢は、素晴らしいと思うんですよね。