先日購入したこの本。

「マンガでわかる!認知症の人が見ている世界」


この本の冒頭で、著者である理学療法士の方の経験が書かれています。


認知症の有無や進行度を調べるテストのために、著者が認知症の患者さんに質問をします。

「今いるところはどこですか?」

と尋ねました。


患者さんは答えません。

繰り返し質問しますが、患者さんはきょろきょろ辺りを見回すばかりで答えません。


著者はイライラしてしまって、自分の膝をバンバン叩きながら「ここはどこですか?」と尋ねました。


患者さんはパッと閃いたように答えました。

「ひざ!」


著者はそれまで、認知症の人は何もわからなくなってしまうんだと考えていました。

しかし、このやり取りで、ちょっとずれてはいるけれど患者さんは質問に答えることができました。

何もわからなくなってしまうわけではないんだと気づいた著者は、それ以来、認知症の方への認識が変わったそうです。



さて。

この話を読んで思い出したことがあります。


母が以前、父を病院に連れて行った時のこと。

「何でここに来たかわかりますか?」

と医師に問われて、こう答えたそうです。

「バスで来ました!」


病院に来た理由を問うものでしたが、父はどうやって来たかを答えたのでした。


母は「恥ずかしかったわ」と言っていたけれど、もうそれが認知症の症状だったんだなと今なら思います。


その時の病院の診断は「年相応で問題なし」だったらしいんですけどね。