今はすっかり色々なことが思い出せなくなった父ですが、かつては様々な団体の役員を引き受けていました。(地域の活動に関わるもの、老人クラブ、趣味に関わる団体などです)
そのため、関わっていた団体の過去の書類がたくさんあります。
数年前から母が捨てようと試みていましたが、父が怒るので捨てられなかったそうです。
少しずつ隠しては捨てたりしていたようですが。
父のタンスの前をふさぐように積み上げられていた書類を別の場所に移してみましたが、父は何も言いませんでした。
ホコリが厚く積み重なっており、数年触られた形跡もありません。
古紙回収の日が近いので、それらの書類をまとめていると父がやってきて非難するような口ぶりで言いました。
「それは俺の昔の書類じゃないか」
自分のものっていうのはわかるのか。
「ちょっと分けてるだけだから」とごまかすと、
「後で目を通すよ」と言って去って行きました。
いつもぼんやりしているように見えて、むかしの父に戻る瞬間があるので目の前で処分するのは止めた方がいいなと思いました。
認知症になってないとしても、10年前、20年前のもう関わっていない団体の書類なんて絶対に使わないので必要ないのは間違いないんですけどね。
父は色々なことを思い出せないこと、忘れていくことが怖いから、書類を捨てられるのも記憶を消されるようで怖いのかもしれません。