夜中、父が電気をつけてゴソゴソしていることがある。引き出しを開けたり閉めたりしている。


この前は「どうしましたか?」と聞くと鉛筆を耳の側で手に持って「耳かきを探しているの」と言う。

耳かきないから鉛筆で代用しようとしたのかな。

(耳に向けていたのは、鉛筆の尻の方です)


耳かきを「どうぞ」と渡すと、もういい、大丈夫、明日使いますと言いました。


昨夜も引き出しを開けたり閉めたりしていました。

「何かお探しですか」と声を掛けると、何かを探していたわけではないと言う。(何を探していたか忘れてしまったのかも)


ただ、わたしが声を掛けたことで落ち着いたみたいで電気を消してまた寝ました。よかった。


昼間も、何かを探すような素振りを見せることがあります。


父が探してるのは、記憶とか過去の自分なのかもしれない。


色々思い出せなくなって、不安がないわけがない。

いつも側にいた母もいないし。


自分は何者なのか。

今まで何をしてきたのか。

今、何をしているのか。これから何をするのか。



忘れていくのは怖いと思う。