母が入院したので、認知症の父と二人で過ごしています。
「今日は何月何日だ?」と聞かれ、答えてもすぐにまた「今日は何月何日か?」と問われます。
でも、何度かやり取りしてると「今日は1月31日だな」と自ら言うようになります。
今日は何月何日かと問うことなく「今日は2月1日かな」と言ってきました。
むかしわたしがプレゼントした日めくりデジタル時計の力かも。カレンダー部分が大きいのです。
その後、すぐに日付忘れちゃいますけどね。
正しい日付を言えた時は、褒めるようにしてます。
お正月に初詣に行ったねと言っても、全く覚えていない素振りを見せる時もあれば「そうだった」と言う時もあります。
わたしたち夫婦と会うのは一ヶ月ぶりですが「一年ぶりだな」と繰り返し言います。
過去の記憶を時々語りますが、いろんな記憶がミックスされた新しい記憶なのです。
父には、過去も未来もありません。
「何かおみやげでも買ってこようか」と出かけようとする父に、いらないよと言っても効果がなかったので「明日お願い」と言ったら出かけるのをやめたので効果ありでした。明日どころか10分後にも忘れていますけどね。
父と二人で外を歩いていたら「いい天気だなあ」と父が言うので「天気がいいと、気分も明るくなるね」と返すと「そうだなあ」と同意してました。
過去も未来もない父は、今ここに集中する名人なのでは?
心の平穏のためにはマインドフルネスとか今ここに集中するのが大事とか言うけど、父の心は案外平穏なのかもしれません。
父のこれからのこと、母のこれからのこと、自分のこれからのこと、夫のこれからのこと。
考えなくてはいけないことはたくさんあるけれど、四六時中考えている必要はなくて、今に集中する時間を作って心を休ませたい。
そういう点では、父を見習いたいものです。
「掟上今日子の備忘録」シリーズでは、
「今日子さんには今日しかない」という言葉がよく出てきます。
これを我が家に置き換えると、
「お父さんには、今しかない」
掟上今日子だと思って接するか。
案外、父もたまに冴えたこともいいますよ。