体外受精の胚を子供とみなす判決を受け、アラバマ州の大学が体外受精治療を中止
University in Alabama halts IVF treatments after court rules embryos are children | The BMJ
アラバマ州最大の医療センターであるアラバマ大学バーミンガム校は、アラバマ州最高裁判所が凍結胚は子どもであるとの判決を下したことを受け、体外受精治療を一時停止しました。
体外受精では多くの受精卵が作られますが、子宮に移植されるのは数個です。
残りの受精卵は、将来の使用や他のカップルへの提供、研究のために冷凍庫に保管されるか、カップルがそれ以上の妊娠を計画していない場合、保管料を支払いたくない場合、離婚した場合、死亡した場合などに破棄されます。
凍結胚は生きている子供である、というアラバマ州の裁判所の判断は、生殖医療の専門家、弁護士、中絶の権利活動家たちを憂慮させました。
アラバマ大学バーミンガム校で体外受精を受けられる患者さんへの重要な最新情報
アラバマ大学バーミンガム校生殖内分泌・不妊部門チームは、凍結保存胚は人間であるというアラバマ州最高裁判所の判決によって影響を受ける可能性のある患者さんとのつながりに取り組んでいます。
アラバマ州最高裁判所の判決により、アラバマ大学バーミンガム校は卵子の受精、胚の発育、胚移植を伴う体外受精治療を一時停止することになりました。
私たちは、この判決が体外受精によって赤ちゃんを授かろうとする患者さんの試みに影響を及ぼしたことを引き続き深く悲しんでいますが、私たちの患者さんやチームメンバーが、体外受精治療の標準的なケアに従っただけで、刑事訴追を受けたり、懲罰的損害賠償を受けたりする可能性があることを評価しなければなりません。
私たちは法律を遵守しなければならず、患者さんと私たちのチームメンバーがいかなる種類の訴追からも守られるようにしたいと考えています。
アメリカ生殖医学会はアラバマ州における重大な誤った危険な判決を非難します。
ワシントンDC発-「LePage v Mobile 診療所事件において、アラバマ州最高裁は、医療の現実とアラバマ市民のニーズを無視する判決を下しました。
医学的にも科学的にも根拠のないこの判決で、裁判所は、不妊治療クリニックの冷凍庫にある凍結受精卵は、実在する子どもや子宮内で妊娠している胎児と法的に同等に扱われるべきであるとしました。
この判決を承認した8人の法廷メンバーは、これらを同じものとして見ているのかもしれませんが、科学と日常的な常識は、これらを同じではないと告げています。
凍結保存（受精卵や胚を含む生殖組織の凍結）は、現代の不妊治療には不可欠であり、患者が一人の健康な子供を出産するのに役立っています。
自然妊娠では、1つの卵子が発育して子宮に着床するまでに、複数の卵子が受精することがよくあります。
体外受精においても同様に、最良の結果を得るためには、複数の卵子を受精させ、その中から正常な発育と成長を遂げた1個を選んで子宮内に移植する必要があります。
残った正常発育胚は、患者の要望と同意があれば、後で使用するために凍結することができます。
最も発育の良い胚は、妊娠を試みる患者に移植され、残りの胚は、最初の胚が生児出産に至らなかった場合や、患者が後にもう一人子供を望む場合に備えて凍結保存されまする。
これらのまったく異なる生物学的存在を法的に同等であると主張することによって、アラバマ州の人々は最先端の不妊治療を受けられなくなります。
その治療が民事上あるいは刑事上の罪に問われる可能性があるのであれば、どの医療機関も喜んで治療を提供することはないでしょう。
この決定で義務づけられた政策が実行されれば、その結果は深刻なものとなります。
近代的な不妊治療がアラバマ州の人々に提供されなくなり、彼らが望む家庭を築くことがいたずらに妨げられることになります。
若い医師たちは、研修のためにアラバマ州を訪れることも、診療を開始することもないでしょう。
既存のクリニックは、最適とはいえない患者治療を提供するか、あるいは閉鎖するかの選択を迫られるでしょう。
家庭を築くという選択は、どこに住んでいようと、すべてのアメリカ人にとって基本的な権利です。
従って、国家に影響を及ぼす司法の行き過ぎた介入という危険な前例を野放しにするわけにはいきません。
私たちはアラバマ州民に対し、アラバマ州民が政治的・イデオロギー的な気まぐれの犠牲にならないよう、選出議員に要求するよう呼びかけます。
同州の組合員の皆さんへ： 私たちは、患者に最高の医療を提供する能力が回復するまで、休むことはありません」。