今日の午後1時から山田太一脚本の「沿線地図」の放送が、
CSのTBSチャンネル2であります。

http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d0320/

めったに観られないドラマなので、
ご覧になれる方はぜひ!

大学に行かずにフリーターになる話なのですが、
まだフリーターという概念自体がなく、
周囲に理解されませんし、
「フーテン」と呼ばれたりします。
寅さんかとビックリしてしまいます。

「そんなに時代がちがってしまっている昔のドラマを観て、面白いの?」
と思うかもしれませんが、
ちがうからこそ面白いです。

人は自分の時代しか生きられませんから、
そのただ中にあっては、
その時代の価値観や美意識や常識を、
絶対的なものと思ってしまいがちです。
でも、ほんの数十年で、
こんなにも変わってしまうのです。
その頃にみんなが必死で大切にしていた価値観が、
ちょっと時代が変わると、お笑いでしかなくなったりします。

また、ある一時代を見事にとられていると、
それは逆に、普遍性を持ちます。
特殊な状況の中でこそあらわになっている、
特殊な普遍性がとらえられるからです。
(たとえば戦争時中の人間を描くことで、
 戦争中だからこそあらわれになった人間の本質がとらえられることがあるように)

俳優陣も素晴らしいです。
平凡なお父さんをやらせたら、右に出る者のいない河原崎長一郎。
とても普通の主婦を演じることなど不可能に思える岸惠子が、不思議に見事にはまっています。
笠智衆は、とくにラストのほうで、ものすごくびっくりさせてくれます。

ぜひお楽しみください!