以前、ジョディ・フォスター主演の
「フライトプラン」という映画がありました。

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主人公の女性(ジョディ・フォスター)が、
6歳の娘といっしょに飛行機に乗ります。

しかし、ちょっと眠ったすきに、娘がいなくなります。
どこをさがしてもいない。

「誘拐されたのでは」と心配になります。
乗務員総動員で娘をさがしてもらいます。

ところが、ここから不思議な展開になります。
そもそも登場記録に娘の名前がないのです。
そして、誰も娘を目撃していません。

「あなたは最初からひとりだったんですよ」と言われます。
娘なんて最初からいなかったというのです。
娘の存在は、主人公の妄想だったのか?
真相は?

とても魅力的な出だしですね。
じつは、この「いたはずの人を、みんながいないと言う」という出だしは、
この映画のオリジナルではなく、
これまでにもいくつも同じ出だしの作品があります。

といっても、パクリというわけではなく、
いろんな人がこの出だしに挑戦していて、
肝心なのはこの謎をどう解決するかなのです。

で、「フライトプラン」の解決はどうかと言うと……
その点では、あまり評判がよくなかったようですね。

……

その後、
ジュリアン・ムーア主演の
「フォーガットン」という映画もありました。

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主人公の女性(ジュリアン・ムーア)は、
愛する息子を亡くして悲しんでいます。

ところがある日、思い出の写真やビデオの中から、
なぜか息子の姿が消えています。
息子の遺品をさがしますが、何一つありません。

夫が捨てたのかと思って、問い詰めると、
「しっかりしてくれ。私たちに息子なんて最初からいないじゃないか」
と言われます。

ショックを受ける主人公。

息子と遊び友達だった女の子の家に行きます。
そこになら息子との写真があるはず。
ところが、その友達の父親は、
「うちに娘なんていませんよ」と言います。

狂乱する主人公。
女の子がいたはずの部屋に乗り込んで、
壁紙を剥がします。
すると、下から、小さな女の子の部屋らしい別の壁紙が表れます。
しかも、女の子の描いたらしい落書きも。
それを見て、女の子の父親は混乱します。
「いったいどういうことなんだ! でも、見覚えがあるような……」

これまた、とても魅力的な出だしですね。
しかし、出だしが魅力的であるほど、解決も困難になるものです。
私はすごく期待して試写会に行きましたが、
途中で登場人物が、
「こんなことをできるのは、宇宙人だけだ……」
と言い出して、
(えっ! まさか、それはないよね……)
と不安を感じたのですが……。

赤川次郎さんが、
「謎の組織を出すと、なんでも組織の仕業にできて便利なんです」
とエッセイに書いておられましたが、
謎の組織とか、政府の陰謀とか、宇宙人とか、
そういう、「なんでもできちゃう犯人」を出すのは、
このタイプの謎解きの場合には、反則だと思います。
密室殺人の犯人が、壁抜けができる超能力者だった、というようなもので。

ちなみに、
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この雑誌の「衝撃のエンディング大全」という特集で、
「フォーガットン」はトップページでとりあげられ、
「ま~衝撃(笑)!」という称号を得ていました。

……

さて、ではこの魅力的な謎を、
あざやかに解決している例はあるのでしょうか?

じつはあります!
ディクスンカーの「B13号船室」という短編です。

次回は、これをご紹介したいと思います。


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