曇り空の高速道路を走る車の中で
カーステレオの音楽に耳を傾けながら
ふたりは他愛ないおしゃべり
フロントガラスに落ち始めた雨粒を見て
彼がワイパーのスイッチを入れ
彼女は助手席でその音を聞きながら
灰色の空の下に広がる街を眺める
いくつもの高層ビルやクレーンが
窓ガラス越しに現れては通り過ぎ
雨の中で少し煙って見える
遠くに見えた観覧車に彼女が声を上げる
観覧車、乗りたいな
と彼女。
好き?
と彼。
好きじゃない?
実は高い所ってあんまり
じゃあ一緒に乗れないね
でも行こうよ
今日?
今日は雨だから
じゃあ今度晴れた休みの日に
うん約束、晴れの日に
高速道路がカーブに差し掛かり
ふたりの視界から観覧車が消えていく
雨は柔らかく降り続いている