休日の朝、少しゆっくり自室で過ごしていると、母の気配。
もう起きてしまったのか、2階から昇降機で降りてくる音がする。
小一時間ほどして私は2階のリビングへ上がった。
いつも通り、愛犬うにがパタパタとしっぽを振ってお出迎えする。
母はリビングにも、洗面台にもいない。
もしかして、トイレ?
いない。
では自室に戻ったのかな?と階段をおりる。
母の部屋はドアが開いたままで、いない。
私は少し焦ってきた。
1階のトイレにも母はいない。
玄関を見ると、スリッパが並んでいる。
でも外出用の補助車も、車椅子もある。
おかしいな、どういうこと?
もう一度、2階へ上がるが、母はどこにもいない。
再び、玄関にいくと扉を開けてみる。
庭のどこにも、いない。
振り返ってみると、1階で使用している補助車がないではないか
ということはあれを使って母は散歩に出かけたのか?
私は焦った。
母はここ何年も1人で外出したことはない。
引っ越してきて、道も平坦で、車の往来も少ないとはいえ、心配だ。
あわてて、顔を洗うとマスクをしてサンダルを履いて公園へ向かった。
家から3分くらいの場所にある。
でも、誰もいない。
一度家に戻ると、靴に履き替えて自転車を出動した。
さて母はどこに?
まさかどこかで倒れてはいないかと不安がよぎる。
直ぐ先の商店街の道にでたところで、母を発見
駅の方から例の補助車でよっこらよっこらと、こちらに戻ってくる。
何やら買い物袋を下げている。
セブンイレブンに行ったようだ。
ほっとするやら、あきれるやら‥
「何で黙って出かけたの」
「反対されると思ったから‥」
角のコーヒー屋さんの前で休憩すると母。
まだ開店前なのに、コーヒーをひとつ‥とふざけている。
ドキドキさせられたお返しに、嫌がる母をパシャリ
母は1人で出かけてみたかったようだ。
行き先はちゃんと伝えてほしいと母に強く言った。
でも、外出することを承諾したわけではなかった。
今日、友人から電話があり、母のことを愚痴った私。
「心配かも知れないけれど、本人がやる気になっているのを押さえ込まないで、今度はちゃんと行き先を伝えるようにしてね。そうすれば帰りが遅いときなど様子を見にいかれるから‥と言ってあげるといいよ」と友人。
彼女は昔の職場の先輩で、かれこれ35年のお付き合いになる。
いつも私はじめ家族のことを気にかけてくれる有り難い存在だ。
貴重なアドバイス、有り難うございます。
つい口うるさくなってしまうけれど、
もう少し暖かい目で母を見守ろうと反省した。
何はともあれ、引っ越したことで、母が前向きに生活できるようになったことは嬉しいし、有り難いことだ。
最後までお読みいただき有り難うございます。