「あれ?この道であってたっけ」
春のはじめの午後、三度目となったもにさんの撮影を前に道に迷っていた。
何度伺っても迷って焦っては、ふと気がつくと家の前まで来ていて
ジブリのようなファンタジー体験を一人している。

お互い福岡出身ということもあってか、初回の撮影から空気がやわらかく
笑いも絶えない現場なのだけど、撮影に伺うたびに、部屋が少しずつ変化しているのが楽しい。

気づいたら真っピンクに塗られた壁。窓辺に増えた花の数々。服も、髪の色も、少しずつ「好き」に近づいていくような印象を受ける。住まいというのは、その人、そのものが浮かび上がる場所なんだなと改めて思う。

また今回は特に、少し背筋が伸びるような時間でもあった。
会社を辞めて、花屋として歩き始めたもにさん。
以前は趣味の延長だった花への柔らかな眼差しはそのままに、花へ真摯に向き合う、まっすぐな視線を感じる。

「好きなことを仕事にする」というのは、言葉にすれば軽やかだけれど、実際にはとても大変だ。
うまくいかない日もあれば、ふと立ち止まってしまうこともあると思う。でも、それでも向き合い続けること。
まっすぐに、楽しさも苦しさも受け入れて、その先にある風景を信じること。
もにさんの姿からも、そんな思いが伝わってきたような気がした。

撮影を終えて外に出ると、道ばたのミモザがまぶしいほどに咲いていた。
いつも不思議と帰り道には、迷うことがないことに気づく。
部屋のなかで交わされた言葉や表情が、目に映る景色までも明るくしてくれることがある。
もにさんの花や暮らしと向き合う時間もまた、僕自身にも少しずつ色をくれている。
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【取材先プロフィール(取材時)】
お名前(職業):もに(moni) さん
暮らし:1人暮らし
場所:東京都
面積:30㎡
間取り:1K
住宅形態:マンション
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