「みなさん、お部屋を綺麗に整えられててすごいですよね。我が家は全然で…。」
撮影の前半、お部屋全体が写るよう引きで撮る中、よく話題として振られる話だ。
そんな話をされた時には、いつも(少し大袈裟に)笑ってこう返す。
「いつもあんなに整っている訳ないですよ!」

決してこれまで撮影したお部屋を悪く話す意図はない。
そしてかといって、安心させるためだけにそう返答している訳でもない。
皆さんそれぞれ工夫しながら、撮影当日はお部屋を整えてくれている。
まるでこの日だけは小学生の夏休み最終日に戻ったかのように、お部屋掃除という課題(課題にはしてないです)に全力で取り組まれていることが多い。
その様子を前夜や当日の朝のSNS投稿で見て、有難い気持ちと自分もしっかり撮らなければと背筋がピンと伸びる。

ただそんな頑張りは本人か、私くらいしか知る由もなく、経験が無ければ想像し難いのもよく分かる。だからこそ取り組まれていたことを実際に伺った自分が伝えることで
他の撮影の機会があった時や、来客時などの役に立てたら良いなと思っている。



これまでの取材で印象的な傾向と対策を3つお伝えすると

まず多いのが「空き部屋や収納スペースに一旦押し込む作戦」
我が家も来客時にはこれ。見せられる、見せられないスペースを分けて
撮影する(来客がある)スペースを全力で片付ける。
賃貸で部屋数が少なければ難しいが、逆に戸建てで撮影スペースが多いとそれも大変そうで
「この部屋は撮影NGです。」と伝えられた時には、「ここを開けたら自分の人生は終わる」くらいの心持ちでスペース毎、視界から消すようにしている。

次が「ボックス、袋に入れ込む作戦」
1つ目と違うのは、撮影する空間に存在はするが、決して視界には入らないということ。
紙ものや衣類など、散らかって見えるものも封を閉じてしまえば分からない。
唯一、この作戦の効果に違いを生むものとしては収納するものの統一感だろうか。
例えば無印良品のポリプロピレンケースや頑丈ボックス、バンカーズボックスなど
シンプルで揃えやすいものだと、インテリアのように絵になるが、収納グッズがバラバラ。
さらに色物だったりすると逆効果だったりする。

 

 

 

 

 

 

 

(かなり昔の話になるが、衣類がカラーのゴミ袋にまとめられて、撮影しながら袋ごと移動させないといけない時があった。これは流石に大変で、家主自身も悩んでいたので、上のようなアイテムを紹介したことがある。その後、見事に断捨離と収納アイテムを駆使して綺麗に収納されている空間を見た時はなんだか自分のことのように嬉しくなった。)

最後はレアだが「誰かに預かってもらう作戦」
撮影日は事前に決まっているため、実家やパートナーの部屋。
トランクルームにレンタル収納サービスで一時的に預かってもらっている方もいた。
継続的な利用かつ、数が多いと出費が増えるが、ものによっては家賃と天秤にかけて
安く抑えられることもある。

もちろんミニマリストの方のお部屋は元々の物が少なかったりするのだけれど
そうでなければ、大抵の場合、暮らしの中で物は増えるもので
いつも撮影時のように綺麗なお部屋を整えるのは大変で当たり前なのだ。
かくいう自分もその一人。
今、急な来客などあろうものなら、全然、心からの体調不良を起こして断るに違いない。

ただ、願わくば綺麗な空間を保ちたいという人は多いと思う。
日常的に、少しでも整えられていたらお部屋を綺麗にすることの負担も少なくなるだろう。
最後に、私も取材で伺って取り組んでいる日常的なTipsを最後に1つお伝えすると
「ものの停留所(一時保管所)を決める」ということ。
日々増える書類やダンボールなどをボックスやストッカーで1箇所にまとめ
週の終わりや気持ちが前向きなときにまとめて整理する。

 

 

 

 


ものがお部屋に散乱していると散らかって見えて気も滅入る。
逆に1箇所にまとまって綺麗な空間が維持できれば自信にもなるし、整理するタイミングも作りやすいのだ。
人間だもの、調子が良くて「何でもドンと来いだ!な日」もあれば、「何もやりたくない日」もある。
大事なのは「出来ないことを無理して継続すること」ではなくて、「自分のペースで出来ることを見つけること」だと思っていて、きっとその発見が日々の暮らしをよくしてくれると思っている。

こちらの話は音声配信でも