「次は畳のあるお部屋に住みたいですね。」
約1年前、名古屋のお部屋で彼女の話を伺ったとき
「きっと次会うのは和室で、そこは今よりもっと彼女らしい空間になっているだろう」とすごく確信めいた感覚を覚えた。

正直、和室の人気は高くない。
「インテリアを置いて跡が付くのがこわい。」「好きなインテリアが馴染まない」「古臭い」などお部屋の取材をしていても、不動産の方から話を伺っても厳しい感じ。
最近では畳があった場所にクッションフロアなど上貼りして洋室として出されていることも多い。借り手のことを考えると致し方ないと思う一方で、少し寂しい気持ちにもなる。

自然の草花に触れるようない草の手触りに、フワッと落ち着く香り。
子どもの頃に、ヘトヘトになるまで遊んで外から帰ってきて、横になりそのまま眠ったことを思い出す。
本能的に「帰ってきた」という感覚に包み込まれる。畳のある和室はまさに見た目だけでなく、心の故郷と言っても過言ではない。

話は戻って冒頭の彼女は、名古屋での取材から約半年後にSNSの投稿で引っ越したことを発信。見事に和室のある住まいだった。
「やっぱりあの感覚は正しかった」と占い師でもなければ、誰に聞かれたでもないが自分の感覚を心の中で誇った。
それから住まいが落ち着いてきた頃合いをみて、再度取材の依頼から住まいに伺うことになったのが今年の春。

伺ってみるとわずか半年とは思えない完成度の高さに驚く。前の住まいから使っているインテリアは空間に馴染んでいて。キッチン設備や洗濯パンの位置など古さが気になるところもDIYで見事に対応していた。
まるでずっとこの住まいで住むことを想定していたかのようなお部屋づくりに「おぉ」と思わず息を呑む。

もちろん和室も素晴らしかった。和の空間に合わせた素材や祖母から引き継いだという壺を取り入れるなど和室の良さは活かして。
住まいの木材の色合いに合わせた木のインテリアを取り入れ、生活スタイルに併せて高さの低いインテリアを取り入れられていた。

淡々と作ったものや、考えたことを話してくれたがきっとたくさん試行錯誤したに違いなかった。そして同時にそのパワーがお部屋のことを本当に好きなんだろうなと感じさせた。

常々、2つと同じ部屋がないことがお部屋取材撮影の面白さだと感じているが、畳は多くの日本人が共通して昔の記憶を思い出させてくれる、タイムマシーンのようなものだと思う。
かつて怪我から復帰した桑田真澄がマウンドで右肘をプレートに置いたように、そっと左手で畳に触れる。少し実家が恋しくなった。

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今回のお話に出てきたお部屋の家主の方が
今週末4月20日(土)20時半からのコラボライブのゲストです。
興味を持ってくださったらぜひ、Instagram Liveにご参加ください!
詳細はInstagramページにて!



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