お部屋の全体写真を撮り始める前に、まずはファインダーからの写りを確認して
それから実際の目でも見るようにしている。
これは写真の中に「想定外の出演者」を省くためだ。

どこのお部屋でも撮影前は綺麗に掃除をしてくれていることがほとんどなのだけど
当事者だからこそ見逃してしまうものは多くある。
「長年貼ったまんまだった名前付きのメモ」「使い勝手がよくて置いたままにしているタオル」「掃除直後の掃除機やゴミの入ったゴミ箱」
側からみると違和感に気づくけど、いつもの景色の1つだったり、ホッとついた時の見落としだったり
できる限り、いつもどおりのお部屋を撮りたい一方で、写したくないものは可能な限り避けてあげたいという思いがある。
(後で見つかって修正するのが大変だという手間の話もある。)

家主にも確認して、お部屋の中でも出演者を明確にして進めるのだが厄介ものもいる。

我々の目を上手く掻い潜り、映り込もうとする。不意に目を離すと現れていることもある。

ずばりコード類だ。彼らの存在は非常にやっかい極まりない。

 

隅っこでぴょこっと出たり、ニョロニョロと横切ったり。
子どもの頃に、友達や好きな子と写真を撮ったつもりが後ろにお調子者がピースしたり、前にかぶっていたり

「お前は入ってくんなよ!」といいたくなるようなお調子もののそれである。
意図して写す場合はまだ良いが、見落として後になって「消してほしい」という指示が出るととってもやっかいなやつなのだ。

ここまで話すとすごくコード類はやっかいで、嫌なやつなんだろうなと思われるかもしれない。

作業ベースではその通りなのだけど、個人的には憎めなかったりする。
なぜなら自分の幼少期は(いやある程度大人になっても)ピースする側の人間だったからだ。
カメラを向けられたからには、楽しく映らなければならないという謎の使命感でポーズを取ったり、真顔になったりととにかく違うベクトルで張り切るタイプだった。
撮る側になった今、撮られる機会が減ってすることは無くなったが、お調子もののコードを見ると
なんだか自分を重ねてしまって、その存在をなかったことにすることは少々憚られる。

もちろん指示があったり、空間を明らかに阻害している(伝えたいものの邪魔になっている)場合は問答無用で削除。
ただ、自分だけが気づいて、決して邪魔にはなっていないとき、編集画面を見ながら
「上手いことは写りやがったな。お前も暮らしの一部だもんな。」と心の中で声をかけて、次の写真編集へ進むようにしている。

追伸
コード類の管理にお困りの方は収納グッズやコード製品もたくさん出ているので
ぜひ有効活用してください。