器は、使ってこそ輝くもの。
取材を通してたくさんの素敵な暮らしに出会ってきましたが、そこでは「持ち主と共に時を重ねた器」に出会うことが多くありました。
新品の美しさも素敵ですが、日々の食卓でガシガシ使われ、少しずつ表情を変えていく姿には、その人だけの暮らしの物語がある気がします。今回は、愛用者の多い「長く愛用される器」たちを7つピックアップしてご紹介します。
これから器を揃えたい方も、買い足しを検討されている方も、ぜひ「育てる楽しみ」のある器選びの参考にしてみてください。
1. 出西窯(島根県)
ぽってりとしたフォルムと、深みのあるブルー

民藝運動の精神を受け継ぐ島根県の「出西窯(しゅっさいがま)」。 愛用者の方からは、こんな声が届いています。
「ぽってりとした優しいフォルムに、あたたかな釉薬の色合い。土の質感を感じるような手触りに惹かれ日々、愛用しています。」(@om__ame 様)
【つぼとるの注目ポイント】
出西窯の代名詞とも言えるのが、吸い込まれるような深い青色「出西ブルー」。島根の土と自家製の釉薬にこだわり、実用性を重視した「無自性(作り手の個性を消す)」を掲げていますが、そのシンプルさが逆に圧倒的な存在感を放っています。 和食はもちろん、モーニングのトーストやコーヒーとも相性が抜群です。
2. 小鹿田焼(大分県)
幾何学模様が和洋を繋ぐ、日田の伝統

大分県日田市の山間で、300年以上前から一子相伝で守られてきた「小鹿田焼(おんたやき)」。
「小さい頃から慣れ親しんだ陶器ですが、実際に使用する中で、その頑丈さはもちろん、食事をより美しく、また洋食器とのコンビネーションのよさも感じるようになりました。和食器とまとめるよりはモダンな器としての魅力も感じますね」(@haconori 様)
【つぼとるの注目ポイント】
最大の特徴は「飛び鉋(とびかんな)」と呼ばれる、刃先を使って削り出された幾何学模様。リズミカルな模様はモダンな印象を与え、パスタやサラダなど洋食を盛り付けても違和感がありません。10軒の窯元が共同体のように土作りから行う、世界的にも珍しい「重要無形文化財」の器です。
3. HASAMI PORCELAIN(長崎県・波佐見焼)
スタッキングの美しさと機能性

江戸時代から続く波佐見焼の技術と、L.A.拠点のデザイナー篠本拓宏氏が出会って生まれた「HASAMI PORCELAIN(ハサミポーセリン)」。
「自炊の機会から食卓をより豊かにすべく食器類にこだわってみたいなと思うようになり、波佐見焼をシンプルにアレンジしたこの器を買い始めました。」(@juno_room 様)
【つぼとるの注目ポイント】
直線的でマットな質感は、従来の日本の器とは一線を画すモダンさ。サイズが規格化されているため、お重のように綺麗にスタッキング(積み重ね)できるのが特徴です。 収納時の姿まで美しいので、オープン棚のキッチンや、限られたスペースでの暮らしにも最適。「現代の民藝」とも呼べる機能美が魅力です。
4. 宮城正幸(沖縄県・やちむん)
料理を美味しく見せる、力強い土の表情

沖縄の読谷村で作陶する宮城正幸(みやぎまさゆき)さんの器。沖縄の焼物「やちむん」の伝統を感じさせつつ、個性が光ります。
「シンプルながらも使いやすく、料理が格段に美味しく見えます。キラキラした釉薬の奥行きにも目を奪われてしまうのですが、タフなところも好きでガシガシ使っても丈夫です。」(@mash530 様)
【つぼとるの注目ポイント】
宮城さんの器は、灰釉(はいゆう)を使った透明感のある緑や、深い青の釉薬が特徴的。どっしりとした厚みがありながらも野暮ったさがなく、沖縄の海や森を感じさせるような大らかな空気を食卓に運んでくれます。「ガシガシ使える」というタフさは、毎日の食卓の頼もしい相棒になります。
5. 長谷園(三重県・伊賀焼)
毎日の料理を格上げする、頼れる土鍋

1832年創業、伊賀焼の老舗「長谷園(ながたにえん)」。
「みそ汁は毎日飲むので、それを作るならお気に入りのもので作りたいと思い購入しました。三重の店舗にも行ったのですが、お店だとより多くの種類の鍋があって、今後少しずつ違う種類の鍋も増やせたらと話しています」(@__okaosan 様)
【つぼとるの注目ポイント】
「かまどさん」などの炊飯土鍋で有名ですが、お味噌汁用の「みそ汁鍋」も隠れた名品。伊賀の粗土は「呼吸する土」と言われ、蓄熱性が非常に高く、食材の芯までじっくり熱を通して旨味を引き出します。冷めにくいので、食卓にそのまま出しても温かいままいただけるのが嬉しいポイントです。
6. 砥部焼(愛媛県)
白磁に藍色が映える、丈夫な暮らしの道具

愛媛県砥部町を中心に作られる磁器「砥部焼(とべやき)」。
「昔から家の中で使われていたなじみのある器。小さいときはあることが当たり前で、東京にきてからそのよさに気づき、帰省のたびに購入。数もだいぶ増えました。」
【つぼとるの注目ポイント】
「喧嘩しても割れない」と言われるほど頑丈で、厚みのあるぽってりとした白磁に、呉須(ごす)と呼ばれる藍色の顔料で描かれた模様が特徴です。 北欧デザインにも通じるシンプルさと大胆さがあり、実はイッタラなどの北欧食器とも相性が良いのが魅力。扱いやすいので、小さなお子様のいるご家庭にもおすすめです。
7. 岩井窯(鳥取県)
直火OKの機能美。使うほどに愛着が湧く

鳥取県岩美町で作陶を行う山本教行氏が開いた「岩井窯(いわいがま)」。
「チゲなどのスープはもちろん、グラタンなどにもピッタリです。外側の鈍色と内側の釉薬による照りの組み合わせがとても気に入っていて、使う度にテンションが上がりますね。」(@wappy612 様)
【つぼとるの注目ポイント】
特に人気が高いのが、直火にかけられる耐熱の器。取っ手がついた「耳付き土鍋」などは、調理してそのまま食卓に出せる便利さと、食卓の主役になる存在感を兼ね備えています。 民藝の巨匠たちに師事した山本教行氏の器は、「生活の中で使われてこそ美しい」という信念が形になっています。
おわりに
今回ご紹介した7つの器は、どれも作り手の想いが込められ、使い手の暮らしに寄り添うように作られたものばかりです。
「この器にはどんな料理を盛ろうか」 「この器でお茶を飲んだら美味しいだろうな」
そんな想像をする時間も、器選びの醍醐味です。ぜひ、あなたの一生モノのパートナーを探してみてください。