人間関係って、どうして難しいんでしょうね。
家族、友人、職場の人、パートナー。
「どうして、この人はこんなふうに考えるんだろう?」
「どうして、自分の気持ちを分かってもらえないんだろう?」
そんなふうに思うことがあります。
アドラー心理学では、
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」
と考えます。
それだけ、人と人との関係は、私たちの人生に大きな影響を与えているということなのでしょう。
では、考え方も価値観も違う人たちと、どうすれば、もう少し自由に関わることができるのでしょうか。
人はそれぞれ違う「世界」を生きている
同じ出来事を見ても、人によって受け取り方は違います。
これまでの経験も、持っている知識や専門性も、置かれている環境も違うからです。
そして、そもそも何を大切にし、何に価値を感じるかも、人それぞれです。
自分にとって当たり前のことが、相手にとっても当たり前とは限りません。
「井の中の蛙」という言葉があります。
家庭や職場、地域や世代。それぞれの場所には、そこで当たり前とされている考え方があります。
その中にいると、それが世の中の常識のように思えることもあります。
けれど、そこから一歩外に出れば、まったく違う考え方に出会うかもしれません。
そんなとき、相手を「おかしい」と考える前に、
「自分とは、見えている世界が違うのかもしれない」
と考えてみる。
そこから、人間関係の見え方が変わり始めることがあります。
ホロスコープから人の違いを考える
孫子の兵法に、
「彼を知り己を知れば、百戦殆うからず」
という言葉があります。
戦いの話ではありますが、相手を知ることと、自分を知ること。この二つは、人間関係を考えるうえでも大切な視点ではないでしょうか。
星詠みも、そのための一つのきっかけになります。
ホロスコープからは、その人が何を大切にしているのか、何に安心を感じるのか、どんな考え方をしやすいのか、といったことを考える手がかりが得られます。
もちろん「この星だから、この人はこういう人」と決めつけるためのものではありません。
たとえば、相手のホロスコープを見て、
「この人は、自分とは違うものを大切にしているのかもしれない」
と考えてみる。
すると、これまで理解できなかった言動にも、別の見方が生まれることがあります。
さらに、いろいろな人のホロスコープを見ていると、自分にとって自然なことが、別の人にとってはそうではないことにも気づきます。
ただし、人の違いはホロスコープだけで分かるものではありません。
その人がどんな経験をしてきたのか、今どんな立場や環境にいるのか。そうしたことも、相手を理解するための大切な手がかりです。
星を読むことは、相手についての答えを出すことではなく、相手を知るための問いを増やすことなのかもしれません。
相手を見ながら自分の見方にも気づく
相手を知ろうとするとき、もう一つ大切なことがあります。
私たちは、相手をありのままに見ているとは限らない、ということです。
自分の価値観や経験を通して、相手を見ているからです。
たとえば「この人は頑固だ」と感じたとき。
相手は本当に頑固なのかもしれませんが、一方で、自分が柔軟であることを大切にしているからこそ、相手の姿勢が気になるのかもしれません。
「この人は冷たい」と感じるときも、自分が人との距離の近さを大切にしている可能性があります。
占星術でいう7ハウスは、他者との関係を表す場所です。
そこには、自分とは違うものと出会う、という見方もできます。
相手のどこに違和感を覚えるのか。
その違和感は、自分が何を大切にしていることから生まれているのか。
そんなふうに考えてみると、相手についてだけでなく、自分自身についても新しい発見があるかもしれません。
もちろん、相手の問題をすべて自分の受け取り方の問題に置き換える必要はありません。
相手には相手の事情があり、自分には自分の見方がある。
その両方を忘れずにいることが大切なのだと思います。
違いがあるからこそ、見えるものが増える
もし、すべての人が同じ価値観を持ち、同じ経験をし、同じ場所から世界を見ていたら、私たちは、今ほど多くのことを見ることができないかもしれません。
それぞれ違う場所にいて、違う経験をするからこそ、自分には見えていなかったものを、誰かが見せてくれるものなのだと思います。
同じ共同体の中でも、立場や役割が違えば、見える景色は違います。
自分には気づけなかった問題に気づく人がいる。
自分には思いつかなかった方法を考える人がいる。
違いは、ただ受け入れるべきものというだけではなく、私たちの世界を広げてくれるものでもあるのでしょう。
そう考えると、相手と自分が違うことは、必ずしも乗り越えなければならない問題ではありません。
むしろ、その違いを知ることで、これまでとは違う可能性が見えてくることもあります。
違いを知ったうえで、どう関わるか
では、相手との違いが見えてきたら、どうすればいいのでしょうか。
ここで、アドラー心理学の「課題の分離」がつながってきます。
相手が何を考え、どう行動するか。
それは、相手自身の課題です。
相手の考え方を理解できたとしても、必ずしも自分と同じ考えになってもらう必要はありません。
そして、自分の考え方を相手に理解してもらえなかったとしても、それだけで自分の価値が損なわれるわけではありません。
大切なのは、相手を変えようとすることでも、自分がすべて我慢することでもなく、
「この人と、私はどう関わりたいのか」
を考えることです。
距離を縮めることもできる。
少し距離を置くこともできる。
違いを認めながら、一緒に取り組むこともできる。
相手を知ることは、相手を思いどおりにするためではなく、自分がどう関わるかを選ぶために役立つのです。
自分の人生を、自分で生きる
このシリーズでは、
- 過去と今の関係、
- 人と比べてしまう気持ち、
- 課題の分離、
- 認めてもらいたいという思い、
- 勇気づけること
などを通して、「自分の人生を、自分で選ぶ」ということを考えてきました。
人間関係も、そのこととつながっています。
自分の人生を自分で生きるというのは、誰にも合わせずに生きることでも、自分の考えだけを押し通すことでもありません。
自分と相手の違いを知り、相手の見ている世界にも目を向ける。
そのうえで、自分はどうしたいのか、どう関わりたいのかを考え、自分で選ぶ。
自分の「当たり前」だけが世界のすべてではない。
でも、相手の「当たり前」に自分を合わせなければならないわけでもない。
その両方を大切にできたとき、人間関係には、今までとは違う自由が生まれるのかもしれません。
星詠みは、自分を知るためにも、相手を知るためにも、そして自分とは違う世界に気づくためにも使うことができます。
ホロスコープを通して、誰かを理解するための新しい問いが生まれる。
その問いが、自分の「当たり前」を少し広げてくれる。
そして最後は、
「では、私はどう関わろう?」
という、自分自身の選択に戻ってくる。
星詠みがそんな対話のきっかけになったら、
人間関係は、もう少し自由になるのかもしれません。