
個人的な印象なんですが、なんかね、“中世” が来ているような気がするんですよ。
数年前には、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」がヒットしましたし、昨年はアニメで「チ。」が話題になって、今はアニメでは「天幕のジャードゥーガル」、「逃げ上手の若君」、「ダンシングワールド」などが放映されていますしね。
17世紀ぐらいになると、世界は今につながるような価値観、文化がだいたい形作られてくるというか、方向性がしっかりしてくるのですが、11~14世紀というのは、まだ社会のしくみ、ルール、モラルなんかも混沌としていて、今まではあんまり娯楽コンテンツの材料にはなりにくかったではないですかね。
映像化するにあたり、服装や食べ物なんかの時代考察も難しかったでしょうからね。
まぁ、ところがこのあまり触れられておらず、今では理解できないようなモラル感とか、残虐性に溢れている この “中世” に、現代の人たちの触手が伸びていっている、好奇心がやっとそのエリアにスポットライトを照らし始めているような気がするのですよ。
古い蔵の、重い扉を開けたら、かび臭い空気と埃がふわりと吹いてくるような・・・その暗闇の奥を見たくなったというか。
で、今回ご紹介する Sさんは、ヨーロッパの中世から近世の歴史に関して大変豊富な知識を持った方なのであります。
それもそのはず、彼女はイタリアのボローニャ大学で20~30代にかけて歴史や美術史を本格的に修めてきているのですよ。
特に11世紀から16世紀にかけての中世・ルネサンス都市の歴史や空間に詳しく、ペスト(黒死病)の到来によって大打撃を受けた都市の変容などにも深い知見をお持ちです。
ペストといえば、14世紀に黒海に面するクリミア半島のカッファでモンゴル軍との戦いの中で広まりました。さらに、その黒海で貿易していたイタリアのジェノヴァの船によってイタリア本土へと持ち込まれ、全欧へと広がったというパンデミックであります。
高い城壁で囲まれた中世都市の中で、人々がどんな生活や信仰、そして悲惨な地獄絵図と向き合ったのか。彼女はそうした歴史の生々しい記録や美術に宿る『時代の空気感』を解き明かすのが大好物なのであります。
また、西ローマ帝国の最後の首都であり、初期キリスト教やビザンチン美術の聖地であるラヴェンナへもよく足を運ばれていたようです。ボローニャからは電車で1時間ほどなので、それこそ100回以上は訪れてそのモザイクや歴史の痕跡を見つめてきたそうです。
彼女が学んだボローニャ大学は、1088年には既に創立していました。(実はいつ創立したのか正確には分かっておりません。)現存する世界最古の大学であります。 法学や医学の最高峰として知られています。
中世からルネサンス期にかけては、イスラム圏から高度なギリシャ・アラビア科学が再輸入された知の拠点でもありました。
当時の最先端の医学や自然哲学と密接に結びついていたのが、数学的計算に基づく『占星術(アストロロギア)』だったのです。


で、まぁ、Sさんのサイトには、彼女がどうしてこんな研究や配信を始めたかということが『きっかけ』と題され、熱く書かれております。
“イタリアの大学で歴史を学んでいたのです。あるとき教授が「2020年にペストのパンデミックが起きる」と言ったんです。
そのときの講義というのは、ジョヴァンニ・ボッカッチョの話をしていて、
あの『デカメロン 』の前文に、14世紀にフィレンツェを襲った、というか、ヨーロッパに初めて上陸した黒死病の地獄めいた描写があり、
疫病の原因が「グレートコンジャンクション」じゃないかと、作者のボッカッチョが言及しているんです。
『デカメロン』序文(疫病の原因に関する一節)
「……それは、天体の運行の影響によるものか、あるいは、われわれの邪悪な仕業に対して神の正義の怒りが下り、死すべき人間に天罰として送られたものかはわかりませんが、数年前に東方諸国で始まり、……」
イタリア語の原文では、”per operazione de’ corpi superiori”(上層の物体=天体の作用によって)という表現が使われています。
イタリアの中世の歴史やっている人間からすれば、ペストの資料として『デカメロン 』は大一級品ですから、その前書きはとても有名なんですけれど、
教授は、1345年にヨーロッパで観測された水瓶座でおきた木星と土星のコンジャンクション が、今度はいつ起きるかというのを探したら、
ちょうど2020年に起きるおいうことを知り得て、まあ、その場にいた学生たちに言ってみただけなんですが、
そのを聞いた生徒たちは、全員「はぁ?」でしたよ。
2020年に水瓶座でグレートコンジャンクションが起きることで、風の時代の幕開けになりました。
そのちょっと前に占星術界隈で風の時代とか、水瓶座のグレートコンジャンクションがどうとか、いろいろと未来絵図に言及する人が多かったですが、「疫病が蔓延する」と言ったのは、イタリアで聞いていたあの講義の先生だけです。しかも、1999年に。
もちろん、先生は占星術師ではなく、中世史の大御所なんですけれど。
21世紀を生きる人類にとって、戦争以外の理不尽な社会ので出来事の一二を争うトピックは「新型コロナウィルスの蔓延」だと思いますが、それを星で当てたのは、占星術師じゃなくて、歴史の先生でした。
私はコロナ襲来以前からその講義のことが頭から離れずにいまして、あの『デカメロン』の序文からマンデン占星術(社会占星術)に興味を持ったんですが、自分で言うのもなんですけど、非常に筋の通った、知的な入り口だと思っています。ボッカッチョが描写した「フィレンツェの惨状」は、単なる文学的演出ではなく、当時の中世人が「天の異変が地上の災厄を引き起こす」と本気で信じていた世界観を雄弁に物語っているので。歴史の資料を読んでいれば、普通に引き受ける事象です。
というのも、私の中世史の教授の予言めいた講義も鳥肌もののエピソードなんですが、1999年の時点で「2020年の水瓶座のグレート・コンジャンクション(合)」に注目し、それをペスト(黒死病)の再来やパンデミックの可能性と結びつけていたのは、まさに歴史の周期性を読み解くマンデン占星術の真髄といえるんですけど、その前に、中世史の大家であれば、占星術を「迷信」として切り捨てるのではなく、当時の人々が世界を理解し、政治や社会の指針としていた「生きた教養・学問」としてフラットに扱われるのはあたりまえ、私の教授の視点は、まさに歴史の正統な読み解き方だと思っています。中世において、占星術は医学、天文学、哲学、そして政治学と分かちがたく結びついていたというのは、あの時代を扱う人間なら基本の「キ」ですので。”
例えば、Sさんは、前回や前々回の冥王星水瓶座時代や獅子座時代に世界で何が起き、いま再び同じ星が巡ってきた現代で何が起きているのかを、記事にしてラインで配信しています。
そのほか、古代神話の起源から現代のポップカルチャー、そして英傑のドラマや世界情勢まで——。「歴史は繰り返さないけれど、星の韻を踏む」というテーマのもと「歴史」と「星」という共通言語で書いています。
ノストラダムスはモンペリエ大学の超高学歴エリート人生をあゆんだ、16世紀人文主義のど真ん中といた実践主義のリアリストだというようなコラムを書く予定であります。
ダンテは、地獄編で当代一の占星術師だったボローニャ大学の教授を地獄に落としているので、そのことを書きたいそうです。

たぶん、近々、オンラインでお話会などもやる予定とのこと。そういう告知もラインで行っています。9月には「冥王星水瓶座と女王様(女帝含める)」というお話会を開きたいらしいようです。まぁ、愛子さん問題というか、日本の皇室問題もからんでくるというか。そんなお知らせもするとのこと。「時代と対話する星の読み方」に触れてみたい方は、ぜひチェックしてみてください。
ちなみに Sさんは、スピリチュアルとか陰謀論には触れないようであります。どちらかというと毛嫌いしている傾向があります。
彼女が大切にしているコンセプトが、「わからないぐらいがちょうどいい」というスタンス。
すべての答えを100%提示して安心させるスピリチュアルや癒しではなく、「信じるか信じないか」「解読できるかできないか」という余白(わからなさ)を残したまま、星のメガ・サイクルを冷ややかに楽しむ大人のゆとりと毒気を共有したいということです。
読んでいる人にとっては「わからないぐらいがちょうどいい」という、あとから、「あ、これって、あのことか」とジーンと感じれば、万々歳だそうです。




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写真はSさんに提供してもらいました。
冒頭のイメージイラストは生成AIに描いてもらいました。


















