『史上最高のプロポーズ』

つくし(井上真央)が記憶障害に陥った道明寺(松本潤)の
見舞いに行く。
病室の前で土星のネックレスに触れ、一息つくつくし。
ドアを開けると、道明寺の病室は空。

そこへF3がやって来た。
「おう、牧野。来てたのか。」と西門(松田翔太)。
「どうしたの?帰んの?」と類(小栗 旬)。
「道明寺が、いなくなっちゃった。」
「え??」驚く三人。

アメリカ。
「司を急に呼び出すなんて、今度は何をするおつもりですか?」
母に電話でそう言う椿(松嶋菜々子)。
「司に、牧野つくしの記憶がないのなら・・・
 何も問題ないじゃない!」と楓(加賀まりこ)。
「又司を自分の都合のいいように利用するんですね。」
「あの子がグループの危機を招いたのよ。
 責任取らせるのは、当然!」
楓はそう言い電話を切ってしまう。

病院の待合室。
「退院してるなら一言言えっつーんだよな。」と西門。
「行こう、司んとこ。」
窓の外の景色を見ながら伸びをしていた類が言う。
「え?」
「今から行こう!」
「よし!行ってこい。」と美作(阿部 力)。
「・・・うん。」

類の車の中。
「花でも買ってく?」類が聞く。
「道明寺は・・・花より団子でしょ。」
「司に取っての団子は、やっぱ牧野だよね。」
「私は団子か。」
「司は花になんか見向きもしないよ。
 野獣の本能は、まず食べることだからね。
 一人で大丈夫?・・・だよね!」
「うん!」

道明寺の部屋の前。
不安そうに土星のネックレスに触れるつくし。
ドアをあけようとすると、中から海が出てきた。
「海ちゃん・・」
「つくしちゃん!いらっしゃい!」
「いらっしゃい?」
「どうぞ。
 司君!つくしちゃん来てくれたよ。」
「あ?」
「私、お茶入れてくるね。」海が席を外す。
「・・・退院、してたんだね。
 具合どう?」
「そのネックレス・・・
 ・・・ムカツク!」
「え?」
「つーか、何なんだよ、テメー。
 どうやってここまで入ってきたんだよ。
 類の女だからって、人んちズカズカ入ってくるんじゃねーよ!
 ・・・目障りだ・・帰れ!」
「呆れた・・・」
「あ?」
「あ?じゃないでしょ、このタコ!!」
「タコ!?」
「私は花沢類の女じゃないし、私は私なの! 
 誰々の私じゃないの!」
「テメーな、」
「テメーじゃない!私は牧野つくし!
 大体その口の利き方何よ!」
「何が!」
「わざわざお見舞いに来た人に向かって帰れって!
 やっと最近大人になったと思ってたのに、
 やっぱりあんたは、何も成長してない単なるバカ男だわ!」
「・・・」
「まったくもう、頭くる!!」

「つくしちゃん、ちょっといいかな。」
海が笑顔でつくしを呼ぶ。

「もう、ここには来ないで欲しいの。」
「え?」
「今、いい感じに記憶が戻りかけててね。
 でも・・つくしちゃん来るとイライラするみたいで、
 それって、つくしちゃんにとってもマイナスだと思うんだ。」
「マイナス?」
「大丈夫。きっとすぐに思い出すよ。
 だからここは、海に任せて。」
海は微笑を浮かべ、司の元に紅茶を運ぶ。
「ちょっと海ちゃん、」つくしが後を追う。

「司君、お茶入れてきたよ。」
「お茶はいいから、又あのクッキー作ってくれないか?」
「いいよ!今度、たーーくさん作ってきてあげる。
 海ね、こう見えて結構料理得意なんだよ。」
「本当かよ。何作れんの?」
「うーん、肉じゃがとか。」
「肉じゃがって何だよ。」

「え・・・
 何言ってんの・・・」
楽しそうに話す二人を見つめながら呟くつくし。
つくしの瞳から涙がぽろぽろとこぼれる。

司がその涙に気付き驚く。
「・・どうしたの?」海が聞く。
「・・・もういい。」
そう呟き、土星のネックレスを司に投げつけるつくし。
「あんたは道明寺であって、道明寺じゃないんだもんね。」
悲しそうにそう呟き立ち去るつくしを司は見つめ・・・。

F3と優紀に会うつくし。
「もう会わない!?」と美作。
「いいの、もう。」
「もしかして海ちゃん司に本気かよ?」と西門。
「わかんない。」
「でも酷い!つくしが作ったものを自分が作ったものにするなんて!
 許せない、その子!私が行って来る!」
優紀が席を立つ。つくしがその手を捕まえる。
「ありがとう、優紀。
 でもね・・」
「でも何?」
「でも・・・
 海ちゃんどうこうじゃないんだよ。」
「え?」
「私賭けてたんだよね。
 記憶失っても、一からリセットされても、
 又選んでくれるのは自分だって、妙な思い込みがあってさ。」
「つくし・・・」
「でも違った。
 うぬぼれてたんだよね・・・。」

道明寺の部屋。
土星ネックレスを手に取り見つめる司。
「どうしたの?」と海。
「・・何でもねーよ。」
「いいから言ってみてよ。」
「・・・どうでもいいことなんだけど・・
 何か気になる・・・あの女。」
「つくしちゃん・・のこと?」
「何であいつ・・あんなに怒って・・あんなに泣いて・・・
 あの泣き顔が・・気になってしょうがねー。」
「・・酷いよ・・」海が泣き出す。
「え?」
「いつもいつも一緒にいる海じゃなくて、
 何でたまにしか顔を出さないつくしちゃんのことが
 気になるの?
 海じゃダメなの?
 海は自信あるよ。
 司君が失ったもの、海が埋めてあげる。」
「・・・」
司の胸に飛び込む海。
「好き・・
 海が・・支えてあげる・・」

漁村。つくしの家。
「よーし!今夜は魚の三枚卸に挑戦するぞー!」張り切るつくし。
「お姉ちゃんが漁師さんのお手伝いするようになってから、
 食卓が鮮やかだよ!」と進(冨浦智嗣)。

「つくし、こっちに帰ってきてから妙に元気だな。」
と晴男(小林すすむ)。
「空元気って感じだけど・・・」と千恵子(石野真子)。

そこへ、類から電話が入る。
「司、だいぶ元気になってさ。」
「そう。」
「でね、あきらが快気祝いしないかって。
 牧野も行かない?」
「私も?」
「優紀ちゃん?も、誘ってさ。」
「でもあいつといると、むかつくだけだし。」
「牧野は、踏まれても踏まれても負けない、
 雑草のつくしじゃないの?」
「・・・」

美作家のスキーリゾート。
美作はホテルの部屋を全て貸し切りにして、一行を迎える。
「すっげー・・・」豪華さに驚くつくし。
「あれ?司は?」美作が聞く。
「別で来るって言ってたけど。」と類。
「あっそう。
 ま、温泉もあるし、スキー場もあるし、
 思う存分、楽しんでよ!」
「西門さん、スキー上手いんですか?」優紀が聞く。
「スキーもスノボもプロ級だよ。教えてあげるよ。」
「はい!!
 つくしは?」
「私は、温泉入りたいから、先に二人で行ってていいよ。」
「うん!」
「じゃ、行こうか。」「はい!」
西門が優紀をエスコートする。

そこへ、道明寺が海と共にやって来た。
「あ・・」とつくし。
「よ!」つくしを無視し美作と類の元へ行く道明寺。
「こんにちはー!
 今日はお招きいただき、ありがとうございます!」と海。
類が怒った表情を浮かべ、二人から離れる。

「何で連れてきたんだよ。」美作が小声で道明寺に言う。
「いっしょに来るって聞かなくて。」

「あ、つくしちゃん、久し振り!元気だった?」
「・・うん。」
「あ、待ってよ、司くーーーん!」
海が司の後を追う。

「なんだあれ。
 すっかり彼女気取りだ。」美作が呟く。

温泉に潜っていたつくしが顔を出す。
「はっ!ったく!!
 何考えてんだよ、あのバカ男!!」
「つくしちゃん!」そこへ海がやって来た。
「あ・・」
「ごめんね、飛び入り参加させてもらって。
 ちょうどいい機会だから、報告したいと思って。」
「報告?」
「残念だけど、司君、やっぱりつくしちゃんのこと
 思い出せないみたいなの。
 でもね、だいぶ明るくなったし、
 とっても傾向だと思うんだ。」
「・・そ。
 私、のぼせちゃうから、上がるわ。」
つくしが海の前から立ち去ろうとする。
「・・・それから、言い辛いことなんだけど・・・
 私・・・司君が好きなの。」
「え?」
「ごめんね。
 最初はそういうつもり全然なかったし、
 つくしちゃんのことを裏切ってるって、
 自分を責めたりもしたんだけど。
 ・・思い切って、司君にこのこと打ち明けたら、
 彼も同じ気持ちみたいで。」
「・・・」

「司のやつ、記憶がなくなる前に付き合ってたのが、
 あの海って女だとか思ったんじゃないのか?」と西門。
「意味不明な女を撃退するのは、 俺らにしてやるか!」と美作。
「よっしゃー!
 海ちゃん誘惑大作戦といきますか!」
「イェーイ!」
黙って聞いていた類が西門に雪球をぶつける。
「おいおい。」
「大丈夫だよ。
 そんなことしなくても、あの子と司はそんな風にならない。」
類が言う。
「何を根拠にそんな自信満々なんだよ。」と美作。
「だって、司は野生動物だもん。
 それに・・・あの子に牧野は超えられないよ。」
「でも、牧野もあきらめはいってるじゃねーの?」と西門。
「大丈夫だよ」と類。

ホテルのロビーで窓の外の景色を見つめているつくし。
「あ・・」司がつくしに気付く。

「俺たちが思ってるよりもずっと、
 あの二人の絆は強いよ。
 俺たちが一番見てきたじゃん。」類が美作と西門に言う。
「そうかもしんねーな!」
美作が、類に雪球をぶつけ返す。類が微笑む。

「あのよ、
 ・・・あんた、なんで最近顔見せなかったんだよ。」
「自分が来るなって言ったんでしょ。」
「・・・あんたは、
 あんたは何か知ってんのか?」
「知ってるよ。
 ・・・でもそれは、自分で見つけないと
 意味のないことだと思う。」
司は、その言葉に少し考え、そしてつくしの前から立ち去る。

そんな二人の様子を、海が柱に隠れて見つめていた。

外は吹雪。
つくしが投げつけた土星のペンダントを見つめる司。
「ちくしょう!いらつく!!」
司が呟く。

西門が、もうすぐ夕食、と呼びに来た。
司はすぐに行く、と答える。

いらいらとした様子で立ち上がり、窓の外の吹雪を見つめる司。
そこへ海がやって来た。
「司君!
 クッキー焼いたの。
 ほら、また食べた言ってたでしょ?」
「・・・おぅ。」
「焼きたてだから、この前よりおいしいと思うんだ。
 そういえばね、この前友達に、司君のこと話したら、
 すごく会いたがってね、今度会ってくれる?」
司がクッキーを口に運ぶ。
「・・・!!」
「あ、それから海ね、二人で行きたいとこあって。」
司がクッキーの箱を投げ捨てる。
「・・・何すんの・・・どうしたの?司君・・」
「お前・・・嘘ついたな。」
「・・・え・・」
「この間のクッキー、お前が作ったんじゃねーだろ!」
「・・・」

広間に食事の準備がされている。
窓際でヴァイオリンを弾く類。
「あれ?司は?」と美作。
「さっき呼んだんだけどな。」と西門。
「まだ、みんなそろってないの?」つくしもやって来た。
「優紀ちゃんは?」と西門。
「あれ?先に来てると思ったのに。」
「呼んできてよ。」と美作。
「うん。」

「思い出したの・・全部。」海が司に聞く。
「思い出だせねぇよ!
 でも、忘れたものがどれだけ大事かってこと、
 感覚で覚えてんだよ。」
「でもね、思い出せないのは、自分がそのこと自体を
 拒否してるからだと思うの
 だったら、今から新しい自分と向き合ったほうが
 幸せになれると思う。
 この間のクッキーは、確かに私が作ったんじゃない。
 でもね、それは司君を喜ばせようと思った一心で、」
「お前!なにかっていうと人の為とかいってるけど、
 実は全部自分のためだ。
 お前がいても苛つきも怒りも収まらねー。
 欠けた記憶っていうのはな、
 俺を苛つきと怒りの世界から、
 連れ出してくれたんだよ。
 ・・・お前は俺と一切関係ねー!」
「・・・ひどいよ。
 ・・・こんなに好きなのに・・・。
 ひどいよ司君!」
海が飛び出していく。
司は土星のペンダントを握りしめ・・・

暖炉の前でぼーっとする海。
そこへつくしが優紀を探しにやって来た。
「・・どうしたの?」海が聞く。
「優紀、見なかった?」
「優紀ちゃん?」
「どこ行っちゃんだろ・・」
「・・・忘れものをね、」
「え?」
「優紀ちゃん、山頂のレストランに忘れもの取りに行ったけど。」
「忘れ物?」
「吹雪始めてるし、ゴンドラ止まってるみたいだから
 明日にしたらって言ったんだけど、
 どうしても大事なものだからって。」
つくしは窓の外の吹雪を見つめ・・・
そして飛び出していく。

「おまたせしました。」優紀がやって来る。
「あれ?優紀ちゃん、どこ行ってたの?」と西門。
「温泉入っていました。
 すっごい気持ち良かった!」
「でしょ!」と美作。
「牧野・・・
 あんたのこと探しに行ったけど、会わなかった?」
窓際で外を見つめていた類が聞く。
「え?」


この時、西門と美作はもう食事を始めていて、
でも類は、窓の外を見つめていて。
類のつくしへの想いが切ないです。


「優紀ーーーっ!!」
吹雪の中、優紀の名前を叫びながら探し回るつくし。

「まさか、この吹雪の中、
 出歩いてるんじゃないだろうな。」と美作。
その場をそっと去ろうとする海。
類が駆け寄り、海の肩に手を置く。
「あんた、何か知ってるんでしょ。」
そう言い、海の肩から手を下ろす類。
「え・・・」
「遭難したら確実に死ぬよ。」
「ちょっとはっきり言ってよ!
 つくしに何したのよ!」と優紀。
「・・・」

雪に足を取られるつくし。
「やばいよ・・・」

「なに考えてるのよ!」優紀が泣き叫ぶ。
「どうした?」司がやって来た。
「つくしが・・遭難したかも・・」と優紀
「え?」司が窓の外を見渡す。
「・・・私、そういうつもりなかったんですけど・・
 どうしよう・・
 本当に、ごめんなさい。」と海。
「牧野に何かあったら・・」類が海に歩み寄る。
すると司が、ソファーや手すりを飛び越え、外へと走り出していた。

「優紀ーーーっ!!」
必死に優紀を探すつくしは、雪に足を取られて転んでしまう。

スノーモービルに飛び乗る司。
「司!」美作たちが叫ぶ。
「何であいつ!
 牧野のこと忘れてたんじゃないのか?」と美作。
「本能だよ。
 牧野を助けに行かなきゃいけないっていう。」と類。

雪にうつぶせに倒れるつくし。
「ちきしょう・・・
 あり得ない・・・つーの・・・。」
仰向けになるつくし。
「私・・・死んじゃうのかな・・。
 死にたくないよー・・・。
 私には・・・夢だってあるんだから・・・。
 一生懸命勉強して・・・
 弁護士になって、
 家族みんなで、幸せになって・・。」
自分が弁護士になり、家族と一軒屋を見上げる自分を
想像するつくし。
「ウエディングドレスだって、着たいよ・・・。
 結婚式で、私の隣にいるのは・・・
 隣にいるのは・・・」
ヴァージンロードを父と歩く想像をするつくし。
そんなつくしを待っているのは、白いタキシード姿の・・・
司だ。
「起きろっ!!」
白いタキシード姿の司が怒鳴る。

「おい起きろ!!寝るな!!」
「・・・道明寺?」
「大丈夫か?」
「助けに・・来てくれたの?」
「歩けるか?
 あいつ、ガス欠で壊れちまってよ。」
つくしを抱き起こし、自分のゴーグルをつける司。
「あきらめんなよ。」

「現在行方不明になっているのは、
 英徳学園3年の牧野つくしさんです。
 そして、一緒に行方不明になっているのは、
 道明寺ホールディングスの御曹司・道明寺司さんだという
 情報が入ってきています。」

司がつくしを背負い、吹雪の中、一歩一歩進んでいく。

テレビで司が行方不明と知った楓がテレビを消す。
「またあの小娘と!」
そこへ、ある人物がやって来た。

吹雪の中、司はつくしに「あきらめるんじゃねー。」と
声をかけながら歩き続ける。

「お久し振りです。」
楓の前に姿を現したのは・・・ケン(鶴見辰吾)だ。
「何してんの!?むやみに出歩くなんて!」
「坊ちゃんをこのまま見殺しにする気ですか?」
「あの子はもう、息子でも何でもないわ!」

吹雪の中、辺りを見渡す司は、山小屋を見つけ・・・。

「出てって!
 あなたは表に出られる人間じゃないのよ!」
「坊ちゃんは、私が生きていることを既にご存知です。
 しかし、会長にはそのことを一切話されなかった。」
「何を言っているの!?」
「私は坊ちゃんに見つかり、その時に全てを白状したんです。」

あの日・・・。
「本当にすみません。この通りです!
 どうか、お許し下さい。」
土下座して司に謝るケン。

「すべてを話さなければ、殺されると思いました。」
ケンが楓に言う。

「・・・家族は。」司がケンに聞く。
「・・・え?」
「奥さんや子供達は元気なのか?」
「・・・はい。」
「本当に元気なんだな、ケン!!」
「元気です。」
「・・・良かった。」
心から安心したように司が呟く。
ケンの横にひざまずき、顔を見つめながら司が続ける。
「生きてて良かったよ・・ケン。」
「・・・」
「本当に良かった・・・」
そう言い、ケンの胸で涙する。

「坊ちゃんは、生きていた自分の為に涙を流して
 下さいました。
 会長、もう充分、坊ちゃんは、グループのトップに
 立つべき人間です。
 手遅れにならないうちに、一刻も早く、
 特別部隊に救助命令を!」

山小屋。
「大丈夫か。」
司は自分の上着を脱ぎ、つくしを温める。
「今火を起こすからな。」暖炉に薪をくべる司。
「ゆ・・・優紀は?」
「別荘にいる。
 海が嘘ついたんだよ。」
「そっか・・・。良かった・・・。」

暖炉の火が燃えている。
傍らに、非常持ち出し袋。
道明寺の荒い息に、つくしが目を覚ます。
「道明寺!・・・」
寒さに震え、膝を抱える道明寺。
「あ、道明寺・・ありがとう。」
「・・おう。大丈夫か?」
「思い出したの?記憶。」
「残念ながら・・思い出せねーよ。」
「え?
 ・・・じゃ何で私のこと・・」
「何でだろうな。
 お前が遭難したって聞いたら、
 体が勝手に動いた。」
「・・・」
道明寺が倒れこむ。
「え・・ちょっと、大丈夫?
 やだlすごい熱!」
つくし司を暖炉の側に引きずり、そして上着をかける。
「大丈夫だよ。」と道明寺。
つくしは非常持ち出し袋から、生理痛の薬を取り出す。
「ま、いっか。
 口あけて。
「え?何だよ。」
「薬。」
「医者が調合した薬じゃないと、」
「黙って言うこと聞いて!」
つくしに一喝され、素直に薬を飲む司。
「朝には、誰か来ると思うから、頑張って。」
「お前、寒くねえのかよ。」
「貧乏人は寒さに慣れてるから大丈夫!」
つくしはそう言い、司にマフラ-を巻きつける。
「お前・・・貧乏人なのか?」司が笑う。
「そうだよ!悪い?
 それに私は、雑草のつくしだから。」
つくしはそう言い、司の体をさすって温める。
「・・なあ。
 いつかも、こんなことあった気がする。」
「・・・え?」
「俺は雨ん中、待って、待って、待ち続けて・・・
 俺たちは、どこにも逃げらんないところに、
 閉じ込められて・・・」

エレベーターの中に閉じ込められた時のことを思い出す司。
その時のことを思い浮かべるつくし。

「それで俺は風邪ひいて、
 力尽きて・・・
 あの時も確か、
 俺は、無理やり、薬飲まされて、
 あっためられて、
 それに、二人一緒に・・・一晩過ごして、
 あのとき俺が一緒にいた・・・
 俺が生まれて初めて・・
 惚れた女は・・・」

エレベーターの中で一緒に朝を迎えたときのこと。
夕焼けに照らされて二人がキスをしたこと。

司が目をパっと開き、つくしを見つめ、そして微笑む。
「牧野・・・。」
つくしの瞳から涙がこぼれる。
「お前が俺の・・運命の女だ。」
「・・・ありがとう。
 やっと思い出してくれたね!」
そう言い、つくしが司を軽く叩く。
「そうだ・・。」
司がポケットからネックレスを取り出す。
「・・・持っててくれてたんだ。」
司が起き上がる。
「お前こそ・・・
 川ん中、拾いに行ったのかよ。」
泣きながら頷くつくし。微笑む司。
そして司は、ネックレスをつくしの胸に戻すのだった。
見詰め合う二人。
「やっぱり俺たちは・・・運命共同体だ。」
泣きながら微笑むつくし。
おでこをくっつける二人。
司が嬉しそうに、幸せそうに微笑む。
そして司は、つくしの涙を指で拭うと、
つくしをしっかりと抱きしめた。
司の胸で涙が止まらないつくし。
大切そうにつくしの頭を撫でる司。

そして二人は、抱きしめあったまま眠り・・・

翌朝。
「大丈夫ですかーーーっ!!」救助隊員が救出に来た。
「何だお前ら、勝手に入ってきやがって。」
司とつくしが飛び起きる。
「遭難してたんじゃ・・」救助隊員の男(東野幸治)が言う。
「は?あ・・そうなんじゃー!」
仲良く一つのマフラーでつながれた二人。
「う!何!?寒っ!!
 私この人と関係ないんで!!」とつくし。
「おい牧野!
 それが、スウェーート、ハニーに、言うセリフかよ!」
「は?スイート・ハニーでしょ!
 発音だけで英語も弱かったんだ。」
「バーカ!
 英語だって言葉なんだから、強いも弱いもねーだろ!
 本を読め本を!」
「出たーー・・・」とつくし。

「何してたんやこの二人・・」あきれ返る救助隊。

「優紀ちゃん!見つかったってよ!!」西門が知らせる。
「良かった・・・良かった・・・」泣き出す優紀。
「泣くな。」美作が頭をポンポン叩いて喜びを分かち合う。

そんな三人の姿を窓から見つめる海。
「ごめんなさい・・・
 本当に・・・ごめんなさい・・・」と泣き崩れる。

そこへ、類がやって来た。
「泣いても許されないよ。
 あんたが、心から生まれ変わらない限り、
 誰も許さないから。」
類はそう言い海を睨むと、その場を立ち去る。

つくしの家。
「お帰り!!」
家族が笑顔でつくしを迎える。
「心配かけて、ごめんなさい!!」とつくし。
「生きててよかったよ、つくし!」と晴男。
「今日はお祝いのご馳走よ!」と千恵子。
「お祝いって・・どうしたの?この料理!」
「漁村の人たちがね、ご祝儀代わりにって。」
「ご祝儀?」
「何とぼけてるのお姉ちゃん。」と進。

「おめでとう!つくし!!」晴男が新聞を掲げる。

『道明寺財閥後継者助けた女性
 婚約発表秒読みか?
 一年超に渡る交際実る!?
 現代のシンデレラストーリー』

「何これ!でたらめばっかりじゃん。」とつくし。
「うちの社長もこれ見て戻って来い!
 また、やり直そうって言ってくれたんだよ!」と晴男。
「え?」
「また社宅に戻れるのよ!」と千恵子。
「それ最高!!
 って・・言いたいとこだけど・・」とつくし。
「さー、ご飯にしましょう!!」上機嫌の家族。
「まったく・・どうなってんのよ、勝手に。」
新聞を裏返すと、
『全世界に激震!
 ナノテクノロジーを駆使した大発明!
 米企業から提携の申し入れ殺到!
 助けられた命、大切に』
それは、先日つくしが自殺を思いとどまらせた男だった。
「このおじさん・・・
 ほんとに大発明だったんだ!」
つくしが嬉しそうに呟いた。

その遠山が、楓を訪ねていた。
「うちと、提携を?」と楓。
「おそらく向こう30年間は、IT業界を独走できると
 思いますが。」
「願ってもないお話ですけれど、なぜうちと?」
「ご子息の結婚話が本当であればですが。
 いや、もしそのお話が本当であれば、
 時期社長である坊ちゃんのお力添えを、
 ありがたく、させていただきたいと思いまして。」
「司・・・、うちの息子と、お知り合いですか?」
「つくしちゃんが、遠山さんの恩人らしいですよ。」
椿が部屋に入ってくる。

部屋で一人考え込む楓。

「つくしちゃんはおそらく、道明寺グループの救世主だと
 思いますが。」
「もう認めて差し上げていいんじゃないですか?
 司をここまで変えてくれたのは、つくしちゃんですわ、
 お母様。」と椿
遠山と椿に言われたことを考え楓は・・・。

司をビルの屋上に呼び出す楓。
「こんな朝っぱらからなんだよ
 俺はこの道明寺家とは、もう関係ない人間だろが。」
「・・・あなたに、道明寺グループを任せます。」
「あ?」
「あなたを、後継者として指名するわ。」
「ふざけんじゃねえ!!
 ・・・でも、・・・どうしても後継者になって
 ほしいっていうんだったら・・・
 条件がある。
 西田を俺の秘書にしろ。
 俺は有能な秘書をクビにしたままにするほど、
 バカな経営者じゃねーんだ。」
司はそう言い立ち去った。
そんな司の背中を楓は微笑を浮かべて見送った。

「司!」椿が駆け寄る。
「姉ちゃん!」
「聞いたわよ~!良かったわね~司!」
そう言い司を抱きしめる。
「おぅ!
 で、姉ちゃん、ひとつ協力してほしいんだ。」
「なに?」
「今からな、ニューヨークに飛びたい。」
「何しに行くの?」
「改めて、大河原財閥と話つけてくる。
 結婚は無しになったけど、
 ビジネスとして、話をつけてきたいんだよ。」
「・・・なるほどね!」
「牧野は。大河原財閥との話がチャラになったのは、
 少なからず自分のせいだと思ってるからよ。」
「もう一度、合併の話がうまくまとまれば、
 つくしちゃんの気も少しは晴れると!」
「ああ!
 あいつの卒業式には戻ってきたいから、
 すぐにでもニューヨークに行きたいんだ!」
「よし!二人の為なら何っでも力貸すよ!」
「サンキュ!姉ちゃん!」
「賢くなったね~!」椿がまた司を抱きしめる。
「まあな!」

「こうして道明寺は、ニューヨークに旅立った。
 そして私は、明日卒業式を迎える。」


「つくし!道明寺さんから、宅急便きたぞ。」
晴男が大きな箱を持ってきた。
中には美しい真っ赤なドレスが入っていた。
「素敵なドレスじゃない!!」家族が感激する。
「え?私には似合わないよ。」
「タッタタッタタッタタッタ
 玉の輿!」晴男と進が歌い、踊り出す。
「何言ってるの!
 英徳のプロムっていったら、一目見たいって、
 日本全国から大勢の人が来るんでしょ!」と千恵子。
「うん・・」
「ママの夢だったんだから!
 大観衆の前につくしが英徳のプロムで踊る姿!
 もちろん!道明寺さんと踊るのよね?」
つくしが嬉しそうの微笑んだ。

平成十八年度 英徳大学附属高等学校 卒業式

卒業式に向かう牧野家の車がぬかるみにはまってしまう。
千恵子、つくし、進が後ろから押すが、抜け出すことが
出来ない。
「ダメだ、パパ。全然動かないよ。」
進と千恵子が車に戻る。
「え・・」
「もう一回!せーの!!」海が助けに入る。
「海ちゃん!?」
懸命に車を押す海。
「・・・よし!せーの!」
つくしと海が力を合わせて車を押す。
するとタイヤがとつくしも一緒に押す
タイヤが泥を跳ね上げ、動き出した。
泥だらけの二人。
お互いの姿に笑い合うつくしと海。

学校。
「どうしたのかしら、牧野さん」
「いないならいないで、気分いいじゃない。」
リリーズが噂する。
卒業式が終わり、みんながプロム会場、武道館へと移動していく。

車に乗り込む牧野家。
「海ちゃんありがとう!」
「つくしちゃん、今までいろいろごめんなさい。」
「もういいって!」
「本当にごめんね!」
つくしが笑顔で海に手を振る。
海も笑顔で手を振りつくしを見送った。

武道館。
英徳学園卒業プロム2007
正装した参加者が続々と会場入りする。

F3が入り口前に立っている。
「司、ニューヨークから戻ってくるんだろ?」と西門。
「うん。
 ・・・あ!」
類が、静(佐田真由美)の姿を見つける。
静が笑顔で手を振った。

牧野家の車が、今度はガス欠で止まってしまう。

「静!どうしたんだ。」と西門。
「司から連絡があったのよ。
 プロムに絶対に来てくれって。」
「みんなに牧野と踊ってる姿、見せたいんじゃない?」と類。
「類!会場に案内してくれる?」
「喜んで。」
類が静に手を差し伸べる。

「ちょっとパパー!
 このままじゃつくし、間に合わないじゃない!」と千恵子。
「ほんとパパ、ダメダメだなぁ。」と進。
「ごめんごめん!!」
「もう卒業式終わっちゃってるよ・・」とつくし。
「つくし、行くのよ!」
「え?」
「早く!
 あんただけでも、プロムの会場に早くいくのよ!!」
千恵子が武道館の方向を指差す。
「うん!」つくしが走り出す。
「頑張れー!」「頑張ってー!!」
修がドレスの箱を掲げて応援する。

プロム会場。
「みなさーん!
 お久しぶりです。お元気?」桜子(佐藤めぐみ)が姿を現す。
「桜子・・・」と美作。
「誰待ってるんですか?
 道明寺さん?道明寺さんでしょ!?」
「牧野。」と西門。
「え!?冗談でしょ!
 もうそろそろ始まるんでしょ?
 もしかしてプロム不参加?
 どうしたんだろつくしちゃん!
 あ、わかった!ドレスがないんじゃない?
 ま、ドレス着ても微妙だとは思うけど、
 ほらつくしちゃんってあんまり可愛くないし、
 もうどこ行ったのかしらー。
 道明寺さーーーん!」
そう言い走り去る桜子。
「なんだありゃ?」と西門。
「相変わらずだなー!」と美作。

「いい気味よねー!」
 道明寺さんに結婚宣言されたみたいだけど、
 ニューヨーク行っちゃたみたいだし!
 もしかして本格的に捨てられたんじゃない?」
「それがショックで恥ずかしくて顔出せないとか!」
リリーズが噂する。

「道明寺くんとつくしちゃん来てないの?」
千石屋の女将(加藤たか子)が聞く。
「もう始まってるのに・・。」と優紀。
「やだよー、もうあの子たちは、最後の最後まで。」

そこに、車が到着する。司が降りてきた。
「おう!みなさんサプライズパーティーへようこそ!」
「ほんと主役がいないんじゃサプライズだよな」と西門。

「ハロー!みなさーん!」
司の車から滋が降りてくる。
「おいおいおい!何で二人セット!?」と美作。
「もしかしてサプライズって・・」と西門。
「これから俺様からの、重大発表があるから心しておけ。」
司が言う。

会場へと走るつくし。
「早く・・・早く行かなきゃ・・」

走るつくしの前に楓が立ちはだかる。西田も一緒だ。
「相変わらず・・・
 汚い格好して。」楓が笑う。

「牧野が来てない?どういうことだよ!」と司。
「それはこっちが聞きてーよ。」と美作。
「道明寺さん、これから何するつもりですか?」と優紀。
「つーかプロムもそろそろ終わるぜ、おい。」と西門。
「つくしちゃんたらほんとどこ行っちゃったのよ・・」と女将。

「司!」
椿が司にOKサインを出す。
「姉ちゃん・・」

「乗っていきなさい。」と楓。
「え!?」
「どうぞ。」西田が車のドアをあける。
「あ・・私・・きちんと、ご挨拶もしないで・・
 すみません。」
「行くわよ西田。」
「はい。」

「奥様はあんたを認めてくれたんだよ!」
声に振り返ると、タマ (佐々木すみ江)がいた。
「先輩!!」

「あの・・・
 ありがとうございます!」楓の乗った車に駆け寄るつくし。
「出しなさい。」運転手に穏やかに言う楓。
「今度改めて、ご挨拶に伺います。」とつくし。
楓が微笑み、そして窓から手を出して振った。

「さあ、つくし!
 パーティーに遅れちまうよ。急いで!」とタマ。
「はい!!」

「ありがとうございました!!」
車が武道館に着いたときは、すっかり日は落ち、
プロムの看板も取り外す作業中だった。
「え・・・嘘・・・。」
会場内へと走るつくし。

会場の戸を開けると、中は真っ暗。
「間に合わなかった・・・」
「おせーぞ!!」司の声。
「え?」
司が姿を現す。
「道明寺・・。」
「何だお前、その格好は!
 俺様がが送ったドレスがあっただろ!」
「あ!!忘れた!!」
「忘れた?
 ・・・さいっこうだな!」
司が微笑む。
「ったくお前は。」
「私はやっぱり、雑草のつくしだからさ。
 ドレスとか似合わないんだよ。」
「・・・牧野!」
「うん?」
「最高のおまえに、・・・伝えたいことがある。」
「なーに?」
「結婚してくれ!」
「・・・え?」
「この俺様と、・・・結婚しろ。」
司を見つめるつくし。
司がつくしに手を差し伸べる。
「牧野!」
「・・・」
司に、一歩一歩、ゆっくりと歩いていくつくし。
「散々遠回りもしたし、
 散々嫌な思いさせちまったけど、
 それでも俺が一緒にいてーから・・・
 俺と結婚しろ。」
「はー・・・。
 しょーがないな。」
微笑みあう二人。
つくしが司に手を伸ばし、二人は手をつなぐ。
「私があんたを幸せにしてあげてもいいよ。」
「宣戦布告だな。
 やってもらおうじゃん!」
司はそう言い、つくしをお姫様抱っこした。

その途端、照明が会場を照らす。
満員の観客席。
二人は大歓声と拍手、そして紙ふぶきに包まれる。
驚くつくし。

「つくしちゃん!おめでとう」椿がやって来た。
「え・・何これ・・」
「プロムは終わっちまったけど、
 みんなに頼んで待っててもらったんだ。」と司。
「嘘でしょ!?」感激して泣きそうになるつくし。
「なんてたって、俺様からのプロポーズだからよ。」

ウェーブで盛り上がる観客たち。

「おめでとう!」観客席からタマが声を張り上げる。

「ツッキー!」とリリーズが。
「お祝いしにきたぞー!」と滋が。
「おめでとう!」と優紀が。
「やったね!つくしちゃん!」と女将が。

「やだ嘘でしょ!羨ましい!」と桜子が。
「綺麗よ、つくしちゃん!」と静が。
「ばんざーい!ばんざーい!」と美作が。
「やったな、司!」と西門が。
「おめでとう!」と類が。

みんなが、司とつくしを祝福する。

「あり得ないっつーの」
司を見つめて幸せそうにそう言うつくし。
司も幸せそうに微笑んだ。

バラの花を一輪つくしの制服の胸ポケットに挿すと、
「踊るか?俺様と。」司が手を差し伸べる。
つくしがその手を取ると、司がつくしを引き寄せる。
微笑みあう二人。
「行くぞ。」
みんなの前で踊る二人。

二人を祝福するように、ダンスパーティーが始まる。
つくしが美作と、西門と、類と、
笑顔を交わしながら順番に踊っていく。
ダンスが終わると、類がつくしを抱き上げた。
(子供を"高い高い"するように)

「どうぞ。」西田が車のドアを開ける。
「私は・・・行かないわ。」
「はっ。」
「西田。」
「はい。」
「行きたかったら・・行きなさい。」
「・・・失礼します!」
西田が嬉しそうに会場へ向かう。

外にいる楓にも、会場の歓声が届いていた。
微笑む楓。

牧野家。
司がつくしとの結婚の許可をもらいに来ていた。
「お父さん・・・
 結婚してください。」と司。
「喜んで!」と晴男。
「娘さんをくださいでしょ!」つくしが司に言う。
「・・噛んだ!?」道明寺が慌てる。
「は?全然違うこと言ってるし!
 お父さんと結婚してどうするのよ!」
幸せな笑いに包まれる牧野家。

「お兄ちゃまーー!
 お兄ちゃま大好きー!」
双子の妹に抱きつかれる、キスされるあきら。
「あきら君、早くー!」少女のような母があきらを呼ぶ。


「美作さん。
 F4の中で、一番大人で、一番やさしい人。」


バイクにまたがる西門。
「西門さん!乗せてもらえます?」と優紀。
「あー・・ヘルメットないから、また今度な!」
「え?西門さん!!ちょっと待ってー!!」

「西門さん。
 F4で一番の遊び人だけど、本当は純粋な人。
 思い通りに生きろと、いつも背中を押してくれた。」


公園のベンチに座りヴァイオリンを奏でる類。
類の前で、少女が聞き入っている。


「花沢類。私の初恋の人。
 いつでも、どんな時でも味方でいてくれた、
 私の一番の理解者。」


「これあげるよ。
 大きくなったら弾きな。」少女にヴァイオリンを渡す類。
「ありがとう!」
類は少女の頭を撫で、晴れやかな表情で空を見上げながら
歩き出した。

「本当に、本当にたくさんのありがとうを言いたい。

 そして・・・運命の人、道明寺司。
 これ