検疫室へようこそ ~PBFDを考える3~
PBFDを考える2の続きです。
免疫力というと、小学生の時の予防接種を思い出します。
予防接種は、効力を弱くした病原体(ワクチン)を体内に入れることで、
それを排除しようとして体の中の免疫反応を利用するものです。
今後、予防接種で入れたのと同じ病原体が体の中に入ってきた時には、
その免疫で予防ができるようにするものです。
PBFDウイルスが陰転した鳥は、これと同じ一連の現象が体内で起こったということになります。
ひとたびPBFDを克服できたと確実に分かった鳥は、今後免疫が付いているのでもうPBFDにはならない、と言えるかもしれません。
しかし、ワクチン(わざと人間が作った薄めたりした病原体)と違って、
実際のウイルス感染を受けた個体では、免疫に関して不確定要素が多いのが事実です。
つまり、完治したといっても、免疫がどの程度ついたのかはわかりませんし、
体の中では内臓にウイルス感染によるダメージが残っているかもしれません。
また、その個体には何か感染を受けやすい素因があることも考えられます。
したがって、PBFDが完治したからといって、今後PBFDには罹らないとは言い切れませんし、ましてや他の個体よりも丈夫に育つとは決して言えないのです。
PBFD陰転済と、ペットショップなどで書かれた鳥を見かけた場合には、
ワクチンとは違うんだ!という事を思い出してください。
陰転個体は確かに、今後PBFDにならないかもしれませんが誰にもそれは証明できないのです。
うちでは、セキセイインコのベイジュがPBFDでした。
彼女は、引き取った時には無症状のPBFD陽性個体でした。
そこから、治療をして無事3回の検査で陰性の判定が出て、現在も元気に暮らしています。
つまりPBFD陰転個体となったわけです。
今も、元気でけろっとしています。
さて、ここでひっかかるワードがでました。「治療」です。
だって、特効薬ないじゃないか!と当時私の頭の中は大混乱だったのですが(笑)
治療ができないわけではないのです。
ただ、特効薬ではなくあくまで補助です。
ベイジュで、獣医さんから処方されたのは下記の物。
・ 羽を強くする薬(PBFDは羽が抜け落ちる症状がでます)
・ 自己免疫力を強くする薬(免疫増強剤)
・ PBFDは、免疫力を下げる症状を出すので免疫力が下がれば治らないどころか他の病気にかかります。他の病気の予防のための、抗生剤。
以上の薬をベイジュは、処方されていました。
具体的には、獣医さんによっても薬の内容や考え方は変わりますが、同じなのはPBFDは鳥の自己免疫力でウイルスを排除(陰転化)させることです。
他の病気と一緒で、早期発見が治療に大切なのは確かです。
白色オウムであっても、どう長くお付き合いしていくかを考える上で獣医さんにじっくりお話を聞いてみるのは大切だと思います。
検疫は大事です!検査は大事です!
私達は、それを今までも身を持って感じてきました。
考えの甘さで、失敗もたくさん経験しました。
愛鳥さんを治せるのは獣医さんかもしれませんが、病気のサインを見逃さず予防が出来るのは私達や皆様だけです。
長文になってしまい申し訳ありません。
読んでくださった皆様ありがとうございました。ネットを通した形ですが、少しでもこれらの情報が皆様のトリさん達に還元できましたら光栄です。