地元のお魚の美味しさを全国のお子さんに伝える。mogcookをご存知ですか?
mogccokさんは地元の旬のお魚を離乳食パッケージとして全国に展開されています。
お魚のフレークやお粥も展開されているmogcookさんに商品や背景、今後の展開について伺ってきました。
mogcook)私どもの商品として、形状としては2パターンありまして。
1食あたり10g
これは厚生労働省の離乳ガイドっていう離乳食の進め方の指針があるんですけど、それで1日に必要なタンパク質の量がこれくらいだよっていうガイドがあって、それに基づいて1食分としてあります。
こちらは皮付きで、骨は手で取ってあります。
こちらはフレーク状にしてあります。
骨も皮も取り除いたものをこちらは飽和蒸気過熱器という、まぁ要は圧力鍋のようなものがありまして、加圧加工をかけることで(魚の)身自体もホロホロになるのと、
お魚っていうのはどれだけ気をつけて取り除いたとしても細かい骨が残っていたりするので、それが残っていたとしてもこの加工法だと骨が口に残らないほどに柔らかくなる。そういう特徴があります。
お子様の離乳食の進み具合に応じて選んでいただけるように展開しています。
離乳食の初期にはこういったフレークを使っていただいて、中期、後期に向けて切り身に進んでいただくという。
お魚というのは、皮がついている方が皮と身の間の脂があって、再加熱したときにジューシーに仕上がるし、魚の美味しさもよく分かるんです。
皮を取ってしまっているフレークはこれに比べるとちょっとパサパサしてしまうんです。
魚本来の美味しさをわかっていただく、楽しんでいただくという意味では、こちらを(皮付き)をおすすめしています。
離乳食の本によっては、「皮を取ってください」とか結構書いてあるんですけど細かく切刻めば問題ないだろうと管理栄養士さんにも相談させていただいた上でこのような(皮付きの)形状にさせていただいています。
皮は気になるようであれば、お箸で簡単に取り除くこともできますし、細かく刻んでいただくなどの方法でご案内させていただいています。
つばめ)この切り身は生の状態が冷凍してあるんですか?
mogcook)これは、一回加熱をするんですよ。基本的な流れとしては、地元の漁港から仕入れます。
それを大きくさばいて、フレークは先程申し上げた飽和蒸気加熱で加工して、切り身はスチーム、要は蒸し器ですね。
100℃で加熱をして、それを冷まして冷凍するという形で。
mogcookでは3パターンのコースを用意していまして、
大きく分けて離乳食初期のフレーク、
離乳食中期には皮付きの切り身の白身魚ばかりのもの、
そして離乳食後期には赤身魚や青魚なども入ったものがあります。
赤身魚や青魚にはヒスタミンが含まれているものもあってアレルギーの観点からも離乳食後期にという形で分けさせていただいています。
魚種に関しても、毎月その時上がっている旬のお魚を基本的に選ぶようにしています。なので、お客様がお魚を選ぶというのではなく、こちらが旬のお魚をお届けするという形になっています。
つばめ)いいですね。知らないお魚に出会えるといういうのは。
mogcook)そういう点もウケていると言うか、ご好評いただいています。
都会ではなかなか食べられない、まず見たことがない魚に出会えるという。
つばめ)そうですよね。都会では普通に暮らしていたらスーパーに並ぶお魚としか出会えないですもんね。
mogcook)それで、お魚と一緒にこういうカードを用意していまして。
これはどっちかと言うと、お母さん向けといいますか。
お母さんがお魚の栄養ですとか生態を知っていただける情報が入っていて、お子さんとこうやって(絵を見ながら)遊んだり出来るように。
あとは、レシピですね。(webでも無料公開されています)
離乳食のそれぞれの時期に合わせたレシピを3種類用意しています。
つばめ)そもそも離乳食に焦点を当てられたきっかけというのは?
mogcook)地元側の話からしますと、我々は元々デザインの仕事をしてまして、地元の水産関係の方とのつながりがあって。
そこでだんだん地元の魚が売れなくなっているという悩みがあって。
お魚が売れてくれないと(デザインの)仕事もなくなっちゃうよねということで、何かしたいよねということで模索していたんです。
そこに、この町出身で今は東京で子育てをされているという方が赤ちゃんに離乳食を食べさせるってなったときに、お魚はタンパク質が豊富で脂質が少なくてビタミンミネラルも豊富で、離乳食に適しているという情報はあるけれども
「じゃあどのお魚を食べさせたらいいのか」という問題があって。
さっきもおっしゃったように、都会のスーパーに並んでいるお魚は種類が限られているじゃないですか。
例えば白身魚だったら鯛や平目とか。それもお刺身になっていたりして結構高額だったり、産地も日本のものとは限らなかったり。
安全性という面でもどこまで守られているかというところがちょっと心配な部分もあるという話がありまして。
それで、
「地元においしい魚があるのだから、これを離乳食用に加工してはどうか」
というご提案をいただきまして、それを商品化したという流れになります。
つばめ)実際に購入されるお客様のエリアといいますか、どちらにお住まいのお客様が多いですか?
mogcook)だいたい東京神奈川・・・首都圏が多いですね。大体4割くらいが東京都神奈川になっています。あとは地元の方もちょこちょこ買われる方も多いんですけど、そういった方はご自身は地元にお住まいで、名古屋や東京にお住まいのお孫さんに「プレゼントしたい」という形で買っていただく方が多いですね。
つばめ)都会にはない美味しいものをという思いもあるでしょうね。
それに、どこで獲れて、誰が加工して・・・という顔が見える安心感もありますよね。
mogcook)そうですね。私どもも安全性と言うか、赤ちゃんが食べるものをネットで買うというところで、出せる情報は出して行かないとお客様もなかなか信頼できないだろうし。
それで、「地元の紀伊長島と尾鷲を中心に水揚げされた魚です」と言い切っています。
加工するところも、2業者ありまして、紀北町と尾鷲と一つずつお願いしていまして。
コンセプトをしっかり伝えて、魚種のセレクトや加工の仕様など、基本的な企画はウチでやらせていただいて、仕入れ・加工・保管を業者さんでやっていただくという連携でやっています。
なので、ウチの方でコントロールして品質は保っているという形になります。
つばめ)立ち上げてから軌道に乗るまでには結構かかりましたか?
mogcook)結構かかりましたね。離乳食っていうのが、始まってから終わるまでが長くても1年ということもあって、お客さんの入れ替わりがあるので。
最近やっとある程度多くの方に知られるようになってきて、お客さん同士の輪や紹介で回るようになってきたんですけど、
これからは離乳食を卒業したお子さんやご家族といった年齢軸にもお渡しできるものを充実させていけばもっと価値あるものが出来ると思っています。
つばめ)つばめSpoonProjectとしてもmogcookさんといつか一緒に何か出来ないかな、と考えたときに、「中途障害者」といいますか、今まで美味しいものを食べるという経験を積んできた方が高齢や病気などの後遺症でこれまでどおりの食事が食べられなくなったという方がたくさんいらっしゃって。
そういった方の食生活を充実できないかなという思いがあります。
今、スマイルケア食とか、ユニバーサルデザインフードなど様々な動きがありまして、言語聴覚士学会でも離乳食のように摂食嚥下障害を持つ方々への食事の形状の区分があるんですね。それを地域のカフェやレストランや業者の方がもっとわかりやすく取り組めるようにとこういう大きな枠を作ってご紹介させていただいているんです。
先程もおっしゃってましたが、離乳食だと1年サイクルでニーズが変わってきてしまうのですが、障害者・高齢者の場合は障害が発生してから一生ニーズがあるものなので、そういったニーズに応えられる動きが一緒に出来たらと・・・。
mogcook)実はうちのお客様でも、そういう用途で買われる方も実際いらっしゃって。ご自身の旦那さんにとか。
やっぱり、そういうニーズはあるんだろうなと思いつつ、あとはどれだけこう技術力として応えられるかという。基本的には手でさばいていますし、ペースト状への加工など、我々もまだ知識が足りないところもありますが、出来る範囲なら、可能ならそういったお話はありがたいなと思います。
あとは、現状として毎月「旬のお魚の離乳食」という形で時期によってお魚を変えているんですけど、こういう形での提供となった場合に漁獲量の関係でどれだけの量を準備できるかというところもありますね。
地元の魚の美味しさやそれを獲る人、加工する人のことをよく知るからこそ大切に事業展開されているのがお話から伝わってきます。
離れているけれど、繋がっている。そんな温かい気持ちにさせていただきました。
mogcookさんのページにはお魚以外にもお野菜のペーストやおかゆ、お出汁など安心安全な食材を使った商品をご覧ただけます。