ミキサー食のお話をもう1つ。
介助をする人、調理する人は実は嚥下食の「味」をよく知らなかったりします。
スプーン1杯程度の味見ではなく、
1食分の味。主食(ミキサー粥やミキサーがけの麺、パンなど)、主菜・副菜 全てがミキサーがけになっている状態としての、味。
今回は、つばめSpoonProjectのワークショップにご参加のお母さん達から伺ったお話をご紹介しますね。
それは、
玉ねぎちゃん。
生の玉ねぎに辛みや苦みがあるのは言うまでもないのですが、じっくり炒めたり煮たタマネギは甘みが出て美味しいですよね
でも、この玉ねぎをどう調理しても(シチューやカレーでコトコト煮たものでも)
「イヤイヤ・・・」になってしまう子が多いそうなのです。
玉ねぎの辛み成分である硫化アリルは加熱することでプロピルメルカプタンという砂糖よりも甘みの強い成分に変わるのだそうです。
それじゃぁ、しっかり熱を通せば大丈夫♪
と思ってしまいがちですが、
しっかり加熱したものをミキサーにかけることで、細胞壁が破壊されて加熱変化しきらない硫化アリルが味に反映されてしまう様なのです。
私も我が家でしっかり加熱したシチューをミキサーしてみましたが、確かに後味に
わずかですが苦みを感じました。
一度、「おいしくないなぁ」という経験をしてしまうと、玉ねぎの匂いをかいだだけで
「あ!あれだ。イヤだなぁ・・・」
と学習してしているのかもしれませんね。
でも、それはその子(その人)にとって「より美味しいものを食べたい。美味しくない経験から身を守りたい」という生きる力だと言うことも出来ます。
学校や施設の給食ではどうしても 固形物を作ってからミキサーがけ・・・という手順が常になりがちですよね
大人数分を調理する都合、致し方ないのかもしれません。
やってみて発見したのですが、ミキサーにかけてから再加熱することで後味の苦みがすこしマイルドになります。
これは、普通食を食べていてワサビや生姜、刻み葱などという薬味の美味しさをたのしめる人には分かりにくい繊細な違いなのかもしれません。
特にお子さんの場合は刺激のある味に敏感に出来ています。
これは、生き物としての種を守るための先祖から受け継がれた機能なのかなぁ・・・と考えたりもしています。
ミキサー食。されどミキサー食。奥は深いですね。
そして、ミキサー食適応の人は自分で調理したり、自分で買い物に出かけて食材を選ぶことが困難なことがほとんどです。
1食、同じように食べてみて発見することもあると思うのです。
食べるひとも 作る人も 介助する人もみんながハッピーでありますように♪
つばめSpoonProject でした♪