そして、目的地のキャンプ場に到着してから、2日間。

それはいろいろあった。


☆高原教室ダイジェスト☆

①飯ごう炊さん 

 ~惣一・つばめ・夜須斗班~

「あー、たる・・・ 薪重すぎ・・・」


「ねーえー、夜須斗っ 

僕たちいつまで薪運びしなきゃいけないのぉ?」


惣一・つばめは、

夜須斗の役割分担によってひたすら薪を運んでいた。
ちなみに女子メンバーが野菜を切り、

夜須斗は火おこし。

単純肉体労働に飽きた2人が、文句を垂らす。


「お前たちに包丁持たすとか怖すぎて無理。」


「じゃあ僕たちが火おこす!!」


「やめて。火種が消えるから。」


「チェッ・・・夜須斗が肉体労働したくねーだけじゃねーの?」


夜須斗がばっさり切り捨てても、なおも食い下がる惣一に、

夜須斗が効果覿面な一言。


「・・・じゃあ任せてもいいけど。

もし失敗したらお前らの責任で俺ら全員夕飯抜・・・」


「「薪、運びます!!」」


なんとしても夕食にはありつきたい2人だった。



 ~仁絵・洲矢班~

一方のこちらの班は、驚くほどスムーズに事が進んでいた。


トントントントン・・・


「わーっ、洲矢君上手! 

お家でお料理しないって言ってたのに・・・」


洲矢と一緒に野菜を切っていた女子メンバーが感嘆の声を上げる。

調理実習以外の料理経験は無い洲矢だったが、

元来器用なためか、すぐにこなせてしまうのだった。


一方、仁絵はというと、1人で火おこしをしていた。

洲矢たち以外には、未だ転校初日のあの一件のイメージが強く、

女子メンバーには避けられがちだった仁絵だったが・・・


「っ・・・重っ・・・」


薪運びをしようとしている女子メンバーを見て、

仁絵はスッと立ち上がった。そして・・・


「おい。」

「えっ!? な、何・・・?」


怯える女子に、一言。


「女が、んな重いもん持つな。男使え。」


そう言って、仁絵は女子の持っていた薪をヒョイと持ち上げた。


「え・・・あ、ありがとう・・・」


「別に。」


・・・この一件は、クラスの女子に密やかに広まり、

仁絵の株が急上昇したとか何とか・・・



②肝試し

肝試しは、霧山の怪談話からスタートしたのだが・・・


「・・・そこに、1人の白装束の女性がたたずんでいました。

『連れてって・・・私を連れてって・・・』
少年は走ることも出来ずにその場に尻餅をつき・・・

その瞬間、前にいたはずの女性は消えて、

後ろから肩をガッ!!!・・・」


「「「「「「「「キャーーーーーーーッ!!!」」」」」」」」」」」


・・・もはや最初からクライマックスだった。



 ~惣一・つばめ・夜須斗班~

「お、俺は怖くないからなっ」
「ぼ、僕だって!!」


「いや、絶対ビビってんでしょ、お前ら・・・」


明らかに冷や汗をかきつつ、

物好きにも先頭きってへっぴり腰で歩いていく2人に、

夜須斗は苦笑する。


この後、最初の幽霊役の教師の登場から

惣一・つばめ+女子2人は叫び続け、
やっとのことでゴールしたところで、風丘に大爆笑されるのだった。



~仁絵・洲矢班~

一方、こちらの班は、

昼間の飯ごう炊さんでの仁絵の頼もしさはここでも健在だった。


「・・・ひーくん・・・腕つかまってていい?」


「はぁ? 洲矢、こんなんが怖いのかよ・・・ 別に良いけど・・・」


洲矢は、仁絵の許可を貰うとぎゅっと仁絵の左腕にしがみつく。
すると、女子メンバーもそれに便乗しだした。


「洲矢君・・・私も・・・いい?」

「いいよっ 怖いよねっ(ノ△・。)」


・・・と、いうことで、結果的に・・・


「おい・・・さすがに歩き辛いんだけど・・・」

「だって・・・」


洲矢の後ろに女子3人がつながる状態になった。


「はぁ・・・俺が先頭歩くとつまんなくなるぜ?」


まだ歩き出してもいないのに洲矢に抱きつかれながら、

その後ろの女子を見やる仁絵。
だが、その女子たちは・・・


「いいっ つまんなくて全然いいからっ」
「柳宮寺君、お願いします!」


女子にもそう言われ、仕方なくその状態でスタートした仁絵班。

その言葉の通り、

行く先々で、仁絵は隠れている先生お化けをいち早く発見し、

『お札を取れ』といった指令もさくさくクリアし、

あっという間にゴールしてしまった。
・・・またもや仁絵の株が上がったのだった。



③キャンプファイヤー(フォークダンス&スタンツ)

そして、オリエンテーリング、バーベキューと時は流れ、

2日目の夜。

まずは、フォークダンスの時間。


何だかんだで、風丘たちの指導のかいあってか、

5人組を含め、全員真面目に振り付けを覚えて踊っていた。
輪の中には風丘や霧山も入り、

オクラホマミキサーなど、踊る人が入れ替わっていくダンスで2人が近づくと、

女子たちのテンションが心なしかあがっているようだった。



そして、いよいよのスタンツの時間。

女子グループのアイドルグループの完コピや、

ショートコント、ミニ演劇なんかもある中、
惣一たちのグループはトリだった。


「よーし、行くぜっ!!」
「うんうんっ」


「肝試しの時の『ビビリ』のイメージのままじゃいられないだろうからね。」

「夜須斗っ!!」


「・・・いい感じでやりゃいいんじゃん?」
「うんっ!!」


惣一・つばめが選んできた曲は、大人気○ャニーズアイドルの曲だった。
ノリノリの惣一・つばめに、ニコニコの洲矢、

比べて夜須斗や仁絵はちょっと気怠そうだったが、
歌い踊る5人に、観客の生徒たちも大いに盛り上がり、

師陣も感心するできだった。



こうして、スタンツを大成功に収めた5人。
そして、明日はいよいよ帰宅。
・・・・・・・・・が、もちろん、このまま普通に終わる5人でもなかったのだった。