

※こちらの作品は、「テニスの王子様」二次創作の
スパ小説となっております。
原作を知らなくても
ある程度ストーリーが分かるように構成しているつもりですが、
あらかじめご了承ください。
また、二次創作が苦手な方、原作のイメージを壊したくない方は
バックお願いします。
「赤也はいるか!?」
部活がオフの日の放課後。
部室に血相を変えて飛び込んできたのは、
立海テニス部副部長の、真田だった。
探し人は、同じテニス部、2年生の切原赤也。
が、あいにく部室には、事務作業をしていた部長の幸村しかいなかった。
探し人は、同じテニス部、2年生の切原赤也。
が、あいにく部室には、事務作業をしていた部長の幸村しかいなかった。
「どうしたの、弦一郎。そんなに大声出して。」
「赤也に、今日の放課後話があるから教室に来い、と言ったんだが・・・」
「話って? テニスのこと?」
「いや・・・勉強のことだ。」
「勉強・・・? あぁ、クスッ なるほど。
それにしても、そんなことにまで口を出すようになったのかい。
まるで父親みたいじゃないか。クスクスッ」
まるで父親みたいじゃないか。クスクスッ」
幸村は、真田の話を聞いて合点がいった、という風な顔をして、
それからクスクス笑い、真田をからかう。
すると、真田はばつが悪そうにしながらも、反論した。
すると、真田はばつが悪そうにしながらも、反論した。
「し、仕方がなかろう!
あいつを受け持つ英語科の教員が俺に泣きついてくるんだぞ!」
「弦一郎は赤也を押さえられる数少ない1人だからね。」
「お前もだろう、幸村・・・。」
「クスッ 俺は弦一郎ほど面倒見良くないよ。
でも・・・分かった。部室に来たら、足止めしておいてあげるよ。
とりあえず、蓮二にでも聞いてみたらどうだい? 生徒会室にいると思うよ。」
とりあえず、蓮二にでも聞いてみたらどうだい? 生徒会室にいると思うよ。」
「生徒会室にいるのに赤也の居場所が分かるのか?」
ふと真田が疑問を投げかけると、幸村はさらりと答える。
「だって蓮二だよ?」
「・・・そうだったな。愚問だった。」
そこで、真田は部室を出て、生徒会室に向かった。
「蓮二。」
「・・・弦一郎か。どうした、こんな所に。」
「赤也がどこにいるか分かるか? 用があってな。」
「赤也? そうだな・・・屋上ではないか?
あいつは、行き場に困ると屋上に行く癖がある。」
「そうか・・・助かる。」
「いや、たいしたことではない。」
ということで、蓮二に言われて、屋上に行くと・・・。
(本当にいた・・・さすがだ、蓮二・・・)
そこには、地べたに寝ころんでいる赤也がいた。
真田は近づいて、声をかける。
「俺との約束を放棄して呑気に昼寝か? 赤也。」
「ゲッ・・・真田副部長っ・・・」
ようやく真田に気づいた赤也が、焦ったように体を起こした。
この様子では、どうやら約束を忘れていたわけではないようだ。
この様子では、どうやら約束を忘れていたわけではないようだ。
「俺は屋上ではなく教室に来いと言ったはずだが?」
「い、いやー、3年の教室ってなんか行きづらくってー ハハハ・・・」
笑って誤魔化そうとするが、真田の放っている怒気のオーラが強すぎる。
空気が重い。
空気が重い。
赤也が尻すぼみに黙ってしまうと、真田が溜息を1つついて、口を開いた。
「・・・部室に行くぞ。」
「え? ちょっ ふくぶちょっ・・・ちょっと!」
腕を掴まれ、そのまま引き摺られるように連れて行かれた。
部室に到着するまで、一度も離してはくれなかった。
部室に到着するまで、一度も離してはくれなかった。
コンコンッ
「どうぞ。」
部室には、まだ幸村が残っていた。
真田に捕まっている赤也を見て、微笑む。
真田に捕まっている赤也を見て、微笑む。
「クスッ 捕まっちゃったみたいだね。赤也。」
「幸村部長っ・・・助け・・・
「てはあげられないよ。悪いのは赤也だろ? しかも逃げたりして。」
縋るような目をした赤也を、バッサリ切り捨てる。
「部長~っ(T_T)」
「俺の用事は済んだから。弦一郎、済んだら鍵、掛けておいてくれる?」
「あぁ、分かった。」
「それじゃあね、赤也。」
「うぅ・・・」
幸村は赤也の肩をポンッと叩くと、部室を出て行った。
残されたのは、赤也と真田の2人だけ。
再び空気が重くなる。
再び空気が重くなる。
真田はおもむろに、
先ほどまで幸村が座っていたパイプ椅子を引き寄せると、そこに座った。
そして、厳しい目を赤也に向け、口を開く。
そして、厳しい目を赤也に向け、口を開く。
「この前の中間テストで・・・お前の英語の点数は何点だった?」
「えーと・・・その・・・・忘れました・・・」
赤也が、ぼそぼそと答えると、代わりに真田が言う。
「23点。完璧な赤点だった。
あの時お前は俺に殴られて、次は赤点は取らんと約束したな?」
「あー・・・えっと・・・」
そう、確かにした。
赤也が返答に困っていると、さらに真田が問いかけてくる。
「それで。今回の期末テスト。何点だった?」
「あのー、それは・・・その・・・」
それはさすがに覚えている。が、答えられはずがない。
だって、その点数は・・・
「12点。前回よりひどい。当然の如く、赤点だ。」
「あぅ・・・・はい・・・」
矢継ぎ早に言われ、最後は頷くしかなかった。
が、赤也は何とかしようと、意味もなく弁解しようと試みる。
が、赤也は何とかしようと、意味もなく弁解しようと試みる。
「でも、俺ら日本人ッスよ!? 日本語できりゃいーじゃないッスか!
だいたい、誰だってありますよ、苦手教科の1つや2つ!
だいたい、誰だってありますよ、苦手教科の1つや2つ!
真田副部長だってあるでしょ?」
この状況でこんなことを言えるのは赤也ぐらいだろう。
その度胸は感心できる。
しかし、この状況でこの態度は、褒められるものではなく・・・
その度胸は感心できる。
しかし、この状況でこの態度は、褒められるものではなく・・・
「無いことはない。だが、赤点を取るような・・・
もっと言えば平均点を下るようなものはないな。」
「うっ・・・」
「更に、お前以外のレギュラーで赤点を取るような者はいない。
ブン太が多少苦労はしているが・・・毎回どうにかなっている。
ブン太が多少苦労はしているが・・・毎回どうにかなっている。
お前だけだ。赤也。」
「う・・・」
「しかも、今の態度では少しも反省していない。
俺の最初の約束は放り出す。
前回を踏まえた上での今回、ということもある。
お前は、1発殴られた程度では何も懲りんようだな。」
前回を踏まえた上での今回、ということもある。
お前は、1発殴られた程度では何も懲りんようだな。」
「いやっ 決してそんなことはっ・・・」
雲行きが怪しい。
てっきり、今回も鉄拳制裁を加えられるのだと思っていたのに。
それでも、痛いものは痛いし、真田のお説教もついてくるしで、
てっきり、今回も鉄拳制裁を加えられるのだと思っていたのに。
それでも、痛いものは痛いし、真田のお説教もついてくるしで、
それが嫌だから屋上で渋っていたのに。
この雰囲気では、鉄拳制裁だけでは済まない感じになっている。
まずい、非常にまずい。
この雰囲気では、鉄拳制裁だけでは済まない感じになっている。
まずい、非常にまずい。
赤也が焦って、後ずさった時だった。
「うわっ・・・ちょっ!?」
突然腕を引かれ、気づけば自分の体は真田の膝の上にあった。
「ま・・・さか・・・っ 副部長!?」
「顔は何発も殴れんからな。尻を叩く。」
そう言って、真田は切原の制服のズボンと下着を脱がしにかかる。
お尻が露わになって、そこに手を置かれたとき。
いよいよとなって、赤也は振り返って真田を見た。
お尻が露わになって、そこに手を置かれたとき。
いよいよとなって、赤也は振り返って真田を見た。
「マジっス・・・か?」
「冗談ですると思うか?」
「あ、いや・・・」
先ほど以上に厳しい目を向けられ、赤也は黙るしかなかった。
それにしても、今の状況は恥ずかしすぎる。
顔がほてるのを、嫌でも感じる。
顔がほてるのを、嫌でも感じる。
「平均点は65点だそうだ。足りない分、53発、
それから俺との約束をほっぽらかそうとした分、20発、
前回から何も反省していなかった分で20発。端数切り上げで100発だ。」
それから俺との約束をほっぽらかそうとした分、20発、
前回から何も反省していなかった分で20発。端数切り上げで100発だ。」
「なっ・・・!?」
ようは、百叩き宣言。
そして、1発目は唐突に赤也のお尻を襲った。
バッチィィィィンッ
「いってぇっ!!」
バチィンッ バチィンッ バチィンッ バチィィンッ
「いったっ・・・ふくぶちょっ・・・ちょっ・・・いたぁっ!」
いつもなら1発で済む衝撃が、何発も何発もお尻に降ってくる。
100発あるので、恐らくいつもの張り手よりは多少加減されているのだろうが、
赤也からしてみれば受ける場所が顔じゃないだけで、痛みは大差ない。
100発あるので、恐らくいつもの張り手よりは多少加減されているのだろうが、
赤也からしてみれば受ける場所が顔じゃないだけで、痛みは大差ない。
というか、痛みは蓄積されているので、いつものより数倍ひどい。
バチィンッ ベシィィンッ バチィンッ バッチィィンッ
「いってぇっ! さなだっ・・・ふくぶちょ・・・いてぇぇっ」
「・・・・・・」
痛みは断続的に降ってくる。
辛いのは、真田が終始無言なところだ。
何かリアクションしてくれた方がまだ楽だ。
泣こうが喚こうが、真田は一言も喋らない。
足をバタバタさせれば、咎められるようにお尻と太ももの境を叩かれ、
手でかばおうとすれば、すかさず腕を背中に縫い止められ、
何かリアクションしてくれた方がまだ楽だ。
泣こうが喚こうが、真田は一言も喋らない。
足をバタバタさせれば、咎められるようにお尻と太ももの境を叩かれ、
手でかばおうとすれば、すかさず腕を背中に縫い止められ、
罰だと言わんばかりにひときわ強く叩かれる。
その間も真田の口からは一言も発されない。
その間も真田の口からは一言も発されない。
バチィィンッ バチィンッ ベシィィンッ バシィンッ バチィンッ
「ってぇぇぇっ うぁっ いたいっ 真田副部長っ! うぁぁぁっ」
「・・・」
泣いても喚いても、名前を呼んでも、何も答えてくれなくて。
こうなれば、100発を耐えきるしかない。
拳を握りしめ、永遠に続くかとも思われる平手にひたすら耐える。
赤也の目には、いつの間にか涙が浮かんでいた。
頭に浮かぶのは、「どうして勉強しておかなかったのか」
「どうして呼ばれた時点で素直に行かなかったのか」という後悔ばかり。
が、時すでに遅しだった。
こうなれば、100発を耐えきるしかない。
拳を握りしめ、永遠に続くかとも思われる平手にひたすら耐える。
赤也の目には、いつの間にか涙が浮かんでいた。
頭に浮かぶのは、「どうして勉強しておかなかったのか」
「どうして呼ばれた時点で素直に行かなかったのか」という後悔ばかり。
が、時すでに遅しだった。
バチィンッ ベシィィンッ バシィンッ バチィンッ バッチィィンッ
「いたぁぁっ・・・うぇっ・・・ってぇぇ~・・・くぅぅっ・・・うぁぁぁぁっ!」
・・・不意に、平手が止まった。
ハァハァと、肩で息をする。
泣き声を押さえようとして嗚咽が漏れる。
終わったのか・・・と、固くしていた体の力を抜いた時。
泣き声を押さえようとして嗚咽が漏れる。
終わったのか・・・と、固くしていた体の力を抜いた時。
ようやく、真田が口を開いた。
「・・・あと3発だ。」
「ハァハァ・・・ぅぇっ・・・ッス・・・」
まだ終わりじゃなかったのか・・・と落胆するものの、
あと3発で終わるんだ、と思い直す。
が、その続きはすぐには降ってこず、
代わりに真田の声が上から降ってきた。
「テスト前日の夜遅くまで、河川敷のコートで練習しているな。」
「・・・・・・ッス・・・」
「もちろん、練習は大切だ。怠ければ、すぐに腕は鈍る。
だがな、赤也。テニスは、あくまで部活だ。」
だがな、赤也。テニスは、あくまで部活だ。」
「っ!? 副部長・・・?」
「そう急くな。俺たちは学生だ。
学生であるからには、勉強はしなければならない。
すべきことをする、それを前提として、その上で成り立つのが部活、テニスだ。
すべきことをする、それを前提として、その上で成り立つのが部活、テニスだ。
いくら俺たちが全国レベルだからといって、
それが勉強をないがしろにして良い理由にはならない。」
「・・・」
「お前を受け持つ英語の教師が言っていたぞ。
『テニスばっかりやってて勉強が疎かになっている』とな。」
「っ・・・それ・・・は・・・」
「そのようにテニスが悪く言われて気持ちが良いか?
本当は全てがそのせいではなくても、
本当は全てがそのせいではなくても、
今のお前の様子では、そう言われても仕方がない。」
「ぅっ・・・」
「それにだ。赤点ではどうせ追試になって、落ちれば補講があるだろう。
どちらにしろ時間は取られて、結局部活に来れなくなる。
どちらにしろ時間は取られて、結局部活に来れなくなる。
それでは意味がないではないか。」
「うっ・・・」
反論しようが無い。
赤也は、真田の膝の上で縮こまって聞くしかなかった。
赤也は、真田の膝の上で縮こまって聞くしかなかった。
「やるべきことをやるべき時にやらないければ、後にツケが回ってくる。
何度も同じことを繰り返して・・・・そろそろ学習しろ!」
何度も同じことを繰り返して・・・・そろそろ学習しろ!」
バシィィィンッ
「ってぇぇぇっ! ッス・・・」
不意に再開された平手に、赤也は声をあげる。
「それから。嫌なことから逃げるな。勉強も、俺に呼ばれた時も。」
バシィィィィンッ
「うぁぁぁぁっ はいっ・・・!」
「最後に。俺はお前のテニスに期待をしている。その気持ちは変わらない。
お前はもっと強くなる。だから、こんなつまらないことでつまずくな。」
お前はもっと強くなる。だから、こんなつまらないことでつまずくな。」
「ッス・・・すいませんでしたっ!!」
真田に説教されて、赤也は自然に謝罪の言葉が出ていた。
納得した上での、自然な謝罪。
納得した上での、自然な謝罪。
「最後だ。」
「っ・・・はいっ」
バッチィィィィィンッ
「あぁぁぁっ! いってぇ~・・・」
強烈な100発目。赤いお尻に、更に赤い手形が浮き上がるほどの一撃だった。
制服を整えて、涙をぬぐう。
真田は、その間、黙って窓から外を見ていた。
「真田副部長・・・」
身支度が済んで、赤也が声をかける。
真田は、ふと赤也の方を見て、先ほどとは少し違う、柔らかい声で答えた。
真田は、ふと赤也の方を見て、先ほどとは少し違う、柔らかい声で答えた。
「あぁ、終わったか。それじゃあ、出るぞ。」
真田が立ち上がったとき。赤也は、ガバッと頭を下げた。
「ありがとうございましたっ」
それを見て、真田は少し笑い、赤也の肩を叩く。
「・・・あぁ。強がるな。痛いだろう。」
「・・・マジッスよ! 本気で、死ぬかと思った・・・」
真田にそう言われ、赤也もやっといつもの調子に戻って受け答えする。
「尻を叩かれたくらいでは死なん。赤也にはこちらのが効くようだな。
これからはいつもこれにするか。」
「ゲェッ!? 勘弁してくださいよ~ まだ鉄拳制裁のが・・・」
「あぁ、それから、追試までの勉強、柳生に見るように言っておいた。
後であいつと話しておけ。」
「うっわ・・・柳生先輩スパルタなんスよ!?」
「お前にはむしろそれのがいいだろう。覚悟しておくんだな。」
「勘弁してくださいってば~」
2週間後、
むしろテニスの練習より辛くハードだった柳生のスパルタ指導のおかげで、
赤也は無事追試に合格したのだった。
赤也は無事追試に合格したのだった。