

※こちらの作品は、「テニスの王子様」二次創作の
スパ小説となっております。
原作を知らなくても
ある程度ストーリーが分かるように構成しているつもりですが、
あらかじめご了承ください。
また、二次創作が苦手な方、原作のイメージを壊したくない方は
バックお願いします。
「金ちゃん、ホンマに大丈夫か?」
四天宝寺中テニス部部長、白石蔵ノ介はそう不安げに、
ニコニコ笑っているスーパールーキーに問いかけた。
「大丈夫やってさっきから言うてるやん! 白石は心配性やな~」
「富士山あるのが東京やなんてゆうて、
東京ちゃうくて静岡県で下りたりしたんはどこのどいつや?」
「せやから・・・あれは・・・たまたまや、たまたま!!
もう覚えたで! 富士山は静岡県!ってなっ」
「はぁ~~~~」
四天宝寺中男子テニス部は、
明日の土曜日、他校との練習試合を控えていた。
今回は四天宝寺中が他校へ出向くことになったのだが、
その学校の所在地からして、
その学校の所在地からして、
一度四天宝寺中に集まってから出かけるのは二度手間だから、と、
現地集合にするように、と監督の渡邊オサムから言われたのだ。
現地集合にするように、と監督の渡邊オサムから言われたのだ。
ただ、これに関して部長の白石には心配の種が一つあった。
1年でスーパールーキーの呼び声高い遠山金太郎だ。
金太郎の家の場所だと、
同じ方向の、その日の練習試合に参加するレギュラーの部員がいないため、
このままだと金太郎は1人で来ることになってしまう。
ただ、金太郎には全国大会時、
このままだと金太郎は1人で来ることになってしまう。
ただ、金太郎には全国大会時、
白石が言ったように東京と静岡を間違えるという、
素晴らしい勘違いっぷりを披露してくれた前科があるため、
白石は心配になって、
素晴らしい勘違いっぷりを披露してくれた前科があるため、
白石は心配になって、
千歳に金太郎を迎えに行って、一緒に来てくれるように頼んだのだ。
それで、千歳は快く了解してくれたのだが、なぜか当の本人が
それで、千歳は快く了解してくれたのだが、なぜか当の本人が
「そんなんいらん! ワイ、1人で行けるで!!」
と言って聞かないのだ。
子供扱いされるのがイヤなのか(今更だが)、
なにやらプライドが邪魔したのか。
何にせよ、とにかくイヤだと言って譲らない。
何にせよ、とにかくイヤだと言って譲らない。
「ワイの家まで来るのに、千歳、電車乗るんやろ?
電車賃、もったいないやん!」
と言って。
「せやけどなぁ、金ちゃん・・・・ ほんまに、ほんまに大丈夫なんか?」
「大丈夫やって!」
無邪気にニコニコ笑ってそう言う金太郎を見て、白石はう~んとうなっている。
そこに、そんなやりとりを見ていた千歳がやって来た。
そこに、そんなやりとりを見ていた千歳がやって来た。
「まぁまぁ、白石。 金ちゃん。1人で大丈夫やね?」
千歳がニッコリ笑って金太郎にそう言うと、金太郎も元気よく返事する。
「さっきからそう言うてるやん!!」
「金ちゃんもそう言っとるし、どうせ言ったって聞かんから、任せたらどがんね?」
千歳がポンッと白石の肩に手を置いた。
しかし、白石は少しは心が動いたようだが、まだう~んとうなっている。
そんな白石を見て千歳が苦笑する。
そんな白石を見て千歳が苦笑する。
「筋金入りの心配性やね。
・・・だけん、こげん押し問答ずっとしとっても、
まわりがじれったくなるだけたい、
金ちゃんは折れそうになかし、
金ちゃんは折れそうになかし、
白石がずーっと悩んどっても、時間の無駄ばい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
しばらく考え込んだ白石は、ため息をついてこう言った。
「しゃーないな・・・金ちゃん、ちゃんと間違えんように来るんやで?」
「おぅ! まかせとき!!」
金太郎は、ニッコニコの笑顔で返事をした。
「とりあえず、金ちゃんケータイ持ってへんから、
念のために俺のケータイ番号のメモ渡しとくわ。」
そう言うと、白石はジャージのポケットからメモとボールペンを取り出し、
自分の番号を書くと、金太郎に手渡した。
自分の番号を書くと、金太郎に手渡した。
「ええか、何かあったら、すぐ公衆電話探して電話するんやで?」
「わかってるて!!」
上機嫌な金太郎。白石はそんな金太郎を見ながら、
「(ホンマは何もあったらあかんねんけどな・・・・)」
とまたまたため息をついた。
そして、翌日。
集合場所にした相手校の正門前。
集合時間を30分も過ぎて、来ていないのは・・・・案の定、金太郎だった。
四天宝寺のレギュラーは、あまり時間をシビアに守れ、守れ、という風潮はなく、
基本10分ぐらいの遅刻ならセーフと見なされる。
基本10分ぐらいの遅刻ならセーフと見なされる。
(というか、それを見越して白石が10分早く設定している)
今日も、ユウジ・小春コンビやら財前やらが5分ちょっと遅れてきたのだが、
今日も、ユウジ・小春コンビやら財前やらが5分ちょっと遅れてきたのだが、
それくらい問題ない。
しかし、30分以上過ぎれば、さすがに「問題ない」なんて言ってられない。
しかし、30分以上過ぎれば、さすがに「問題ない」なんて言ってられない。
「案の定、来ぇへんな・・・・」
白石のため息に、千歳や他のメンバーが苦笑する。
「・・・・あかん、さすがにもうそろそろ挨拶に行かんと。
全く・・・こんな日に限って、オサムちゃんは途中合流やし・・・
しゃーないな、小石川。」
しゃーないな、小石川。」
「おぅ。何?」
「みんな連れて、先行っててくれ。俺は金ちゃん、ここで待ってるわ。」
「そら、ええけど・・・」
「あんまり長いこと部長がおらへんのは、まずくないっスか?」
財前が口を挟む。
「分かってる。せやから、試合開始予定時刻になったら、俺も合流する。
金ちゃんは待つんは、それまでや。」
試合開始時刻までは、挨拶、集合、各校コート練習等を挟むので
なんだかんだでまだ1時間半近くある。
それくらいあれば、さすがに来るだろうと思ったのだ。
それくらいあれば、さすがに来るだろうと思ったのだ。
「もしも・・・それで来ぇへんかったらどないすんねん?」
謙也が尋ねる。
「そん時は・・・まぁ、どうにかするわ。
まぁ、そうなったら金ちゃんには、後で毒手で泣いてもらわなあかんようになるけど。」
まぁ、そうなったら金ちゃんには、後で毒手で泣いてもらわなあかんようになるけど。」
「うわ、こっわぁ・・・」
「金太郎さん、かわいそうやねぇ。」
「金太郎さん、かわいそうやねぇ。」
「お前ら、金太郎はん来ない前提やないか・・・。」
白石の言葉に反応するユウジ・小春に銀が軽くつっこむ。
「まぁ、あれだけ言い張ったけん、それで来なかったら、それは自業自得やね。
んなら、先行ってるわ。」
んなら、先行ってるわ。」
そう言って、千歳が先陣を切るように正門の中へ歩いていくと、
他のメンバーも続くように歩き出し、正門は白石1人になった。
「ふぅ・・・・・・。 こっちから連絡とれへんってのは不便やなぁ・・・・
金ちゃん、まさかあのメモ忘れたりしてへんやろな・・・。」
最初はそんなことを少しイライラしながら考えていた白石だったが、
さすがにそこから30分も経てば心配にもなる。
「いくらなんでも遅すぎるわ・・・
金ちゃんの家からこの学校までフツーに電車乗って来れば20分やで?
迷ったんならもうとっくに連絡して来たって・・・・・
まさかほんまに何かあって・・・・」
迷ったんならもうとっくに連絡して来たって・・・・・
まさかほんまに何かあって・・・・」
それから更に15分。試合開始時刻まで残り30分ほどになった時だった。
ピリリリ~~~♪
携帯の着信音が鳴った。
すかさずそれを取ると、聞こえてきたのは、半泣きの金太郎の声だった。
「白石ぃ~~~」
「金ちゃん・・・・やっぱり迷ったんやろ・・・? で、どこや、今。」
「しょ、昭和町・・・・・」
「昭和町!? アホ、それ路線は合ってるけど、
方面正反対やろ、来なあかんのは『梅田』や、『梅田』!」
「へ・・・・逆・・・?
あ、な~~~んや、通りで『梅田』なんて着かないはずや!」
白石に指摘され、金太郎は納得いった、という感じでそう言う。
そんな金太郎に白石はガク~ッとしながらも、
そんな金太郎に白石はガク~ッとしながらも、
「せやから、乗り直して早く来ぃや。
試合、最初っからは無理やろけど・・」
早口でそう言う、白石に、金太郎が話を遮る。
「あ~ 白石・・・」
「ん? 早よせんと、いい加減に俺も怒る・・・」
「乗り直すの、無理やねん・・・」
「は?」
予想外の金太郎の言葉に、白石が一瞬ポカンとする。
「ワイ、ピッタリの電車賃しか持ってきてへんねん!
また乗り直す電車賃なんて持ってへんわ!」
開き直ったように明るく言いはなった金太郎に、
白石は一瞬ピキッとキレ、怒鳴り声をあげた。
「金太郎ぉ・・・・・・・・・・・・・『持ってへんわ』やないやろ!!!!
何してんねん!!」
「ひっ・・・そんな怒鳴らんといてや・・・
しゃーないやん、乗り間違えるつもりなんてなかったし・・・」
さすがに金太郎もびっくりしたのか、勢いがしぼむ。
「はぁ~・・・・・・・・帰りの電車賃分も持ってへんの?」
「・・・・あ。帰りも電車乗るんか!」
「金ちゃん・・・・・・・・・・・そこ動かんと待っとき。
俺が迎えに行ったるから。」
呆れて物も言えない白石は、仕方なくそう言った。
「ほんま!? あ、でも白石、試合・・・」
「そんなんどーにかする。
今は金ちゃん野放しにしとくほうが百倍心配やわ。
・・・まぁ、せやけど金ちゃん・・・帰ったら毒手の覚悟しとくんやな。」
・・・まぁ、せやけど金ちゃん・・・帰ったら毒手の覚悟しとくんやな。」
「は? ちょっ、白石、今毒手って・・・・」
ピッ
金太郎の言葉を聞くことなく、白石は携帯を切った。
一方、電話を切られた金太郎は。
(最後・・・白石『帰ったら毒手や』言うてたよな・・・・
イヤや、毒手イヤや~~~(T_T) )
金太郎は、白石の『毒手』がだいっきらいだ。
というか、お仕置きが。
白石が『毒手』と呼ぶ左腕に巻かれた包帯を外すのは
白石が『毒手』と呼ぶ左腕に巻かれた包帯を外すのは
自分をお仕置きする時だけ。
・・・・というか、『自分を』というのは、
・・・・というか、『自分を』というのは、
白石が自分以外をお仕置きするのを見たことがないからなのだが。
白石は、母親のように口うるさく心配性な面もあるが、
滅多に手を出したりはしない。
しかし、その分、一度やる、と言ったら絶対にやめてはくれないのだ。
しかし、その分、一度やる、と言ったら絶対にやめてはくれないのだ。
「うぅっ・・・逃げよかな・・・・・でもそんなんしたらよけい白石怒るし・・・・」
電話ボックスの前で悩むこと数分。
そして、金太郎が達した結論は・・・・
「あーっ!!!! もう、難しいこと考えるのはやめや、やめ!
もう、なるようになれ、や!
毒手でも何でもなるようになれ、っちゅうことや!」
毒手でも何でもなるようになれ、っちゅうことや!」
という、何とも投げやりなものだった。
「それより、早よ白石来ぇへんかなぁ~
こうなったら、ワイも早く対戦校行って、試合したいわ~
まぁ、ワイら四天宝寺より強いわけあらへんけど、
まぁ、ワイら四天宝寺より強いわけあらへんけど、
でも試合しないよりはするほうが楽しいしぃっ」
・・・・何とも調子の良いルーキーだった。