こんにちは、椿です(*´ω`)

 

今回はDRAMATIC STARSのRainy Memoriesについて考えます。

 

突然ですが、皆さんは今まで挫折をしたことはありますか?

(SideMについて語ろうとすると人生の話になる)

種類や大小は問いません。仕事でも恋愛でも、どんなことでもいいです。

 

 

 

 

 

 

…何かしらの挫折が思い浮かんだ皆さん、その挫折はもう乗り越えましたか?

そもそも「挫折を乗り越える」って、どうしたら乗り越えたことになるのでしょうか。

気にならなくなったら?忘れられたらでしょうか??

 

正しい答えは分かりませんが、この歌は私の考える『本当の意味で挫折を乗り越える』歌です。

 

 

 

あくまで個人の考えですので、至らぬ点はご容赦くださいませ。

 

 

ドラスタと挫折

 

ひとりの男の子のために弁護士事務所を辞め、

その後上手くいかなくなってしまった。

 

姉の命を奪った病気を治すための研究が、

お金がないというだけで進められなくなった。

 

初めてのフライトでパニックになってしまい、

以降飛行機に乗せてもらえなくなってしまった。

 

この歌を歌っているDRAMATIC STARSの3人は、全員前職で挫折を経験しているんですよね。そんな3人が歌うからこそ、心に響くものがあります。

 

 

題名について

 

この歌の中ではRain(雨)『悪いものに感じるけれど、良いものでもある』=挫折)という絶妙なニュアンスで使われています。

 

雨が好きな人もいると思いますが、多くの人は雨が降ると出かけるときに面倒くさいとか、洗濯物が乾かないとか、マイナスな印象を持つでしょう。

一方で、雨が降ることで水不足が解消されたり、野菜や果物などがよく育ったりするのも事実。雨は恵みにもなるのです。

 

Memoriesはいくつか意味がありますが、この歌の内容的にしっくりくるのは『追憶』でしょうか。

 

Rainy Memories。雨の追憶。

全てが悪いわけではない過去の記憶、というわけです。

 

 

 

(Walk in pain… ~ in my memories.)

 

前置きで書きましたが、この歌において『雨』とは、『悪いだけではなく、良いものでもある』というニュアンスです。

 

この一文から、この人の中で『痛み』が『雨』に変わろうとしているのが分かります。

 

今までは過去のとある経験に対し、後悔したり、悲しみを思い出したりしていたのでしょう。しかしその過去を前向きに(雨として)受け入れ、これからはその思い出とともに歩んでいこうとしています。

 

※同じ歌詞は以降割愛

 

 

夕焼け空を消す様に ~ 夜を抱きしめた雨粒が

 

時間帯は、夕方から夜にかけて。

綺麗な夕焼け空は突然雨雲に覆われていき、辺りが暗くなる。降り出した雨はアスファルトを濡らして、これもまた一段と暗い色に染めていく。

雨が、少し早く夜を連れてきたのです。

 

そんな光景が容易に想像できますが、単にこの人が見た光景を説明しているだけではありません。心の中が表現されています。

 

最初、この人の心の中は夕焼け空のように晴れやかな状態。何事もなく、いつも通り楽しく過ごしていたのでしょう。

しかし、ふと過去の苦い経験…挫折を思い出して、心の中が暗くなります。

 

突然降り出したということは、なにかきっかけがあったわけでもなく、本当にただ、何となく思い出してしまったのでしょう。

(そういう時あるよね)

 

夕焼け空(晴れやかな状態の心)を消したのが、降り出した『雨』(挫折)です。

 

この人は現時点ではまだ『雨』を良いものと思っておらず、嫌なものとして捉えているのが分かります。『雨』は暗い闇に覆われる夜の味方なのです。

 

 

ジャケットの肩を叩いて ~ 溺れてしまいそうになるよ

 

雨粒は音を立てながら、ジャケットに染み込んでいく。

この人は傘をさしていないということですね。

 

先程書いたように、この人にとってまだ『雨』は嫌なもの。それに対して、自分を守ることをしていません。

 

まだ心の中では割り切れておらず引きずっていて、思い出す度に嫌な思いや後悔の気持ちでいっぱいになるのでしょう。

 

 

忘れてしまえるのなら ~ 大切だったんだ

 

この部分はそのままですね。

 

忘れようとして忘れられる程度のことなら、こんなに後悔しないはず。

どうして忘れることが出来ないのか。どうしてずっと後悔し続けてしまうのか。

それは、その出来事が自分にとってとても大切なものだったからでしょう。

 

『雨』は嫌なものというだけではなく、大切なものでもあるのだとこの人は気付いたのです。

 

 

恵みをくれたもの ~ 雨が歌って

 

『雨が歌う』の部分は、雨音が嫌でも(意図せず)耳に入ってくる、みたいなニュアンスで解釈しました。

たとえ思い出したくなくても挫折を思い出してしまうということです。

 

歌い方(雨の擬音語)は色々ありますね。

それはポツポツみたいに優しい音だったり、ザーザーなどの強い音だったりもするのでしょう。

 

"恵みをくれた(学びがあった)もの"であり、"痛みに変わる(後悔し苦しむ)もの"でもある過去の挫折が心の中に蘇っては、その整理されていない感情が再び思い起こされるのです。

 

 

波紋に揺れる街灯は ~ 映し出してる様に思えた

 

1番で、雨が夜を連れてきましたね。

暗くなったら街灯が灯る。その光が、雨が降ってできた水たまりに映る。その水たまりに雨粒が触れる度、波紋が広がっていく。

これも容易に思い浮かぶ光景です。

 

過去に囚われ前に進めずにいるこの人は、下を向いています。

そして水たまりが視界に入ったのです。

 

街灯は闇の中の明かり。浮かび上がるそれは、この人が挫折しなければ掴んでいたはずの理想でしょう。でもそれはぼんやりと歪んでいます。

 

その理想は、どうしても掴みたかったもののはず。

なのに、この人の中でその理想はぼんやりしていて、はっきりしていないのです。

何故なのかは後の歌詞(2番サビ)で。

 

 

傘をさしたとしても ~ 逃げこんでもずっと

 

この人は傘をさそうと考えたものの、意味がないと思ったようです。

傘をさして雨から身を守ったとしても、足元にある街灯が映った水たまりは視界に入ってしまうから。

 

後悔をやめたとして、心の中から理想が消えることはありません。焦がれたそれは、消そうとして消せるものではないのです。

 

この人が自分にずっとついている、小さな嘘。

それは「あの日のことはもう忘れた」ではないでしょうか。

 

もうどうしようもないことは分かっていて、だから「挫折のことなんて昔のこと、もう忘れた」と自分に言い聞かせてきたのです。

 

でも、雨が降る(突然ふと思い出す)度に。

灯り(理想)は視界に入る。

 

結局、嘘をつき続けるのにも限度があって、この人も「もう忘れた」なんて嘘なのだと、本当は自覚しているのでしょう。

 

 

後悔が昨日を変えるなんて出来ないさ ~ 分かっているんだ

 

この人はとっくに、後悔したってどうしようもないことを分かっています。

過去を変えることなんて出来ないと分かっています。

だから灯りも歪んでいるのでしょう。

 

この人はもうすでに、挫折した人生を生きているのです。

すでに別の生き方を選択しているのです。

未練はあれど、過去の理想を今でも本気で叶えたいわけではないのだと思います。

(ドラスタの3人だって、前職に微塵も未練がないわけではないと思うんですよね…。でも今はアイドルで、それはそれで現状に満足しているように感じます)

 

雨に濡れれば濡れるほど、ジャケットは重くなって、肌にぺったりとついて脱ぎにくくなる。

どうしようもないと分かっていても、後悔が大きければ大きいほど、そこから抜け出すのは難しいのです。

 

そして、挫折は嫌なだけではなく、大切に感じていたものでもあると1番で気付いたこの人。

「あの日のことは忘れた」だなんて自分に言い聞かせてきたけれど、本当に忘れたかったのかと言われれば、そうではないと思うのです。

 

まだ心の整理がつかなくて、受け入れられなかっただけ。

忘れたいだなんて、思うはずがないのです。大切だったのですから。

 

挫折するその前までは間違いなく、掴みたい未来のために前向きに頑張っていた時間があり、かけがえのない思い出があり、唯一無二の学びがあり、その時だけ感じられた煌めきがあったはず。

そんな大切な過去を忘れたいわけがないのです。

 

 

あの日を責めたってもう ~ 大切なものを

 

「挫折した」というその終わり方のせいで、その過去をまるごと嫌なものだと決めつけるのは間違っているのではないでしょうか。

 

"あの日"とは言うまでもなく、まさに挫折した日でしょう。

 

後悔して自分を、その過去を責め続けていたら、この挫折を忘れられなくしている要因である"大切なもの"すらも嫌な思い出の一部としてのみ込まれてしまいます

忘れたくないものも、忘れようとしてしまうのです。

 

 

決意は明日を変えるためのものさ ~ 雨に歌って

 

「もう後悔するのはやめよう」というこの人の心情の変化が見て取れます。

 

この人は"大切なもの"を忘れないように、嫌な思い出の一部になってしまわないように、挫折を受け入れる決意をしたのです。

変わらない過去に嘆くよりも、挫折を受け入れ明日から前向きに生きていこう、と。

 

嫌でも雨音が耳に入ってきた以前とは違い、雨を好きになれたのが分かります。

(思い出したくなくても思い出してしまう="雨が歌う"状態から、

 大切な思い出として思い出せるようになった="雨に歌う"状態へ)

 

この人にとっての『雨』は嫌でしかなかったものから良いものでもあるものへ変わり、前を向いて歩き出せたのです。

 

これでようやく、本当の意味で挫折を乗り越えたことになるのではないでしょうか。

 

 

 

終わりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

どんな過去も大切で意味のあるものだと思える、とてもSideMらしい歌ですね。

(そしてそれをDRAMATIC STASが歌うのが良い…)

 

未来より過去にばかり目を向けがちな私は、視聴動画が出た時点で「あ、これ好きなやつ」となり、フルで聴いた後は「やっぱこれ好きなやつ!!」ってなりました。

この歌めちゃくちゃ好きです。(語彙力)

 

空を覆う雨雲とか、地面が濡れていく様子とか、水たまりに光が映っているのとか、さらには心情までも、短い歌詞で想像させられるのもすごいですよね。

 

皆さんも、受け入れ難い過去を肯定したくなったときに聴いてみてはいかがでしょうか??