手話をやるチンパンジーとして知的能力の高いチンパンジー、アイとその息子アユムの記録である『アイとアユム 母と子の700日』松沢哲郎 著を読みました。

チンパンジーと言うのは出産間隔がだいたい5年とくらいと言われているそうです。人間のような年子や2歳違いのくらいの兄弟などは存在しないことになります。つまり1人の子を5年くらいかけてゆっくり育てあげてゆくのです。その代わり母親が一人で育てあげ、父親は群れを守ります。
人間が短い間隔で出産するというのは、周りに子育ての支援体制があることが大前提なわけです。パパも群れを守らずとも、育児に参入できるのは生物学上の大前提です、、って言い過ぎかな。

チンパンジーから母子関係を読んでいくと、人間特有の特徴がよく理解できます。しかし『人間の母子関係は、しがみつかない・抱きしめない関係』という一節には、最初「ん?」と読み留まりました。

チンパンジーの赤ちゃんは、生まれながらにして自分から母親にしがみつき、また母親は抱きしめる。一方人間は生まれた途端に母親から離れている。そし泣いて呼ぶことにより、母親がそばに来て声をかけたり、抱き上げてあやす。「人間の母と子は『寄り添う』関係である」。「人間の親子は距離を置いているからこそ、様々な形で絆を確認する。」

愛情あふれる母子として、母が子を抱く仕草がイメージされるが、人間は距離があるから絆が生まれるという何とも逆説的な見解が目から鱗。

最近カンガルーケアもあるけど、私も抱き上げたのは出産後に赤ちゃんを綺麗にしてもらってからだったな。それから寄り添って、見つめ合って、授乳して、コミュニケーション取って絆が出来てきたんだ。

そして人間の赤ちゃんは仰向けでスヤスヤ眠るわけだけど、仰向けに寝かせて安定しているのは人間が進化の過程で手に入れたものです。仰向けの赤ちゃんに刺激があると、ビクッと何かしがみつくような「モロー反射」と呼ばれる原始行動があります。これは「母親にしがみつこう」とする霊長類に共通する基盤で、人間にも名残りがあるのです。しかし人間の赤ちゃんが自らしがみつきに行くことはありません。

しがみつく代わりに、泣いて母親を呼ぶのです。泣くことこそが親子の絆。チンパンジーのように四六時中抱っこされてなくても、泣いて必要なときだけ呼んでくれる。これは進化の過程で手に入れた母親一人になれる時間なわなけで、その代償が泣くサインです。そう思うと、夜泣きでイライラなんて言ってられないですね。一人でスヤスヤ眠ってくれてありがとう❗️と言ったところでしょうか。

大人のチンパンジー同士はよく嚙みつき合ったりケンカをするそうですが、チンパンジーの親が子どもに暴力的な行動をすることは一切ないそうです。暖かく見守り、お手本を示しながらゆっくり育ててゆく。

しつけなのか?虐待なのか?最近もまた悲しい事件がメディアで取り出されていますが、少しチンパンジーに見習いゆっくりと子どもを見つめて行きたいものです。