こんにちは、北カリフォルニアの会議通訳者、EJ Expert Inc.代表のブラッドリー純子です。
昨日コンドリーザ・ライス元国務長官の遠隔通訳をさせていただきました。
他にも錚々たるメンバーが登壇し、世界中から数千人参加するという大型ウェブカンファレンス。
企業や政府機関も本格的にイベントのオンライン開催を始めたようで、
例年通りの繁忙期が(リモートだけど)戻ってきました。
これは会議通訳者にとっては嬉しいニュース!
その業務での気づきを3つ、皆さんにシェアしようと思います。
まずは、
現場と違ってリモートだと...
① 著名人と一般人の距離がグッと近くなる
だいたい超有名人とかだと登壇前はグリーンルームと呼ばれるVIP用の控え室にいて一般人は立ち入り禁止です。
登壇してもステージが大きいので参加者からは距離があるから遠い。
でもリモートだとどうでしょう。
物理的には距離があっても
すごく身近に感じますよね!
そこがZoomのすごいところ。
あと、なぜか著名人はバーチャル背景を使いません。
大企業のCEOとか、大抵は自宅の立派な書斎からアクセスします。
インテリアのセンス良いな〜とか、意外と狭そうだな都会なのかなとか、
棚の本くらい整理しておいたらいいのに(←コレ結構多い)とか、
色々と面白い。
オーディエンスは、これまでは見れなかった彼らの普段の生活をチラリと垣間見れるわけです。
哀しいことに、バーチャル背景って普段の生活をあまり見せたくない我々庶民のために作られたものだったんですね...
② アドレナリン放出量は若干少なくなる
国際会議や大型イベントでの同通がなぜエキサイティングで一度やるとクセになるのか?
それは本番で放出される脳内物質の量がハンパないからだと思います。
スポーツ選手やアスリートもそうですが、一流はここぞという時に驚くような力を発揮しますよね。
イチローの逆転サヨナラホームランみたいに
同時通訳者も本番でベストパフォーマンスを出せるように色々と調整しています。
が!リモートだとやはり現場の臨場感がないので
8割でもアドレナリンが出たらいいところ
いくら世界的なリーダーの通訳だなんだいっても、所詮やってるのは自宅からですから
緊張感のないジャージ姿が鏡に写ったりして、仕事モードへの切り替えも完全にはムリ。
通訳本来の楽しさ、充実度が半減するのは否定できません。
③ 大型イベントやレベルの高い案件は(リモートでも)ある
コロナ前から大型カンファレンスや国際会議でもRSIであったし、最近もウェブ開催で大型案件が急増しています。
例えば私の場合でも、これまでリモートでイギリスのチャールズ皇太子、政治のトップ、テック企業のCEOたちの同時通訳をしてきました。
コロナで現場案件はなくても、
遠隔で国際会議やグローバルカンファレンスの実績を積むことができる
もうそういう時代になったんですよ、奥さん!
これは地方在住の通訳者にとってはチャンスですよね。
あと、これからRSIの実績を積みたいという通訳者の中には、ちょっと肩に力が入り過ぎている方が多い気がします。
慎重なばかりにフライング気味、前のめりになってしまいがち。
前のめり状態だと全体感を見失ってしまうし、焦り過ぎると周り(パートナー通訳、クライアント、エージェント)にも迷惑になります。
昨日のリモート通訳講座の授業でもお話ししましたが、
何もかも完璧を目指してしまうとリモート通訳の性質上、しんどいと思います。
リモート通訳って毎日のようにしているとだんだんストレスが溜まってくるし、うまくガス抜きをしないと身体も持ちません。
どんな状況下でも焦らず、落ち着いてクールに対応できなければ難しい。
あまり高く飛び過ぎず、低空飛行で長く飛ぶことを考えた方がいい、と最近思います。
リモート通訳の経験だけはやたら長い私からのささやかなアドバイスでした!
番外編ですが、
今日は夫の半世紀バースデーでした。
義父も駆けつけてくれて、家族で大きめのティラミスケーキでお祝い。
アジアマーケットのベーカリーで買ったので甘さ控えめで美味しかったです。
「人間50歳でやっと自分の価値観がわかってきて
自分らしく楽しく生きられるんだって」
と夫に言うとちょっと嬉しそうでした