辞書「千言万辞」の編集者が殺される。上司の和田によると、編集者は事件当日、辞書編集の主幹の大鷹に主幹交代を告げるために行ったと言っていた。この大鷹が言葉へのこだわりが強くて、改訂作業も遅れていると言うことで、後輩の国島に交代させるつもりだった。最初は国島とか大鷹を疑うような、雰囲気だったけど、私はこの和田を演じている人があやしいと思ってた。だって、この和田を演じている俳優が映画「検察側の罪人」で、時効になってしまった事件の犯人役で、二宮さんが演じる沖野検事に、すさまじい取り調べをされていたから、この人が犯人だと思ってしまった。態度もおかしかったしね。でも、そんなに簡単な話ではなかった。大鷹は言葉へのこだわりが強すぎて、女子高生の話も聞き入ってしまう。そして、すごいメモ魔…常にメモしている。時々、様子がおかしくなる。どうしてなのかと調べたら、大鷹は痴呆症の症状が出ていて、そのために、薬を飲んでいた。そのことを大鷹に関わっている人たちは内緒にしていたが、殺された編集者が気づいてしまう。そして、それを確かめようとしたのか、その途中で、和田に殺されてしまう。このストーリーで考えさせられてしまうのは、痴呆症と仕事と主幹。いつまで、元気で働くことができるのかと言うこと。痴呆症にも、色々と段階がある。今回のような仕事へのこだわりも責任も強いけど、痴呆症の症状が現れるとおさえられなくなる。働く意欲を奪うのもどうかな?と思うけど、突然、異常状態がおきると、誰がどうするのか?それもまた、考えなくてはいけない。ちょっと、考えさせられるストーリーだった。犯人役の酒向芳さんの迫力ある演技。大鷹役の森本レオさんの痴呆症の現実味のある演技。素晴らしすぎて、ドラマだとは思えないくらいだった。