ここ数年、「メリーアン」を聴くたびに思い出すイメージは、荻原碌山と相馬黒光の不倫と言うより、碌山青年の初恋と言う感じ。田舎で絵を描いていた17才の少年の前に現れた、美しい大人の女性。白いパラソルをさして歩く姿は、彼の心に強く印象づけたのかも知れない。その後、彼はアメリカやフランスに留学して、ロダンの影響を受けて、彫刻家を志してフランスで、さらに勉強して、学内でのコンペでグランプリを獲得して、ロダンとも面談して、イタリア・ギリシャ・エジプトを経て帰国する。 そして、帰国後に新宿にアトリエを構えて彫刻家として活動する。その頃、黒光は夫といっしょに新宿に中村屋を開業。クリームパンを発明したとしても有名な黒光。インドカレーでもお馴染みですよね。私は行ったことはないけど、名前は知っています。その黒光と夫の愛蔵に碌山はかわいがられて、家族ぐるみのつきあいが始まってしまう。黒光さんは若い芸術家のたまごたちをサロンに招いていて、応援もしていたと言う説もあるけど、一途な碌山青年の心は撃ち抜かれてしまったのか、家を留守にしがちな愛蔵の代わりに子供と遊んだりして、かなり、思いつめていくが、不倫は不倫のままで結ばれることなく、数々の作品を残しながらも、30才の若さで亡くなってしまう。短い人生の中で、普通の人の何倍も凝縮された時間を過ごしていたのかもしれないが、あまりにもかわいそうすぎると思った反面、うらやましいとも思った。こんな人生も素敵だなぁ~とも感じた。結ばれてよかったかどうかはわからないけど、それなりにしあわせを感じていたのかも知れない。なんて考えている時に「メリーアン」のイメージが重なってしまった。