今もいやだし、昔からいやだった。せめて、となりの県でも行きたかった。すべては親には反対され、抜け出せなかった。今でも、情けなく思っている。たいした家柄でもないのに、家が大きいとか田んぼがあるとかで、すべてが判断されてしまっていた。ボロクソに言われて反論すれば怒られる。そう、すべては周りの見知らぬ人間が人の人生に口を出して決めていく。「これで我慢しなさい。」のひと言でおさめようとする、お節介好きの見知らぬ他人。その他人に文句も言えず、ただただ、ヘラヘラ笑っている、愚かな親の姿。この家にこの親に生まれたこと、そのものが情けなく思った。親は子供を選べても子供は親を選べない。躾もまともにできないくせに、自分の思いどおりにならないと怒りだす。結婚する資格も子供を産む資格もないのに、みんながするからしたい的な発想で結婚も出産もするから、おかしな方向にいってしまう。とにかく、勉強したり本を読んだりすると怒りだす。料理も下手だし知識もないし、センスもないし趣味もないし、ひとりで行動できない。こんな人にはなりたくなかった。この田舎から出ることはできなかったけど、時々、出かけることができるだけでもしあわせだと思っている。周りの人を見てもしあわせに思えなかった。やたらとうるさくて嫁が来たら、何もせずに文句ばかり。だから、痴呆症になるのでは~と思う。家事はすべて嫁任せで、おまけにフルタイムで働かせる。お金はすべて家のため。痴呆症や病気なのに入院させると、近所に知られたら困るからと世間体ばかり気にする。夫は何もしないで嫁にさせて、嫁が体調不良になっても知らん顔。何のための結婚なのだろうか?田舎にはしあわせな結婚はないと思った。テレビのCMのように、永遠に2人だけでしあわせに暮らせるなんて夢なのだと思った時、結婚はするものではない。間違っても田舎で暮らすものではないと思った。いやだけど、田舎にいる自分が情けない。せめて、命が消える瞬間だけでも、都会にいたいと考えてしまう。無縁仏でもいいから、都会に埋葬してほしいとさえ思っている。