今日は安田記念。期待は勿論GⅠ最多記録更新がかかるアーモンドアイだ。前走から中2週という不安視もあるが、前走同様のコースと距離、尤も最優秀短距離馬の産駒の最高傑作(恐らく)が味方してどの距離にも適応しているとはいえ、マイルは得意だろう。

前走は何故ヴィクトリアに使う必要があるのか疑問を持たれた方も多いかもしれないが、所詮前走は彼女にとって“本番に向けた前哨戦”だったと見て、休み明けを考慮し、ぶっつけ本番よりも一発叩いておきたい考えがあったと思う。

何よりも前走は流しての快勝。上がり3Fもメンバー最速と影をも踏ませない内容だっただけに、安田記念が荒れるというジンクスは彼女の場合該当しないだろう。

昨年、凱旋門賞への出走プランを回避したのは、コンディション以前にフランスの馬場が国内のそれより重く、スピードとパワーが問われるので苦渋の決断を下したのだろう。

馬券としては非常に面白みがないので、2着3着に入線する人気馬はどうだろうか。現在2番人気のインディチャンプを始め、前走海外でのレース後、休み明けとなるアドマイヤマーズやダノンプレミアムといったこの3頭とも栗東からの遠征ともあり、特にディープ産駒のダノンプレミアムは安定感がなく、昨年は1番人気に支持されていながら出遅れもあって道中やる気をなくしたのかシンガリ。


僕は最近、YouTubeで見つけた「NHKプロフェッショナル仕事の流儀」で調教師・藤沢和雄さんの取材の内容を見たが、彼の調教法や馬へ注ぐ執念深さは独特であることがわかった。競馬の本場、イギリスで知った調教の内容と、いざ帰国してから見た日本のそれは全く異なるもので違和感を感じたという。いわば、藤沢和雄さんは帰国子女のような調教師だ。本来は医者を目指していただけあって命に対する慈愛の精神が人一倍強い。

初めてダービーを狙えると確信を持っていたヤマトダマシイがレース中に故障し、予後不良。

あれから何十年も経つのに「まだ元気ですよ」と涙を堪えながら話されていた。いくら勝負の世界とはいえ勝ち負けに捕らわれず「一勝より一生」という彼の信念に胸を揺さぶられるファンは少なくないと思う。

調教師が讃えられるのはGⅠではなく、馬を長い目で見て才能を開花させること。どの馬も必ずその潜在能力を秘めている。

そのようなトレーナーの考えは競馬界に限らず、すべての教育現場、親と子、上司と部下、先輩と後輩といった家庭や会社、学校などでも同じことが言えるのではないだろうか。

僕が藤沢和雄さんに興味を持ったのはレイデオロがダービーを制したときの月刊誌「優駿」のインタビューを読んでからだ。休み明けだからだと既成観念に捕らわれず、確実に勝てるレースに出す。無理なら出さない。そういう信念を持って日々調教されている調教師もいるものなんだなと胸を打たれた。

馬なり調教で決して馬に無理をさせない。人よりも馬を大切にする。金や名誉に目が眩む人はこの世に数知れず存在する。だから金銭問題が故に強盗や詐欺といった犯罪が多発するのだろう。

競馬も血のスポーツという面とお金が関係するギャンブルという側面も孕んでいるから、あまり人に競馬が好きだと言い難い。また、誤解されることも多い。

実際に僕は競馬の仕事に携わっている方から「競馬で家を失う人はいても、競馬で家を建てた人はいない」と言われて、まあそれもそうだと頷くことしかできなかった。まだその競馬関係者は心を失っていない、勤勉な方だと思える。仕事熱心なあまり、付き合い辛いと感じる僕に問題があったのだ。

男は働いてなんぼ。女は家を守っていればいい。昔気質の考えだが、やはり真面目な人は必ずいつか報われると信じている。