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治し屋TSSの
「みんなの知らない体の話」

スポーツの場合、考えないプレーヤーに説明する事程骨が折れる作業はないんです。
何せ自分の思っているビジョンと違う発言をしようものなら、敵対心剥き出しになるケースが多いからです。
今回の内容も実際の現場では、あまり話さない内容です。
当然ですが、私の言わんとする意味をしっかりと受け取ってくれる方もおられます。
私は常に話の出だしで必ずと言っていいほど、「解剖学的な観点から話しますね」と断りを入れてから話す事にしてるんです。
考えるプレーヤーは「一般的なゴルフ関連の内容と切り口が違う」と言っていただけますが、考えないプレーヤーだと「話しているうちにみるみる表情が変わっていくんです・・・」
だからこそ、最初に断りを入れてるんです・・・
「解剖学的な観点から話しますね」とは、既存の知識以外からアプローチしますよと宣言しているんです。
この意味を全く解さない方がおられるところに説明の難しさがあるんです・・・。
一つの意見として聞いたうえで、「役立つなら採用、役立たないのなら不採用」は全然構わないんです。
私は自分こそが絶対正しいとは思ってなどいないからです。
現場で話す内容はどの様に痛みを克服するか、使える状況にするか、その為に動きからどういった傾向が伺えるのかという説明しかしていないんです。
あなたのプレーを批判している訳でも無ければ、あなたのプレースタイルが間違っていると言ってもいないのに、話の論点が違う方にいく患者さんが意外と多いのです。
ここに充分注意して読んで頂ければ、少しばかりお役にたてるかと考えております。

※今回のお話は右利きをベースとして書いていきます。

ゴルフをされる方なら、「トップ 肘 曲がる」この問題は避けて通れない部分ではないでしょうか?プロのスイングの様に綺麗に伸びきった肘でトップオブスイングを作れたら・・・
憧れではあるものの、実際はそう簡単に肘は伸びないわけで・・・
一般のアマチュアゴルファーにとって、トップオブスイング時、胸につかんばかりの左腕と伸びきった肘は憧れのフォームだと思います。
確認の為、何度か練習場へ足を運びましたが、その気持ちの現れはこんな仕草でもはっきりと判ります。

多くのゴルファーがこのストレッチのお世話になっている事でしょう。
このストレッチの様に「もっと胸にくっつけ!」、「もっと肘が伸びろ!」と唱えながら必死に伸ばしていると思うんです。
しかし結果は・・・
理想と現実は果てしなく遠いのではないでしょうか?

▲これには理由があるんです
解剖学ではストレッチ写真の左腕の動きを「水平屈曲」と言います。
水平屈曲の可動範囲は以下の通りです。

解剖学の書物ですら、角度には誤差があります。
あくまで平均として捉えてもらえば良いかと思います。
ここで、もう一つ確認してほしいことは、水平屈曲の135°の位置から腕を上下に上げ下げしても角度は保たれるという事。
これは、あなたのスイングがフラットであろうがアップライトであろうが腕が胸につきやすくなるポジションは無いということです。

ここまで、話すと考えるプレーヤーの方から、こんな意見が飛び出してくるかもしれません。
「ちょっと待って!腕はもっと胸に寄せる事が出来るよ!」
たしかに、上に貼り付けたストレッチの写真は皆さんの言い分が正しい事を証明しているようにも見えますよね!?

▲自動関節可動域と他動関節可動域
ちょっと聞きなれない言葉です。
言葉の意味は漢字の通りで、自らの力で動かした場合の関節の可動範囲を「自動関節可動域」他の力をもって動かした場合の関節の可動範囲を「他動関節可動域」と言います。
ストレッチの写真に写っている状態は、右腕の力で左腕を胸に引き寄せているという事なんです。
つまり他動関節可動域に置かれている腕と言えます。
左腕だけで頑張って胸に引き寄せようとして見てください。
ストレッチと同じ様に腕が胸に引き寄せられ事は残念ながら無いのです。
どうでしょうか?
この事実を知っていれば、みなさんの肘が伸びない理由は以下の2点に絞れるんです。

①本来動くべき自動関節可動域以下でしか腕を動かせない為に肘が曲がってしまう。
②本来動くべき自動関節可動域は確保出来ているものの更に胸に引き付けようとするあまり肘が曲がってしまう。


①のケースは、本来あるべき動きを取り戻す必要があると言えそうです。
この場合、理想のトップの位置に持って行こうと辻褄合わせが起きている訳ですから、解決策としては、
・本来の動きに戻すための努力が必要。
・努力しないのであれば理想的なトップの位置を引き下げる。(スイングアークを狭くする)
が妥当かと思います。
本番だけ都合の良いプレーと、痛みのない体でプレーしようなんて思っているのなら、そうは問屋が卸さないって事です。
ゴルフギアや服装に気を使うのと同じくらい、ゴルフをする自らの肉体にも同じくらい気遣いしてほしいものです。

②のケースは、ハイパフォーマンスを追及するプレーヤーに見られがちではないでしょうか。
まずは、実際のゴルフ関連の技術論に触れてみましょう。
「ゴルフ 肘 曲がる」で検索した最上位の記事から抜粋します。
(http://www.mamejiten.com/golf/diary/L/114.html)

そこで、どうしたら そのような腕の使い方で クラブを振ることが 出来るかについて考えてみよう。
まずは、簡単な実験で ゴルフ・クラブを振る時のような前傾姿勢を取り、腕の力を抜いて 左腕を地面に対して垂直な方向にブランコのように動かしてみよう。
最初は小さく、徐々に大きく。
振り幅が大きくなると 腕の振りが止まる直前で 肘は曲がるだろうが、腕に少し力を入れれば肘は曲がり難くなるはずだ。
腕が曲がり難くなる範囲で 腕の力を抜く。
それが左腕の力の抜き方の考え方である。
次に、左腕を振りながら 肩を (シーソーのように上下に動かないように注意して) 背骨に対して直角に少し回転させ、その回転を徐々に大きくしてみよう。
肩の回転が大きくなれば 左腕は曲がり難くなることが確認できると思うが、この時、肩の回転が止まる前に 腕の振りを止めれば、肘を曲げずに腕の振りを止めることが容易になるのである。
つまり、肩の回転を大きくし、肩の回転が止まる前に腕の振りを止めれば、左腕の肘は曲がり難くなると言うことを確認して欲しいのだ。
以上のことを確認した上で、左腕を振る量と止めるタイミング、肩の回し方や回す量、そして、前傾姿勢の角度を変えたりして、色々な組み合わせで 左腕を振ってみよう。
そして、どのような組み合わせが 最も効率が良く、再現性の高いゴルフ・スイングに適しているかを考えてみよう。         
                                                                          -抜 粋-


>>振り幅が大きくなると 腕の振りが止まる直前で 肘は曲がるだろうが、腕に少し力を入れれば肘は曲がり難くなるはずだ。腕が曲がり難くなる範囲で 腕の力を抜く。それが左腕の力の抜き方の考え方である。

この一文が自動関節可動域の限界点を指し示すという事が理解できるのではないでしょうか?

>>左腕を振りながら 肩を (シーソーのように上下に動かないように注意して) 背骨に対して直角に少し回転させ、その回転を徐々に大きくしてみよう。肩の回転が大きくなれば 左腕は曲がり難くなることが確認できると思うが、この時、肩の回転が止まる前に 腕の振りを止めれば、肘を曲げずに腕の振りを止めることが容易になるのである。つまり、肩の回転を大きくし、肩の回転が止まる前に腕の振りを止めれば、左腕の肘は曲がり難くなると言うことを確認して欲しいのだ。

肩を背骨に対し直角に回転させ徐々に大きく回転させた勢いは、腕の関節可動域を拡大させる事に寄与はしないでしょう?
肩を回転させればその力は腕を他動的に動かすことは出来ても、その力でトップの位置にまで持って来れるほどの強力なパワーは生まれないのですから。
そう、この一文は解剖学的な観点からすればあまり意味のない話となるのです。
腕の可動範囲はあくまで肩の動きに影響を受ける事なく、自動関節可動域内に収まるということです。

これらを踏まえて、②の話の続きを書いていきます。
実際のトッププロの写真を見てみるとどうなのか?
私がその動きを見て思ったのは、「自動関節可動域の限界点よりもう少し胸に近づいてはいないか?」と感じた事です。
ゴルフスイングを治療の為に解体してみようと着手した初期に思った疑問点なんです。
あくまで目視でしかないので、そう見えるし、そうでないようにも見える・・・
もし、自動関節可動域の限界点を越せるなら、理由は2つしか考えられない。

A.先天的に平均より高い自動関節可動域を有している
B.他動関節可動域と捉えるならば、左腕で右腕を引っ張り上げている


A.について、
様々なトッププロを見ていれば気付くと思うのですが、明らかに自動関節可動域の限界を越している傾向が多々見受けられるんです。
先天的に関節が滅茶苦茶柔らかいとなった場合、それ以上の思考の入る隙間などありません。

B.について、
単純に右手で左手を掴んで水平屈曲すればよく分かると思うんですが、左腕の力で右腕を胸に引き寄せるのは結構な力が必要なんです。
ここにゴルフクラブが加わる事とトップオブスイングにおける姿勢を加えれば、相当疲れるのではないでしょうか?
果たして、トップの位置では、右腕主導によるガチガチの筋緊張状態でフォームが維持されているのか?
これは技術的な問題なので、ここについては皆さんが学んだ技術論で考えてみてください。

さて、本来ならこういった親切丁寧に答えを開示しながら説明はしないんですが、今回はマジックと同じように「タネ明し」をした所からさらなる謎に引き込んでみたいのです。
問題は、トップオブスイングで自動関節可動域を越すほどの腕の引きつけと、肘の伸びはどの様な動きから来るのかの核心部分。
実際ここに気付くまで膨大な時間を要したんですが、悩んだ分突破口は見つけました。
私はゴルフが上手くなりたくて研究したのでは無いんです。
どんな状況にも即応するには、どの様に動かしどの様に負担をかけ痛めるのかを突き詰めてあらゆる状況の答えを用意する為だけなんです。
この点を今一度ご理解ください。


では突破口になったものを以下に!

動画については、以下を見てください。(タイガーのスローモーション)
https://www.youtube.com/watch?v=c0I5WOi2Umo

上の写真と下の動画を繰り返し見てください。
当然ですが、みなさんのゴルフの知識では対応できません。
解剖学的に見て、セオリーと実際の動きが違う証拠の一部分が写っているのですから・・・
解剖学的という条件に注意してください。
あなたの既存の知識以外からのアプローチで、考えてみてください。

▲最後に、上記の内容の答えに気付く方がおられるかも知れないのでその方へ向けて
今回の話の殆どは、気付いているあなたにとっては、
「それは手打ちゴルフの説明でしょ?正しい答えでは無い」
となるでしょうね。
そう、最後に投げかけた質問こそが「手打ちゴルフ」を脱する手がかりであるという事です。
そこに気付いているのなら、私へ直接コンタクト頂ければ、幸いです。



※前回からかなり日が経ちました。
前回の記事の内容は、その後4話分載せる気で書きためて保存してたんですが、うっかり消してしまってから更新意欲が削がれてしまいました。
まあ、気長に更新していきますので、よろしくお願いします。