僕は妻と死別してから10年以上経ちました。死別当初から再婚はしようとだけは考えてきましたが、実際には気持ちがついていきませんでした。自分がその気になりさえすれば、すでに結婚していたかもしれないようなこともいくつかありました。結局、いつまでも何年も前に進めない僕に愛想をつかして、みんな去っていきました。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 でも、気持ちが解き放たれるのに10年程かかってしまいました。最初の5年は仕事をして帰って、息子の相手をすることだけで力尽き、それ以上のことはできませんでした。最近は、再婚しようと考えることがようやく普通に思えるようになりました。ただ、もう43歳になってしまったので、年齢が問題で結婚できるかどうかわからない状態になりつつあります。

 ただ、この10年を振り返っても、貝が口を閉めて開かないような状態は、必要だったと今は思います。ずっと、動かないで気持ちの整理をし、悲しい気持ちを忘れるための期間だったと思っています。

 もしこの期間がなければ、あの時に無理して恋愛しても、結局愛想をつかしていたと、同じ結果が待っていたと思います。これからは、今度出会った人には、死んだ妻と同じかそれ以上に大切にしていきたいと思っています。

 無理に結婚はしようとは思っていません、ただ次の出会いがあれば大切に育てたいという意味です。