『国の借金で破綻する』という報道がテレビや新聞から繰り返し流れてきます。

 

「国の借金は1200兆円を超え、国民1人当たり980万円以上の借金を抱えている」

 

「対GDP比で220%を超え、先進国でダントツの借金大国」

 

「このままでは日本は財政破綻する」

 

「借金を将来世代へ先送りしてはいけない」 などというものです。

 

 

この「財政破綻論」はテレビ・新聞で何度も繰り返し流されているため、

 

日本国民の大多数はこれに「洗脳されている」状態です。

 

 

また、2021年には現役財務事務次官である矢野康治氏が、文芸春秋に

 

「財務次官モノ申す~『このままでは国家財政は破綻する』~」

 

という論文を寄稿しました。

 

 

この時は、第49回衆議院選挙(岸田総理誕生直後の国政選挙)の選挙戦真最中

 

だったこともあり、選挙妨害ではないかと物議を(かも)しました。

 

 

ここでよく考えてみてほしいのですが……そもそも「国の借金」とは何でしょうか?

 

 

①   「国の借金」の「国」とは何でしょうか?…

 

多分「日本」「国家」という意味でしょう。であれば借金の「貸し手」は誰でしょうか?

 

素直に考えれば「どこかの外国」でしょう。

 

でも一言で「国」と言っても、あまりにも抽象的で漠然としています。

 

 

②   「国の借金」の「借金」とは何でしょうか?…

 

銀行からの借入ってことはないですね。多分「国債」かな、と想像できますね。

 

ただし、正確には「国債」は借金ではありません。

 

「国家債務」ではなくて「国庫債券」といいます。

 

(ここでは説明が長くなるので別の機会にしたいと思いますが、

 

「国庫債券」は「日本銀行券」と同じ意味合いです)

 

③   「破綻する」と言いますが、具体的に「何がどうなる」ことをいうのでしょうか?…

 

もし破綻するとしたら、日本国家は、日本国民は、どうなるのでしょうか?

 

 

このように一つ一つ考えていくと、『国の借金で破綻する』と言われても…

 

(サンドウィッチマンのように)「チョット、何言ってっか、わかんない」

 

と言いたくなります。

 

 

ここからは、「破綻する」とはどういうことなのか?という疑問に絞って

 

進めていきます。

 

この場合の「破綻する」の意味は、一般的には「日本国債のデフォルト」

 

(国債元利金の支払不能)を言います。日本政府の債務不履行ということです。

 

 

国債が債務不履行になる「デフォルト(=財政破綻)」は、全世界的に見れば

 

過去にも普通に起きています。(ロシア、アルゼンチン、最近ではギリシャ、レバノン)

 

 

国債がデフォルトになる場合、ある条件がそろいます。

 

それは、政府が「外貨建てまたは共通通貨建て」で国債を発行した場合

 

ということです。

 

 

たとえば、日本であれば「ドル建てやユーロ建て」で国債を発行した場合です。

 

ですが、日本の場合は「100%自国通貨建ての国債」であり、

 

円建て以外の国債は発行していません。

 

 

そして、日本政府は日本銀行を子会社に持っていて、日本銀行は普通に

 

日本円を発行し、国債を買い取ることができます。

 

したがって、円建て100%の国債しか発行していない日本政府のデフォルトの可能性

 

は「ゼロ」です。

 

 

自国通貨を発行できる政府が、自国通貨建て国債の債務不履行を起こすことなど

 

あり得ないのです。

 

そして、自国通貨建て国債のデフォルトなど起こりえないということは、

 

財務省が自ら認めています。

 

 

財務省はHPにて、「外国格付会社宛意見書」の中で

 

「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を

 

想定しているのか」と意見表明しているのです。

 

にもかかわらず、財務事務次官は論文で「国家財政は破綻する」と断言しています。

 

どういうことでしょうか。完全に省内不一致ですね。

 

財務省はこの自己矛盾、論理破綻をどう説明するのでしょうか。

 

ここまで、「日本が財政破綻しない理由」として、最もシンプルなものを

 

明らかにしました。

 

結論は以下の通りです。とてもシンプルですね。

 

 

日本の場合、「100%自国通貨建て(円建て)の国債」であり、

 

日本政府の子会社日本銀行は日本円を発行し、国債を買い取ることができる。

 

したがって、円建て100%である日本国債のデフォルトの可能性は「ゼロ」である。

 

 

次回は、前述の「国の借金」の「貸し手は誰?」「どこかの外国?」

 

という疑問について、実際には「どこの国」から借りているのか?

 

を考えてみたいと思います。

 

 

 

日本が財政破綻しない最もシンプルな理由


第1章