今日は小話を一つ。


「むかしむかし、山荘をもっている男がいた。
 毎週土曜日の朝になると、ポルシェを駆って山荘に向かう。
 見通しのきかないカーブやガードレールのない絶壁など、
 途中には危険な箇所がいくつもある。

 ある晴れた土曜日の朝、男はいつものようにポルシェを飛ばしていた。
 見通しのきかないカーブが近づくと、スピードを落とし、ギアを切り替え、
 二百メートルほど先の急カーブにそなえ、ブレーキに足をおいた。

 そのとき、カーブの陰から車が一台、ハンドルを切り損ねたように飛び出してきた。
 崖から落ちると思った瞬間、道路すれすれに弧を描き、勢いあまって反対車線に入り、
 あわててハンドルを切り直したかと思うと、また反対車線に入ってくる。
 なんてことだ。男は急ブレーキを踏んだ。

 車は蛇行しながら接近してくる。
 ぶつかると思った直前、対向車は左にそれ、すれちがいざま、
 きれいな女性が窓から顔を突き出し、あらん限りの声で叫んだ。


 「ブタビックリマーク


 ふざけるな。
 男はカッとなって、怒鳴り返した


 「ブスビックリマークむかっ


 怒鳴り返して、少しは胸がすっとした。
 ああいう女にはひとこと言ってやったほうがいい。

 そして、アクセルを踏み、急カーブを曲がった途端・・・、ブタに衝突したあせる


 男はののしられたと思った。
 しかし、対向車の女性は親切でああ言ってくれたのだ。
 だれもが、そんなことを言ってくれるわけではない。・・・」
                      (~『パラダイムの魔力』より~)


面白くも示唆的なお話ですね~にひひ


今も「ブタ!」という叫び声は、きっとたくさん耳にしているのでしょう。
でも果たして、それにどれだけ気が付くことができているのだろう、と思いますね。


「次の十年間、見通しのきかないカーブにさしかかった時、
 大声を発してくれる人はいるかもしれない。
 パラダイムが硬直していると、悪魔の声にしか聞こえてこない。
 パラダイムがしなやかであれば、女神の声が聞こえてくる。
 どちらの声が聞こえてくるかは、まったくあなた次第である。

                      (ジョエル・パーカー)