~前回の続き~

『無精子症』と診断された後、仕事中の妻にLINEで連絡を入れ、帰宅した。

ある程度覚悟はしていたものの、やはり実際に告知されるときついものである。
夫婦2人で『子ども』を強く望んでいたため、『妻に申し訳ない』想いが大きかった。

この日は振替休暇日で良かった。
僕は、帰宅すると完全に無気力になってしまった。

(何で『無精子症』なんだろう?)
『男性不妊(無精子症)』と診断される方は、妻への申し訳なさと同時に『なぜ男性不妊(無精子症)なのか』と思い詰めてしまうのではないだろうか。

無気力になった僕は、ベッドの上で1人、いろんな思いを抱きながら、ごろごろ過ごしていた。

僕が帰宅して約1時間後、まだお昼12時前だった記憶がある。
連絡(LINE)を見た妻はすぐに仕事を早退して、帰宅してきた。

帰宅した時、すでに妻の目には涙が浮かんでいた。

僕を心配し、仕事どころじゃなくなったのだろう。
管理職の方も妻から事情(僕が無精子症と診断されたこと)を聞くと、すぐに早退させてくれたそうだ。

妻は優しく『1人でつらかったね』とねぎらい、ぎゅっと抱きしめてくれた。
僕は、妻に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

改めて直接、
・精液検査の結果、精子の数は完全に『0』だったこと
・男性不妊治療専門の泌尿器科を紹介されたこと
を妻に伝えた。

その日の午後は、自身が何をしたのかまったく覚えていない。
おそらく夫婦2人でゆっくり過ごしたのだろう。

まだまさか自身が『非閉塞性』や『セルトリセルオンリー症候群(Johsen's Score 2)』なんて思わないから、『これから前向きに夫婦2人で一緒に不妊治療を頑張ろう!』と思った。


~産婦人科編 終わり~